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バスク地方の湧き水の塩 アンセストラル

 スペイン北部に位置するナバラ州は、『美食の町』として世界的に有名な「サン・セバスチャン」という街を支える農業州として知られています。

 バスク地方というのは、現在の「バスク州」「ナバラ州」「フランス・ピレネー地域」を含む一帯の地域を指しています。そのバスク地方の一部を構成している「ナバラ州」。農業が盛んで、森と砂漠が混在する自然豊かな州。その中心の町が州都・パンプローナ。この町は、日本では「牛追い祭り」として有名で、人口が20万人の町。食が観光資源の一つで、数多くのバルやレストランが営まれています。

​ その街から車で1時間。小高い山を越えて、下った谷に、500枚くらいの塩田があります。Google Mapで「sel des pyrenees」と検索を掛けてみて下さい。あ、衛星画像モードで、検索を掛けてみてください。すると、緑の山と茶色の畑の中に、ポツンと真っ白の塩田が見つかります。ちょうど、周りをお鉢状に囲まれている地形も何となく分かってもらえるかと思います。

 ​​ここら辺一帯の地下3,000m辺りに2億2千万年前の岩塩層が横たわっていてます。地上からピレネー山脈一帯の雪解け水が山肌に染みわたって行きます。その水が地下の岩塩層を通って、地上に湧き出てくる頃に塩水になる、下の画像がその湧き水です。世界でも稀な現象なので、最初は理解出来ませんでした。ですので、絶賛熱量を込めて、文章を書いている次第でございます。

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​ 湧き出た塩水は、一旦塩田に溜められます。そこから、太陽の光の強弱加減と、各方向から吹いてくる風の具合で、時間を掛けて水を蒸発させて塩の結晶を作り出します。

 ​穏やかな太陽の光は、ゆっくりと水分を蒸発させていくので、大きめの結晶を形成します。また、北東からの比較的強い風は、塩田の結晶と水分を何度も攪拌しながら、塩を形成していきます。

​ 同じ塩水、同じ塩田でも、太陽の加減と風の加減によって、出来上がった塩のミネラル分まで変わってくるのです。本当に自然の不思議です。

​ この「湧き水の塩・アンセストラル」の塩は、このようにして出来上がっています。2億年以上の地殻変動と、古から続く自然の変移が、この塩水を作っています。

​ この塩、スペインの第三者機関での分析結果で、45マイクロメートルのマイクロプラスチックの混入が見られませんでした。これも、ひとえに人の手が入らない国立公園の山々の恵みと、地球が2億年以上前から作ってきたお陰だと感じるのです。

​ お料理の素材の味を引き立てる塩です。是非、ご賞味ください。


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