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異動して3ヵ月でCSチームのMVVを策定した話

こちらのnoteでは、1ヵ月間でCSチームでのミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の策定をおこなったプロセスをまとめていきたいと思っています!
チームの立ち上げでMVVの策定を考えている人やこれからMVVの策定をしていこうかなと考えている人に届いてもらえると嬉しいです!

なぜnoteにプロセスをまとめようと思ったのか?
それは、私自身がMVVを策定するときにたくさんの方のnoteを参考にさせていただいたからです。短期間で策定をする必要があったため、今まで実践してきた方の知見を参考に取り組めたことにとても助けられました。だからこそ、私のnoteを読む人がいるかわかりませんが、誰か一人でも少しでも力になれればと思ってまとめたいと思います。他社さんように上手く格好良くまとめられませんが、ありのままのプロセスをまとめようと思っています。

私のモヤモヤがきっかけとなった

私は今年の4月にいまの事業部に異動してきました。
簡単に事業部のことをお伝えすると、学校へプロダクトを提供しており、私はその中で実際にプロダクトを活用いただく先生のサポートをおこなう、CS(カスタマーサクセス)というチームに所属しています。
初めての環境だからこそ“感じるもの”ってありますよね?
この感覚はずっと同じ場所で働くと、それが当たり前になって疑えなくなります。だからこそ、初めの3ヵ月間はいろんな意味で重要な期間だと思いながら日々過ごしていました。
“感じるもの”の1つがチームの中で共通言語がなかったり、会話がタスクの報連相だけになっていたり、つまりチームとしての「目指すべきもの」が定まっていないように感じたことです。
特に私たちCSチームは7名中6名が今年の4.5月に異動や転職をしてきたメンバーなので、事業部のことも業界のことも顧客のことも理解しきれていないチームでした。なので、「目指すべきもの」が統一されていなかったことはもしかすると当たり前のことだったのかもしれません。
それでも、私がこの事業部に異動をしてきたことは事業部が掲げるビジョンに共感し、それを体現したいと思ったからです。仕事をすることが目的ではなく、事業部のビジョンや会社のビジョンを達成することを目的としたときに、所属しているチームの「目指すべきもの」をチーム内で統一しておく必要があると感じました。

サマリ

  • 一人で策定を推進していくにも限界があり、MVVの策定に対して共感してくれる仲間の存在が議論していく上で重要になった

  • トップダウンで決めるのではなくチームメンバー全員で決めていく過程に大きな価値があった

  • 時間をかければいくらでも議論をおこなえるが、決められた時間でアウトプットするためには事前の想定(準備)と意思決定する力が求められる

  • 議論していく上で自由な発想も必要だが、MVVのそれぞれの「主語は誰なのか」という軸がないと話はまとまらない

策定のプロセス

  1. マネージャーとの合意形成

  2. CSチームメンバーへの合意形成

  3. 第1回全体MTGに向けた事前準備

  4. 第1回全体MTG実施(3h)

  5. マネージャーとの振り返りMTG(0.5h)

  6. 朝会ショートMTG(0.5h×3d)

  7. 第2回全体MTGに向けた事前準備

  8. 第2回全体MTG実施(2h)

  9. マネージャーとの振り返りMTG(0.5h)

  10. 最終報告会(0.5h)

それぞれのプロセス

1.マネージャーとの合意形成

当たり前ですが日々の業務時間をこういったことに時間をかけるには上長の承認が必要です。MVV策定のきっかけは上記にも記載していますが、実際にやってみようとなったのは当時のマネージャーとの1on1の中で決まりました。
私たちのチームでは「チームに貢献する個人の定性目標」を設定します。1on1において、私が働く上でMVVについて大切にしていることをお伝えし、それがいまのチームにおいて足りていないと感じていることを伝えました。特にCSはどのチームよりも顧客と一番近い距離にあり、顧客を成功に導いていくことが求められるうえで、様々なものを定義したり言語化することが必要なチームだと思っています。事業部のビジョンやカスタマー(先生)がサクセス(成功)している姿を我々が言語化出来ないと、それを実現することは不可能だと思っています。
そして、1on1の中で話を進めていく上で、CSチームのMVV策定が私の個人の目標になりました。ハードルが高いものだと思っていましたが、マネージャーからも「一緒にやっていきましょう」と背中を押してもらえたこと、味方がいたことは進める上でも大きなきっかけになりました。

2.CSチームメンバーへの合意形成

先ほどもお伝えしたように、私たちのチームでは「チームに貢献する個人の定性目標」があり、基本的に目標設定はマネージャーとそれぞれが決めていくことなので、私の目標が「CSチームのMVVを策定すること」と伝えても、特に否定的な反応は無かったです。(思っていても言えなかった人はいたかもしれませんが…)
スタート時に全員の合意形成をきちんと得られた状態でMTGが進められるのと進められないのとではその後の議論においても雲泥の差があると思っています。そういった意味でも、とても仲間に恵まれたチームです。また普段から私がビジョンについて大切にしていることを発信しており、その姿を見てくれていた仲間が「植田さんが言うなら」と理解を示してくれたこともあったので、普段の姿勢の大切さも感じました。

