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読了「いい教師の条件」~教師ほど魂を打ち込める感動的な仕事はない~


年末は、けっこうゆったりする時間が持てた。コロナによって外出や飲み会が減った結果、家の片づけをする時間が増えたからだ。今年読んだ本の数を数えてみると63冊。例年より時間をとって読めたかなと思う。

「いい教師の条件」とは何か

さて、最後に読んだのは諸富祥彦さんの新著。教師だけでなく保護者にもわかるように、東須磨小の教師間暴力事件やコロナ禍など、最新の事件を取り上げてこれからの学校現場で求められる教師像を解説している。なによりこの言葉は、教師を勇気づける一言だ。

教師ほど魂を打ち込める感動的な仕事はない

第1・2章では、教師の忙しさや悩ましい人間関係について分かりやすく紹介。第3・4章では、いじめ・不登校や保護者との関係づくりについて、押さえておきたいポイントと具体的な提案が述べられている。研修や職員会議で使えそうな内容である。

保護者向けには学校と「パートナー」になろうと提言し、教師を育てる視点を説いているところは、正直「助かるな」と思った。そういう関係を、まさに作るべきだと、常々自分も感じていたからだろう。

さて。特に心に残ったのは第5章「『できる教師』に必要な6つの資質」だ。その6つとは以下、

1 リレーションづくりの能力

2 人間関係のプロ

3 対話型の授業ができること

4 少数の子どもに徹底的に寄り添うことができる

5 教師であることの使命感と情熱(ミッションとパッション)

6 援助希求力

1、2、3、6は、今まさに求められている資質だと思った。特に、4の「少数の子どもに徹底的に寄り添うことができる」。ここを読んで、ぐっと心が熱くなった。(以下引用)

私は、「本当に力のある教師とは、少数派の子どもの立場に徹底的に立つことができる教師である」と考えています。「本当に力のある教師」は、たとえほかの教師と対峙してでも「少数派の子ども」「弱い立場の子ども」の立場に立ち、そうした子どもを守ろうとします。(p.222)

K先生との出会い

今思えば、自分が出会ってきて影響を受けた先生たちは、みんな「少数派の立場」に立てる人たちばかりだなあ…。

自分が教師にあこがれたのは、6年生の担任だったK先生。初めての男の担任で緊張したけど、おおらかな心と情熱を持った先生だった。

参観日の理科で、「ろうそくは何が燃えているか」という授業だった。自分は自信満々に「芯が燃えている」と発表。実験の結果、燃えているのはロウだったことが分かり、穴があったら入りたいくらい恥ずかしくなって泣きそうになっていた。その時に、K先生が声をかけてくれた。

「emaxのおかげで、授業が盛り上がったわ。ありがとうな。」

間違っていいんだ。間違うことが、さらなる面白さにつながる。そのことを教わった。元気でパワフルな先生だったが、こういう細やかな声かけを子どもたちによくかけていたから、みんな先生が好きだったと思う。

「人として生きよ」

卒業アルバムにK先生が書いてくださったこの言葉は、自分の人生における羅針盤となり、自分の進むべき道へ導いてくれている。「人として」とはどういう意味か。今も考えている。こんなふうに「これだけは伝えたい」という思いを心を込めて伝えてくださる恩師と出会えたおかげで、今の自分がある。

自分もこんな先生に、というよりこんな人間になりたいと思った。それが、教師になった動機だった。そして、今も強い「使命感と情熱」を与え続けてくれている。

自分なりの「人として生きる」を

今年はやった「鬼滅の刃」。自分は映画の前から煉獄推し。でも、改めて読むと「思いを受け継ぐことが人間の強さ」というテーマが、常に作品を貫いている。コロナによる死への不安が漂う世の中に、その救いとなる物語が必要だった。「鬼滅の刃」はその役割を見事に果たした作品だったと思う。

他にもたくさんの教師と出会い、自分にはモデルとなる「いい教師」がたくさんいる。まず2020年の終わりに、そのことに感謝したい。そして、次は自分がK先生や煉獄のようになって、後進を導いていけるようになりたい。

それが2021年の目標。そして今現在の「人として生きる」だ。

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