『破天荒フェニックス』が描く企業再生のリアル
ぼくが所属するコルクラボでは、発売前からサディが、田中さんや『破天荒フェニックス』のことを絶賛していて、読書会が開かれたりしていて盛り上がっていた。
(Tweet中のnoteはコルクラボのいでっちのnote)
ぼくも実際読んでみて驚いた。
まさに企業再生のリアルが描かれていたからだ。
破天荒フェニックスで描かれている資金繰りの苦闘は、こうしている今も日本全国で起こっている。
バブル期の甘い融資によって、不良債権問題(早い話が借金返せない問題)が2000年代に一気に吹き出した。
(今で言うところのスルガ銀行問題みたいなもの。)
2000年代の産業再生機構の活躍や再生人材の成長、2010年代以降の景気回復で徐々に不良債権問題は収まってきたと言われている。
一方で、地方では日々倒産の危機にさらされている企業は今なお多い。
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(財務的な細かい話に興味がない人は読み飛ばして、次の----から読んでください。)
破天荒フェニックスで描かれているキャッシュの回転期間(CCC)が少し長くなるだけで、倒産の危機にさらされる恐怖は製造・小売業などでは非常にリアルだ。
会社間の大きな金額の取引では、資金はすぐに払ってもらえるわけではないし、すぐ払わなければならないわけではない。
すなわち手元に資金がなくても、取引することは可能なのだ。
すごく簡単な小売業の例で言えば、手元に資金がなくてもモノを仕入れることはできる。
その仕入額を払わなければならない時期までに、仕入れたものに利益を載せて販売し、仕入額が手元にあればいい。
しかし、仕入額を回収できず、資金を支払うことができなければ、
バーン
倒産だ。
だから、売上は早く回収できて、支払いは先延ばしにできた方がいい。
手元にキャッシュが回収できていなければ、利益的には黒字でも倒産することがある(そのまま「黒字倒産」という)。
小難しい話をしたが、皆さんが日頃クレジットカードでやっていることと同じ。
今銀行にお金がなくともクレジットカードで支払いはできる。
クレジットカードの支払日までに給料が振り込まれて、クレジットカードの支払額を準備できればそれでよし。
企業でも同じような取引が行われているのだ。
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破天荒フェニックスでは、何度も資金ショート = 倒産の危機に襲われるシーンが出てくる。
毎月のようにとんでもない額の資金ショートの危機に晒されている会社の経営陣は、本当に一日単位で資金の出入りを管理することになる。
当然ものすごいストレスで、夜も眠れないなんて話はよく聞く。
苦しみの中で自殺をしてしまう経営者だっている。
田中さんやCFOの奥野さんはその苦しみに 7年も耐えただけでもすごい。
だが、OWNDAYが本当にすごいのは、そんな状況の中でも攻めの姿勢を失わなかったことだ。
記事の中ではサラッと書いているが、店舗数の急拡大や海外進出の意思決定など簡単にできるものではない。
銀行は、眼の前の借金を今すぐ回収したいのだ。
眼の前の経営健全化と着実な利益の確保を迫るのは当然だ。
多額の負債を抱えた会社が攻めの経営をするなど、銀行側からしてみれば言語道断。
無茶な経営をしていると判断した会社の経営者を銀行の担当者が罵倒するなんていうことも未だにあると聞く。
田中さんや奥野さんも相当やり合ったに違いない。
『破天荒フェニックス』の中では、田中さんが周囲の人に、
東南アジアというJINSやZoffなどの競合が出店していない地域で、競合相手に出てこられる前にどんどん出店し、一日も早くマーケットシェアを取らなけれならないのだと説得するシーンが何度か出てくる。
まさにこの勝負感が田中さんの凄さだ。
なくなったお父様の言葉である、
男なら荒れる海を越えていけ。そして自分を試してみろ。広い大海原で思うがままに舵をとれ。迷子になればまた港に帰ってくればいい。若いうちにしかできないことをやらなきゃダメだ。
を見事に体現されたのだなぁと感じた。
そして、
倒れる時は前向きに
なのだ。
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今では、東南アジアで圧倒的なブランドを確立したOWNDAYS。
↓コルクラボのまさまさがまとめてくれているように、
田中さんは今後店舗のあり方は大きく変わると話してくれた。
店舗が体験を提供する場所になるというのは、ぼくもとても興味があるところ。
店舗がメディア化するという表現をされることも多い。
(ぼくが尊敬する最所さんのnote。店舗の未来を考えたい人は、彼女のnoteやオススメ本を読んでおけば間違いない 笑)
店舗が体験を提供する場所になって、そこにコミュニティが生まれる前に、自社をコミュニティ化しているのがOWNDAYSの面白いところだ。
↑Tweetの中に出てくる社内ツールを使って、OWNDAYSは仕事の中にゲームを生み出している。
そして、社員がただの従業員ではなく、田中さんやOWNDAYSのファンそのものになっている。
まずは社員がファンになる。
そして、社員から顧客にその好意が染み出していく。
『破天荒フェニックス』を読んだり、OWNDAYについて調べて感銘を受けた人は、ハッシュタグ #破天荒フェニックスや#OWNDAYSでつぶやいて見てほしい。
すぐに田中さんや奥野さんたち本の中の登場人物や社員がいいねやRTをしてくれるはずだ。
そして、OWNDAYSでメガネを買いたくなること間違いなし。
あなたはもうOWNDAYSがつくるファンのコミュニティの一員なのである。
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急激な小売の環境変化の中で、今後OWNDAYSがどのような戦略を取るのかは非常に注目だ。
なぜなら、きっとそこに小売の未来があるから。
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