3.第1回全体MTGに向けた事前準備

策定をしていく上での合意形成が得られた後は第1回のMTGに向けての準備です。
事前準備で意識したことは以下の3つです。
①全体MTGの場で各メンバーが意見が言いやすい環境をどうしたら作ることができるか
 誰も答えのわからないものを考える場だからこそ、一番大切になってくるのがそれぞれの意見だと思っていました。そして、全員が参加する意図もそこにあるからこそ、この環境をどのように作りだせるのかを考えました。
②議論を進める上で定義付けがズレないようにすること
 意見が言いやすい環境にプラスして、前提の定義がズレていては意見をまとめる時に整理がしきれなくなることが想定されました。また「自由に考えていいよ」と言われると一見考えやすいように思われますが、意外に考えづらいものです。(今日のご飯何食べたい?何でもいいよ。みたいな感じでしょうか。)その為、ミッション・ビジョン・バリューに対してそれぞれ定義を明確にするようにしました。
③発起人である私の想いをどのように伝えられるか
 MVVを策定し実践し浸透させていくには、論理的なロジックというよりも発起人の感情的な強い想いが必要だと思っています。その想いに仲間が共感していくことが始まりではないでしょうか。綺麗な言葉というよりも自分の言葉でそれをどのように伝えるかを考えていました。

4.第1回全体MTG実施(3h)

当日は3hをかけてビジョン・バリューを策定することをゴールにMTGを設計しました。(ミッションは事業部ビジョンに定義づけしています。)ちなみに、3hで策定するなんて短すぎです。でも、事前準備の想定的には出来るだろうと思っていたんです。
結論からお伝えすると、案の定想定の3分の1程度しか進みませんでした。

以下が当日のアジェンダです。(★がこちらのMTGの中心でした)
・MTGの約束について
・MTGの背景(私の想い中心)
・MTGのゴール
・MVVの定義確認
・顧客の定義づけ
★CSチームのビジョン策定(個人ワーク・グループワーク・全体ディスカッション)→こちらの途中で予定の3hが終了
★CSチームのバリュー策定(個人ワーク・グループワーク・全体ディスカッション)
・今後の流れ

ちなみに、完全オンラインで実施しました。オンライン環境でも話がしやすいようにミュートはなるべく解除してもらうようにMTGの約束でも伝えたりしました。
事前準備でもお伝えしたように、ミッション・ビジョン・バリューの定義を議論の前におこないました。(定義は以下の通り。)

写真の通り、まず初めにミッションを事業部のビジョンと定義づけました。そして、ビジョンを顧客がミッションを実現している姿と定義づけました。最後に、バリューはビジョンを実現するための我々のスタンスと定義づけました。MVVが全て繋がっている状態になったので、上から逆算しながら議論をおこないました。

CSチームのビジョン策定の個人ワークまでは順調に進んでいたのですが、グループワークからそれぞれの意見をまとめにいく作業に入ると、議論がなかなか進みませんでした。定義の認識を合わせても、個人の意見は様々なので、それを1つの意見にまとめようとすることは、そんな簡単なことではありませんでした。また、その場で議論をするということは、周りの人の意見を聞きながら「私はこう考える・こういう視点もあると思う・・・」とスピード感が無いと議論が進んでいかないのですが、人はそれぞれです。その場で考えが思いつく人もいれば、整理するのに時間がかかる人もいます。その辺りの配慮や調整が出来ずに進めてしまったこともあり、時間内に終わることが出来ませんでした。

5.マネージャーとの振り返りMTG(0.5h)

MTG終了後に元々マネージャーとの振り返りを予定していたので、状況や情報が新しいうちに早速マネージャーとの振り返りをおこないました。
MTG全体に関してポジティブな面はあったものの、予定していた時間内には議論を進めることが出来なかったことを中心に今後のスケジュールの確認をおこないました。

フィードバックは以下の3つ。
(1)グループや全体で議論をする時間になってから、せっかく定義を決めていたはずなので定義からズレる議論になったところを方向修正が出来ていなかった。
(2)時間を延々に伸ばし議論をすれば誰でも決められるが、事前に決めた時間の中で答えを決めていくには議論が止まったり進まないときに、自らで意思決定するように働きかけなければいけなかった。
(3)その場で周りの意見を聞いて自分の言葉でアウトプットが出来る人と、情報を整理するのに時間がかかる人がいることも念頭に置きながら準備できることがあったかもしれない。

