日本の建築史(近現代)

お疲れ様です。
前回の記事では近世(江戸時代)の建築史を扱いました。
前回の分をざっくり振り返った後、本題の近現代の建築史を扱おうと思います。宜しくお願いします。

・前回のおさらい(近世の建築史について)

江戸時代は、前時代の戦乱の世とは一転して300年近く政権が交代しない安定した時代でした。外交も制限していた為国内の文化が成熟していきます。まずは現代の東京の下地となる江戸の大改造による都市化が挙げられます。また、庶民の暮らしが豊かになり多様化したことにより民衆の為の建築が開き、娯楽施設が誕生したり寺社建築の民衆化などが進んでいきました。

・明治時代

鹿鳴館(「Wikipediaより」)

西洋からの外圧により日本は政府が変わり西洋の技術などを取り込むことで早急に近代化を進めてきた時代でした。
(主要な建築など:西洋建築の導入、疑洋風建築、和風の解放)
西洋建築の導入_都市部に限らず地方においても西洋化の波が訪れます。(銀座煉瓦街や富岡製糸場など)やがて疑洋風建築(後述)が生まれますが御雇外国人(ジョサイア・コンドルなど)を確保し、正式な西洋建築を建設(鹿鳴館など)、指導もお願いして多くの日本人建築家を育成し(辰野金吾や片山東熊など)近代化を推し進めました。
疑洋風建築_
地方の各地でも西洋化が進みますが当初は日本人棟梁が見様見真似で造られていった為、洋風や和風が混在した様式が特徴的です。(旧開智学校など)
和風建築の解放_外部に対しての建築は西洋化を推し進めていきましたが、生活様式を急に変更はできず住宅や旅館などにおいては和風建築が発展していき近代和風建築も誕生していきました。(賓日館など)

・大正時代

前川國男自邸(「Wikipediaより」)

関東大震災や戦争による破壊を受けて都市部の不燃化、住宅の供給といった需要からRC造の集合住宅などが誕生していきます。
(主要な建築など:西洋の生活様式の導入、集合住宅の誕生)
西洋の生活様式の導入_西洋の建築家により邸宅が建てられたり、西洋の考え方、モダニズムなどに影響を受けた日本人建築家が活躍します。
集合住宅の誕生_
関東大震災後、都市部では不燃化が重要な問題となり住宅不足を解消する為に本格的な集合住宅(アパート)が建設されていきます。

・昭和時代

国立代々木競技場第一体育館(「Wikipediaより」)

戦争が終結し高度経済成長を迎えると共に東京オリンピックが開催される等大きな成長を歩みます。建築の面ではモダニズムの影響を受けながら発展し都市の人口密集に対して様々な解決策が編み出され対応していきました。
(主要な建築など:小住宅の計画、メタボリズム、公営住宅、都市住宅、集合住宅の変化)
小住宅の計画_戦後の住宅不足を解決する為に小住宅の計画が進みました。(最小限住宅/増沢洵自邸など)
公営住宅_同じく戦後の住宅不足を解決する為と生活状況の改善が求められた為、公営住宅が生まれ食寝分離型の設計が広がりました。(標準設計51C型など)
メタボリズム_
日本の建築家などが主導となり提案した建築運動のことで、都市や建築の新陳代謝(メタボリズム)を唱えました。(中銀カプセルタワービル/黒川紀章など)
都市住宅_
建築家による密集した都市での豊かな暮らしが模索され様々な住宅が建ちました。(塔の家/東孝光など)
集合住宅の変化_集合住宅が立ち並び街並みを形成するようになります。(代官山ヒルサイドテラス/槇文彦など) また、住宅の商品化によりnLDKの設計・表現手法が広まりました。

・平成

森山邸(「TECTURE MAG」より)

昭和後期に提唱されていたポストモダンの流れが流行し、それ以前のモダニズムの建築のあり方を見直す動きがありました。またグローバル化が活発になり日本と世界の距離が近まり多様化が進みました。
(主要な建築など:ポストモダン、集合住宅の多様化)
ポストモダン_住宅作品の方向は地域性などと結びつき多岐に渡り変化を見せました。(森山邸/西沢立衛など)
集合住宅の多様化_
多様化した社会に対応した新しい住まいのあり方が提案されていきました。(コーポラティブハウス、コレクティブハウスなど)

・令和(現在)

タマディック名古屋ビル(「日経クロスビル」より)

世界的なインターネット産業の隆盛、コロナによるグローバル化の停滞、自国ファースト政策など混迷の時代ですが、世の中の流れや建築においても所有の概念から共有や共助の概念へと価値観・考えが変化していると考えています。
(主要な建築など:木造建築の見直し、住まいの多様化)
木の建築への回帰_世界的にサステイナブルな社会が求められている現代において木の建築は相性が良く技術発展によって様々な建築に応用できることが期待されています。(タマディック名古屋ビル/坂茂など)
職住空間の多様化_
地域内での共生(コミュニティの回帰)や暮らしの共生(シェアハウス)、働く場所の多様化(コワーキングスペースなど)が進み建築がどう応えていくかが課題となりそうです。

・終わり

最後まで読んで頂きありがとうございました。以下の資料を参考にさせて頂きました↓
・建物が語る日本の歴史 (海野聡 著)


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