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フランス人に何より好評だったChiffonなロールケーキ

ZENなおいなりさんに引き続き、フランス人にウケた食べもの甘いもの編です。最後に作り方も、のせてあります。

高頻度で開催されるフランスの職場の持ち寄りパーティー。何を持ってくるのかを書き込むリストがあるのは、前回も触れたとおり。
リストが、sucré(甘いもの)とsalé(塩っぱいもの)の2つの枠に分かれていることがあります。食事系のものと、デザート系のもののバランスを取るためです。
おいなりさんは、甘じょっぱいけど、一応、お食事としています。でも、デザート系が少なそうな場合に備えて、甘いもののレパートリーも必要です。また、友達の家に呼ばれたときも、「何か持っていくものある?」と聞くと、デザートを頼まれることが多めです。

お菓子の国、フランスですが、実は、日本に比べて、ケーキのバリエーションに偏りがあります。伝統的なフランス菓子はどれも、重めでズッシリしているのです。
人気パティシエのモダンなケーキは、軽い口当たりにはなってきていますが、もれなく日本の影響を受けているような気がします。そして、そういうケーキは、ゆず、抹茶、黒ゴマなどの、和の香り付けをしたものが多いのです。パリでは、日本人パティシエが大人気。彼らが業界を牽引している印象すらあります。

私が初めて、職場に持っていったケーキは、パリ16区のヤマザキパンのMatsuriという名前で売られているショートケーキでした。その頃、近所に住んでいたので、一番近くのケーキ屋さんということ、自分が好きだからという理由だけで、なんとなくショートケーキを買って持っていったのでした。

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これが、フランス人の同僚たちに大好評。私にとってショートケーキは、一番ベーシックなケーキ。何が特別なのかは、当時、渡仏したばかりでよくわかっていませんでした。良い点を掘り下げて聞くと、まずフワフワのスポンジケーキが新しい、とのこと。こういった軽い生地で出来たケーキは食べたことがないそうです。
フランスのケーキは、基本、バターたっぷりのパイ、濃厚なチョコレートムース、果物がのっていたとしても、どっしりとしたカスタードクリームが隠れています。

こういった理由で、シフォンケーキも持っていくと人気です。雲を食べているようだと、詩的に形容してくれた友達も。軽くて甘さがダイレクトじゃないところも、罪悪感なく食べられて良いのでしょう。パリジェンヌはカロリーに敏感です。シフォンケーキは、日系のケーキ屋さんやレストランでも食べることができます。
ただし、シフォン(Chiffon)という単語、フランス語では雑巾という意味なのです。英語では、軽い布地を意味するので、そこからきているのだと思いますが。私の周辺の人達は、もうすっかり雑巾ケーキという呼び方にも慣れたようで、フワフワしたケーキを持っていくと「シフォンっぽいね」というまでになりました。

あとは、ホイップクリーム。前にも書いたのですが、フランスの生クリームは乳脂肪分が低く、固まりません。私はマスカルポーネを10%以上入れているのですが、フランスではホイップクリームにするための粉があります。その粉を入れて作ったホイップクリームは、ちょっとボソボソした感じに仕上がり、日本のホイップクリームとは少し違います。

苺のショートケーキ、実は日本のお菓子なんです。フワッとしたスポンジケーキ、軽〜いホイップクリームに、苺の爽やかな酸味。あんな軽いケーキにはフランスでは滅多に出会えません。見た目は大ぶりなのに、大きさを感じさせない軽さでペロッと食べられてしまう!と感動されます。

それから、パリのヤマザキパンには結構な頻度で、ショートケーキを買いにいきました。ただ、人気商品のため、確実には買うためには前日に電話予約をしておく必要があるのと、お値段が張るのです…。あと、崩れないように持ち運びにも気を使います。

