<事件検証シリーズ>伊藤詩織さんの事件現場を歩く①シェラトン編
控訴審判決、双方に支払いが命じられた
伊藤詩織VS山口敬之裁判控訴審は2022年1月25日、判決が言い渡されました。判決は控訴人である山口氏に原審の賠償金に加えて通院費等の支払いが追加された332万円余の支払いが命じられ、伊藤氏には山口氏への名誉毀損に対する損害賠償金55万円が命じられました。(ドラッグを盛られたとの公表行為について)
山口氏は即日上告(判決の取り消しまたは、変更を求めて最高裁判所へ訴えること)を表明しました。
控訴審はやり直し_そう別件の裁判で傍聴した私には意外な判決でしたが、伊藤氏が主張する立証できない噂を撒き散らすレベルの公表行為にも熱いお灸が据えられました。
この事件概要は「デートレイプドラッグを山口氏から盛られ、意識不明にされて部屋に連れ込まれ、レイプされたジャーナリストが性被害を果敢に公表した裁判」と世間は認識していると思います。
しかしこの判決では「過度の飲酒による酔っ払いの男女のトラブル事件」になります。果たして、逮捕状が出る事件だったんでしょうか?
二人が事件当夜、最初に訪れた渋谷区恵比寿の串焼き屋『まくら とよかつ』では女性の方が積極的だったと証言しています。(とよかつ聴取書)
私は山口氏が同意を誤解した可能性は排除できないと思っています。(二軒目が「シェラトン都ホテル東京」に向かうタクシーを拾った場所の高級寿司店「喜一」です)(喜一聴取書)
ノンフィクションジャンルの信用を貶めた賠償命令
伊藤詩織さんの著書『BlackBox』には読者が(山口氏がドラッグを飲ませた・山口氏が逮捕中止を認めた・空港で刑事が逮捕できなかった)等の読者が山口氏が極悪人だと誤解する表現が多数あり、今回はそれが認められたことに少し安堵しました。彼女は「ノンフィクション」というジャンルの信用度を低下させたライターだという認識です。
この判決の恥ずかしいところは、伊藤さんが取材と検証を重ね、権力者の闇を暴いてスラップ訴訟を起こされて負けた、とかではないところですね。自分に起きた事件なのに、本当がどうか分からないことを書き立て、言いふらしたという芸能人専用のゴシップライターと同じレベルの賠償金です。
この判決は伊藤さんにとって決して「名誉の負傷」ではないということです。
伊藤詩織さんは犯罪者なのか?
今後は彼女が何を書いても、彼女の思い込みが加味された真実相当性、客観性のない記事だと信用しないことです。伊藤さんの支援者は散々Twitter等で「原審で山口氏の不法行為が認められた!山口氏は犯罪者!」と罵っていたのですから、山口氏の支援者も「伊藤詩織さんは犯罪者ですね?」と言い返しても良いと思いますよ。
山口氏が「世の中を騒がせて申し訳ない」とこの事件について謝罪の意を表していましたが、この事件は本当に世の中を混乱させている。伊藤さんは明らかに当人同士の事件を別次元の事件に盛り上げている。そして名声を得ている。これはジャーナリストの仕事ではないです。
改めて事件現場を歩いてみよう
私はこの控訴審判決後の世論の趨勢を見て、「間違った情報が信じられ、事実ではないことが後世に伝えられるのではないか」との危機感を持ちました。この事件の真相究明を続ける人たちのご好意を頼り、情報提供を受けながら事件現場を探索し、その記録を残すことにしました。
2022年1月30日午後2時過ぎに恵比寿駅から徒歩5分ほどのところにある高級寿司店「喜一」からタクシーに乗り、二人が宿泊した「シェラトン都ホテル東京」へ向かいました。
先に相方(女性)を乗せ、私が乗り込みました。
タクシーの運転手と雑談しながら乗車した感想は「思ったよりも長い距離だ」という事です。最寄駅から宿泊ホテルへ向かう、というと四、五分のように思っていましたが、相方がストップウォッチで測るとホテル到着まで10分ちょうど。色々と話すことはあったんじゃないかな、と思いました。
シェラトンは高輪の奥まった住宅街にひっそりと立つ都会の隠れ家ホテルでした。
ドアマンの供述書について
週刊新潮web記事『デイリー新潮』【伊藤詩織さん事件】現場ホテルのドアマンが目撃した山口敬之の「連れ込み現場」への違和感。
(上記リンク引用)車寄せからホテルのエントランスまでの僅か10メートルほどの距離も詩織さんには遠すぎたようで、
〈足元がフラフラで、自分では歩けず、しっかりした意識の無い、へべれけの、完全に酩酊されている状態でした。「綺麗にしなきゃ、綺麗にしなきゃ」という様な言葉を言っていましたが、そのままホテル入口へ引っ張られ、「うわーん」と泣き声のような声を上げたのを覚えています〉
少し本筋から外れますが、あの夜のように、女性を先に乗せ、山口氏が後から乗車すると、運賃を払うときに女性を少し車内に待たせる事になるのに、なぜ山口氏が先に乗車しなかったのだろうか、変だな、と思いました。山口氏は伊藤さんがホテルに到着したら一人でタクシーを降りられないことを乗車の時に想定していたのかな、と思いました。
エントランスに到着するとドアマンが迎えてくれ、タクシーを降りました。ガラスの大きなドアから入館します。車寄せから玄関まで10メートルもあるかな?と思いました。5メートルくらい?