フィードバックの内容をもとに決めた方針が3つです。
①議論途中だったビジョン策定に関しては朝会も活用しながら今日のMTG内容が頭に残っているうちに進めていく
②バリュー策定に関しては改めてMTG時間を設けるが個人ワークは事前に宿題として提出してもらい個人の意見が出ている時点で議論を進めていく
③議論がまとまらない場合は、出そろっているピースで何が足りないのか、どこに違和感があるのか議論が進むように投げかけながらもまとめるように進めていく

6.朝会ショートMTG(0.5h×3d)

朝会の時間を3日間いただき、残りのビジョン策定をすることが出来ました。第1回全体MTGの翌日から実施が出来たこともあり、みんなの頭の中にも議論の内容が残っていたので思いのほかスムーズに進めることが出来ました。本当にチームメンバーに感謝です…
第1回全体MTGと朝会の時間を使ったので結局4.5hかけてビジョン策定が出来ました。もちろん想定以上に時間はかかっているものの、全員が納得したものを完成させることが出来たことが何もよりもよかったです。

7.第2回全体MTGに向けた事前準備

第2回全体MTGはバリュー策定です。
第1回全体MTGの反省としては、アウトプットに時間がかかるメンバーとかからないメンバーがいることによって議論がなかなか進まなかったことです。
そのために、以下3点を準備しました。
①個人ワークを事前に提出してもらうことで事前に自分の意見をまとめてもらうこと
②全体の意見を私なりにまとめ、たくさんの中から議論をするのではなく、私がまとめた全体の意見をもとに議論が出来るようにすること
③MTG開始時にすぐにグループワークではなく、全体の意見と私のまとめた意見に目を通してもらった上で自分の意見を整理してもらう

そして、バリュー(行動指針)を考える上では定義づけをより意識しました。バリューには「スタンス(価値観)」と「具体的な行動」があります。これがごっちゃになってしまうと、議論を進めていく上でも少しづつズレてくるので、私たちはバリュー=我々のスタンスと定義づけて議論を進められるように準備しました。

8.第2回全体MTG実施(2h)

結論からお伝えすると、予定していた2時間できっちりとバリューを策定することが出来ました。

以下が当日のアジェンダです。
・個人ワークをまとめた私の考えたバリューを読んでもらう
・全体の意見も確認しながら私の考えたバリューに対して個人でコメントをしてもらう
・個人でコメントしたものを見ながら全体で議論をおこなう

第1回全体MTGと違って予定通りに議論を終えることが出来た要因としては以下2点です。
①メンバー全員が「タイムイズマネー」の意識で決められた時間内で策定しようとMTGに臨んでくれたこと
②前回策定したチームビジョンを達成するためのバリュー策定だったので、自分たちで考えたビジョンに沿って考えることで議論がスムーズに進んだこと

また、普段から仕事に取り組んでいるスタンスや顧客に大切にしているスタンスがある程度一致していたのも議論をスムーズに進められることが出来た要因だったかもしれません。

9.最終報告会(0.5h)

今までみんなで考えてきたものを改めて再確認する時間です。

以下が当日のアジェンダです。
・MTGのゴールと背景の確認
・MVVの定義の確認
・策定したMVVの確認
・今後の取り組み
・事業部長からの一言

そして、こちらが私たちが策定したMVVです!

今後の取り組みで一番伝えた内容としては、「MVVを策定して終わりではない」ということです。
ここまで時間をかけて策定してきたものを実践し、チームの共通言語にし、チーム内で浸透させ、文化にすることが出来るかが大切です。
発起人としての私の責任はここから問われると思っていますが、それは一人では出来ないのでみんなで取り組んでいきましょう。
そんなメッセージを伝えて、MVVの策定が終わりました。

全体を振り返ってみて

ここまで長々と読んでいただき、ありがとうございました。
上手くいったことや失敗したこともそのまま書いてみました。
当時、他社のMVV策定に関するnoteを読んでいて思ったことが「本当にそんな簡単に策定できたのか?」という点でした。なので、色々とリアルなことも書かせてもらいました。
本来、こういったMVVには数ヶ月かけてやっている会社がほとんどでしたが、私たちには限られた時間(1ヶ月)しかなかったです。1回のMTGでの反省点を改善して次回のアクションに移せたのがよかったなと思います。そして何よりも、チームメンバーの協力的な姿勢が短期間での策定には大きく影響しています。良く言われる言葉ですが「誰と仕事をするか」って本当に大切だなとこの機会に再認識することができました。そして、この時間で「誰と何のために仕事をするか」を明確に出来たことがとても嬉しいです。

さて、これからMVVの策定を考えている方。
誰か一人でも参考になれば幸いです。
チームメンバーが好きな言葉で締めくくります。
「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」
MVVを策定は目先ではなく長期的な成果に繋がるものです。そのために、是非みんなで議論を進めて取り組んでみることをお勧めします。

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