そこで、友達の日本人パティシエに、こういうケーキはできないか相談しました。

・苺のショートケーキと同じような味
・スーパーで買える材料でできる
・当日思い立ってすぐできる
・持ち運びがラク

そこで、考えてくれたのがロールケーキでした。ロールケーキは、切る前の状態であれば、持ち運びのときにもそこまで気を使わなくて良いし、パーティーの参加人数が不確定でも切るときに調整できます。材料もシンプル、特別な型も必要ないし、何より、いちごを入れればショートケーキの味になります。
いちご以外にも、季節の果物に置き換えできて、簡単にバリエーションが出せます。シロップの元になるジャムも、果物との組み合わせ次第で、新しい味が生まれます。例えば、抹茶の生地にあんこを入れれば和風に。そして、生地が薄い分、焼き時間も短いので、すぐに出来ます。
そんなわけで、このときから、ロールケーキ作りにハマったのです。

ただ悲しいことに、引っ越して、家のオーブンが変わったことで、友達に教えてもらったレシピではうまくいかなくなってしまいました…。何回作っても、巻くときに割れてしまうのです。そこで、コツをつかみはじめていたシフォンケーキの手順を応用し、試行錯誤を重ねて、このレシピになりました。もし、コーンスターチがなければ、全量薄力粉でも大丈夫です。コーンスターチを入れるとキメが細かく、割れにくくなります。

【材料】
・スポンジ
卵…3個
砂糖…50g
薄力粉…30g
コーンスターチ…20g
☆牛乳…大さじ1
☆サラダ油…大さじ1
☆バニラエッセンス…適量

・シロップ
好きなジャム…大さじ1
水…大さじ1

・ホイップクリーム
生クリーム…100g
砂糖…10g
マスカルポーネ…20g (フランスの生クリームであれば)

・季節の果物

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【準備】
・オーブンを170度に予熱しておく。
・クッキングシートの四隅をホチキスで止めて、20cm×25cmの型を作っておく。

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【作り方】
① 卵白と卵黄を分けたら、卵白は冷蔵庫へ。
② 卵黄に☆と砂糖半分を加えて乳化するまでよく混ぜる。

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③ 薄力粉とコーンスターチを②にふるいながら加え、粉っぽさがなくなるまで混ぜる。

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④ 卵白を冷蔵庫から取り出し、残り半分の砂糖を加えて、ツノが立つぐらいのシッカリしたメレンゲを作る。

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⑤ メレンゲを泡立て器ひとすくい分、③に加えて馴染むまで混ぜる。ここでは泡が潰れてしまっても大丈夫。

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⑥ 残りのメレンゲのボウルに⑤を加え、ヘラに持ち替えて、泡を潰さないように、底からすくい上げるように混ぜる。

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⑦ ⑥を型に流し込み、型を傾けて生地が全体に行き渡るようにする。

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⑧ 170度のオーブンで12~15分焼く。
⑨ 焼いている間に、ホイップクリームの材料を、かために泡立てる。

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⑩ 焼き上がって、粗熱が取れたら、クッキングシートから外して完全に冷ます。焼き上がり時の膨らみはしぼむけど大丈夫。そこに水でのばしたジャムのシロップを塗る。今回はいちごジャムで。

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⑪ ホイップクリームをのせる。このとき、四隅と真ん中にのせて、間をつなぐように塗ると、均一な厚みになる。

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⑫ 果物を、巻終わり部分と両端は少しあけてのせる。巻くときに両脇に果物が寄ってくるので、端はのせなくても大丈夫。

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⑬ クッキングシートと一緒に一気に巻く。

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⑬ ラップで包み、冷蔵庫で1時間以上休ませたら、完成! 冷蔵庫に置くときは、巻き終わりが下にくるように気をつけて。

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この状態であれば持ち運びの際の型崩れも防げます。

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一晩寝かせると、しっとり馴染んで、もっと美味しくなります。
これは、2日目のロールケーキの断面です。
さくらんぼや、ブルーベリーなど、色が濃い果物は生地に色が移ってくることも。

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抹茶味にしたいときは、5gほどの抹茶を③のタイミングで他の粉類と一緒に混ぜましょう。

Bon appétit !


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