それからもう一度ガラスのドアを潜り、ホテルのロビーに到着しました。ロビーから数歩の所に大きな横長のフロントがあります。そこを通らないと二人が宿泊した部屋に繋がるエレベーターには乗れません。新潮の記事のように女性が泣きながら(ドアマンの証言)男性に連れて行かれてるのを見過ごす訳はないかな、と思いました。
そう、玄関に入ってから割とすぐ近くにフロントがありますので、「うわ〜〜〜ん」と泣きながら伊藤さんが連れて行かれたらさすがに、さすがに、これは不審に思われるのではないか、と思いました。
この辺は実際ホテルで歩くと「そりゃないなー」と思いますよ。
玄関からエレベーター迄の地図。(下記参照)
よく見てください。ドアマンが玄関で聞いたという伊藤さんの「うわ〜ん」と言う泣き声はしっかりフロントに届きますよ。目と鼻の先ですから。
2015年4月3日23時20分過ぎに二人はここを通過しました。
伊藤さんがホテルを出たのが翌日の午前5時50分頃です。
で、このフロントの前を女性を引きずりながら歩く山口氏。う〜ん。どう考えても無理がある。(高級ホテルのフロントですから深夜帯に無人になることはまずあり得ないです。客の往来が少ない深夜だからこそ、泣き声や無理矢理拉致は目立つと思いました)
フロントを通り、エレベーターで二階へ。
廊下は思ったより狭く、二人の部屋まで距離は長い。少し早歩きで部屋まで38秒。大人の女性を引きずって歩くには随分長い距離です。相方は私より大柄で背が高いことを差し引いても並んで歩くと廊下の幅は狭く、二人の大人がどちらかを引きずって38秒間歩くのは無理なんじゃないかと思いました。ですし、ネットに流出してる画像は伊藤さんちゃんと立って歩いていますよね。
防犯カメラ映像見た人は「山口氏と伊藤さんは見事な二人三脚だった」そりゃそうだ、こんな狭い廊下を大人の女性を引きずって歩いたら、重心がよれて、あっちこっち壁にぶつかって、どちらかアザが出来てるんでは、と思いました。
なので『BlackBox』に書いてある「意識のない私が山口氏に引きずられてホテルの中を...」なんていう描写は実際にはあり得ない、という感想です。
二人が泊まった部屋は廊下奥にあり、辿り着くまで廊下を挟んで左右にある部屋をいくつも通過する事になるので、途中で誰かに遭遇したら、とか考えると山口氏がそれをやる事にはリスクがあり過ぎて、無理があるなと思いました。
伊藤さんがホテルに向かう車内で「近くの駅で降ろしてください」となんども頼んだという「タクシー運転手の証言」が事件の管轄署であった高輪署から警視庁捜査一課に引き継がれる時に捜査資料から抜かれた、とそう伊藤さんは『BlackBox』に書いています。
しかし、「喜一」から「シェラトン」に向かう途中、乗車時間は10分もあり、嫌ならそうはっきりと言えるし、確かに仕事の話をしているし、これは意識があった事の証明になるので、酩酊や昏睡で意識がない場合に成立する準強姦の立件には逆に使えないと、資料から下ろしたのではないのかな、と思いました。
タクシー運転手の証言は重要ではなかった。ドラッグが否定されたら「喜一」にないはずのトイレタンクに頭をもたせて気を失ったのは単なるブラックアウトで、タクシーにも同乗し、車内で世間話をし、ホテルのエントランスを二回潜ってホテルに入ってる訳ですから、やはり山口氏は同意と誤解したのかと思います。
この裁判の記録を閲覧しているtassさんによると、検事とのやり取りの中で伊藤さんは「近くの駅で降ろしてください」と言ったのは一回だけ。だから著書の中で「なんども降ろしてくれ」と運転手に言ったというのは嘘なんです。10分の乗車時間の中で一回だけ。tassさんの考察
道徳論で人権は剥奪できない
もちろん、山口氏の行いには道徳的観点から強く非難されるに値するものですが、しかし、完全な密室の中で何が起こったか、二人が同意だったか不同意だったか、誰にもわからない。同宿した女性が不同意でしたと後から言っても、山口氏は同意を立証できないんです。山口氏の行いが道徳に反するものであっても、やってない事まで全世界に向けて発信されるのはちょっと違うんじゃないか、如何なものか、と思う次第です。
当初は「山口氏に(お酒またはドラッグを飲まされ)準強姦された」という訴えだったはずなのに(内容は強姦致傷ですが)立証が困難で裁判官の心情に判決が大きく左右する「不同意による性行為の名誉毀損」に持ち込んだ伊藤さんの弁護士の辣腕ぶりには舌を巻くばかりです。
防犯カメラが二人を見ていた…
二人が泊まったシェラトン都ホテル東京「233号室」に行く廊下の頭上にはしっかりと防犯カメラがありました。伊藤さんは二階には防犯カメラがなかった、というような事を書いておられますが、ありました。それでこれが事件当日にも付いていたら、二人のどちらかに有利でどちらかに大変不利な画面が記録されている訳ですが...
いずれにしろ、伊藤さん側が有利な証拠!とマスコミ使って流している「タクシー運転手の証言」と「ドアマンの証言」は現場行くと「ほんとなの?」と首をかしげるものです。
それから逮捕中止劇ですが、ヤフーの知恵袋に見事な質疑応答がありましたので、できたらこの事件の参考にしてください。
次回は「とよかつ女将に会いに行った!」か気が向いたらまた裁判のことを書くと思います。最高裁、注目しますよ、一応「裁判はやり直し!」と情報発信した責任がありますから。最後に、半日潰して現場取材に付き合ってくれた相方に感謝です。お疲れ様でした。
(了)