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面接の先生


私の仕事の話になって申し訳ない。

少しだけお付き合いをいただけたら、と思う。

私の仕事


私が面接指導を始めて30年になる。

最初は、自分がたまたまうまくいった面接なんて、なんの役にも立たないと

思って、一生懸命先輩に教えてもらいながら、生徒さんの悩みと不安を聞いて、

なんとかしてあげたいという気持ちだけでやってきた。


生徒さんも必死。

私も必死。


結果が出たら、一緒に泣いて喜ぶ。


そんなことを毎年毎年繰り返してきた。


もちろん大変なこともある。

生徒さんがやる気をなくすこともある。

反発されたこともある。

試験に落ちて、または失恋して、授業中ずっと泣いていた卒業生もいる。


でも、面接指導を嫌だと思ったことは一度もない。


それがどうしてなのか、を先日セミナーをしていておぼろげながらわかった気がする。


この仕事が好きな理由


生徒さん自身が自分と向き合う瞬間に立ち会えていることが嬉しいのだ。


面接というのは、面接官から何を聞かれるかわからないし、話したくないことを

聞かれても、違反質問でない限り答えないと自分の不利になる。

だからこそ、どう答えていこうかを生徒さんは考える。

嘘を言おうかと思っても、それを見抜かれて剥がされる質問をされると、嘘も通用しないとわかる。


最終的に「自分を理解する」しか、高度な面接で答えられるようにはならないことに行き着く。

そして「自己研究、自己分析、自己容認」が始まる。

私は正式にカウンセリングの勉強をしたこともなければ、資格の一つも持っていないが、

こうして30年間、4000人くらいの方々の自己発見のお手伝いをしてきた。


「カウンセラーみたい」

「占い師みたい」

と生徒さんに言われたことは何度もある。


でも自分と向き合うって結構大変なものだ。

生徒さんからすれば、

発見したくない自分もいる。

自分が短所だと思っていることは、誰だってみたくない。


でも、気が強いところが短所だと思っている人も、その裏返しは「自分を持っている」

ということ。


逆に人の顔色を見てしまう、という人も、「優しい」という性格だから、人の顔色を見てしまうのだと思っている。


短所とは、その性格ゆえに損をしたな、と思った時や、うまくいかなかった時に短所になり、

その性格故に得をした時は、長所になるだけ。


最近特にそれを面接を受ける皆さんに伝えたくなっている自分に気づく。


私もそうだけど、完璧な人間なんていない。

完璧な人間を目指そうとすることは、自己成長につながるので良いと思うけど、

(本人が望めば)面接までに完璧を目指そうなんて、生徒さんに言ったことはない。


「悔いのない面接を受けましょう」

「悔いのない準備をしましょう」

しかいっていない。(と思う)


人にはそれぞれの個性があり

人にはそれぞれの癖があり

でも客室乗務員という、専門職にはどうしても必要な適性もあり、

それだけはなんとかして身につけててもらう必要があるけど、それ以外は自分の個性で輝いてほしい。


人と同じになる必要なんて、どこにもない。

この30年、生徒さんたちを同じ人に仕上げようと思ったことは一度もない。

それは私自身が人から強制されたり、人と同じになれ、と言われるのが嫌だからだろう。


ただ、ほとんどの生徒さんたちは今まで周りから言われてきたことや勝手に集めた情報で自分を否定し、「あんな人にならなければいけない」と思い込んでいる。

それによって自分を否定し、自信をなくし、自分を見失っている。

だから面接が怖くなり、難しくなるという悪循環にいるように見える。


そのからまってしまった糸をほぐすように生徒さんと関わっていくことが、好きなんだな、と改めて思っている。


その先には、面接がうまくいって自分の夢が叶う、という明確なゴールがあるが、それ以上に自分に、世界で1人しかいない自分なんだ、と気づき自信を持って生きていってほしい、と思っているのだ、と気づいた。


たかが面接の先生。

されど私が一番好きな仕事。

それが分かっただけでも、本当によかったと思うこの頃だ。




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