見出し画像

敵意帰属バイアス

今日はSNS等によく現れる「なんでそんなに曲解するの?ネガティブ過ぎない?」「議論しても議論にならずに常に平行線」という人のお話です。

敵意帰属バイアス」といいます。

「敵意帰属バイアス」とは「認知バイアス」の1種です。

「認知バイアス」とは、心理学用語の一種で、人が物事を判断する場合において、個人の記憶や習慣、常識や周囲の環境などによって非合理的な判断を行ってしまうことをいいます。

その中でも「敵意帰属バイアス」とは、他者の言動が自分に敵意や悪意がある言動だと歪んで認知してしまう心理傾向のものをいいます。自分が敵意を持っているのではなく、相手が敵意を持っているという誤認識が原因で発生する歪みです。

すべての他者を対象にそのようになる人もいれば、ある特定の言動の人に対してそのようになる人もいます。

「何言っても通じない、いつまで経っても平行線」
「そんなつもりで言ってなくても全部ネガティブに捉えられてしまう」

そういう人が周りにいたら、その人は「敵意帰属バイアス」にとらわれているかもしれません。

「質問されただけなのに、何か裏があるんじゃないかと勘繰り、詰問されているように感じてしまう」
「自分でもそれが真意ではないのに、つい言い訳や反論をしてしまう」

そういう経験があったら、あなたは「敵意帰属バイアス」にとらわれているかもしれません。

そう考えると「あーなるほど」という心当たりの多い過去のいきさつも多いかもしれません。

例えば、外出の確認(交通費の清算など)で「○日はどこ行ったの?」と行先(訪問先)を聞いたときに「なんですか?○○ですよ!ちゃんと行きましたよ!」とあたかもこちらがアリバイを証明しろと疑ってかかってるような対応をしてくる人。

単に聞いてるだけなのに被害妄想で疑われてるように思ってしまったりするパターン、双方に心当たりあると思います。

SNSなどでもポジティブに書いたつもりなのに「なんでそんな曲解するの?ネガティブ要素ないのに」という場面にもよく遭遇すると思います。その場合もこのパターンが多いです。そういった人にはいくら説明しても平行線(もしくは悪化)です。

やたらと自分の行為を否定的にとられたり、逆に相手の行為を理解できなかったり、怒りが伴うものもありれば無いものもあり、いろいろですが、だいたい共通する点として「説明をどれだけしても理解を得られず永遠に平行線」もしくは「何回説明されてもなんでこっちの意見が通らない」という相互に理解が進まないという点です。

昔は年齢とともに減少していくものと思われていた

「敵意帰属バイアス」は子供にはよくある話で、大人になるにつれて減少していくものと思われていました。

例えば、明日提出するレポートを落としてしまい、拾おうとした瞬間に踏まれてしまい、もう一回準備しなおさなければならなくなった、という例の場合。「敵意帰属バイアス」の強い人は「わざと踏んだ」と認識してしまいます。この時に踏んだ相手が友人の場合と他人の場合で感情が違ったり、謝り方によってわざとと思いこんだり等、相手によって感じ方が違うといいます。

子供の場合、知らない人が踏んだらショックを受けるだけのものが、友人だったらケンカになったりしますよね?ああいう差が昔は年齢とともに減少すると思われていたものが、実はそうではないということが最近の実験で検証されたりしてるそうです。

原因

「敵意帰属バイアス」の原因は「認知の歪み」です。

歪みを発生させる主な理由としては「弱い自分を守るため」というのがほとんどだそうです。

・自分に自信がない
・絶対的な経験が足りない
・自己肯定感が低い

こういう人が「敵意帰属バイアス」にとらわれやすいそうです。

自分に自信がないために相手とのコミュニケーションに恐怖を感じてしまい、つい自己防衛に入ってしまうというのが多いそうです。

マウントを取りたがる人、格下に見られることを恐れてつい背伸びをしてしまう人などもそのパターンです。

以前 note にも書いた「承認欲求」とも関係がありそうに思います。経験が少ないことを補う(ごまかす)ために認められたいという心理から自己防衛に走っているとも考えられます。そうなると、年齢とともに経験が積まれ減少していくと考えがちですが、最近はそうではない事も多そうです。

対処法

「敵意帰属バイアス」にとらわれている人とのコミュニケーションは非常に困難です。なんでもネガティブにとらえられ、かつずっと平行線だからです。対処法としては、「割り切る」「認める」「距離をおく」の3つだそうです。

割り切る

相手は誤解をしているのではなく、認知が歪んでいるので、誤解を解こうとしても無駄で、認知の歪みがある限り平行線は続きます。そういう相手だと割り切って、その部分に関しては話を終わらせるのが賢明です。

認める

もう一つの方法はこちらが全面的に認めて、相手に合わせる方法です。家族や会社員など、離れられない関係の場合は平行線のままではお互い辛いので、相手を認めることも大切です。

距離をおく

「敵意帰属バイアス」は誤解や認識の違いといった類のものではなく、認知の歪みなので、これは一朝一夕には取り払えません。距離をおくというのも方法の一つです。SNSで「FF外から失礼します」と来た初めての人とは何も考えずに距離をおく(=ブロックする)のが正解だと思います。


「認知の歪み」に振り回されて体調を崩す(うつ状態や統合失調症になる)人も最近増えているそうです。自分自身の健康を損なわないように気を付けたいものです。

まとめ

まず「こういう人がいる」という認識をすることで、相手に優しくなれます。

まわりにとらわれている人がいないか、自分自身もとらわれていないか、時々チェックしてみてください。


というところで、今回はここまで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?