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公共施設におけるエネルギーコストの高騰対策としてのゼロカーボンに向けた取組の提案~2022年12月議会①~

公共施設のエネルギーコストの高騰の影響額は2億3千万円!

(斉藤 達也君)2日目、最後の一般質問になりました。気合を入れてやってまいりますので、ぜひ皆さんお付き合いください。
 通告に従いまして順次質問させていただきます。まず、市民の皆様の生活を脅かすエネルギーコストの高騰が喫緊の課題となっています。12月補正予算では、市所有の公共施設等の燃料費や光熱費が数多く追加計上されています。こちらも今までになかった歳出の増加という点では、市民の皆さんに大きな影響を及ぼし得るものですので、まずはそれについて伺います。
 1点目として、令和4年度当初予算における市所有の公共施設の燃料費及び光熱費の総額はどうか。
 2点目として、12月補正予算で追加計上されている燃料費及び光熱費の総額、内訳、当初予算に対する比率、財源はそれぞれどうか。また、今後の燃料費と光熱費の見通しはどうか。
 以上、2点お尋ねし、第1問といたします。

総務部長(倉島 弘一君)令和4年度当初予算における指定管理施設を除く公共施設の燃料費及び光熱水費の総計は、一般会計ベースで7億2,288万2,000円であり、その内訳は燃料費が1億1,377万4,000円、光熱水費は6億910万8,000円となります。
 次に、12月補正で追加計上した燃料費及び光熱水費の総額は2億3,154万4,000円であり、その内訳は燃料費が2,022万5,000円、光熱水費が2億1,131万9,000円となっております。当初予算に対する増減率は総額で32%の増で、その内訳は燃料費で17.8%、光熱水費で34.7%の増となり、財源といたしましては全て一般財源でございます。現在の燃料費及び光熱水費が高騰する要因として、原油価格の上昇やロシア軍によるウクライナ侵攻の影響などが考えられ、いずれも短期間に情勢が変化するとは考えられませんので、今後の見通しにつきましては大変不透明であると考えております。
 以上です。

(斉藤 達也君)ご答弁いただきました。今回の追加補正予算で燃料費及び光熱費の総額2億3,000万円、比率としては光熱費が非常に大きいと。今後見通しはなかなか難しいかもしれませんが、なかなかそう簡単に下がる状況でないのは確かですので、それだけ今までになかった余計なお金がエネルギー高騰のおかげで出ていってしまっているということが確認できました。

エネルギー高騰対策としての公共施設の断熱改修等の省エネルギー化は進める考えはあるか?公共施設への太陽光パネルの設置の取組状況は?

この事実を基に次の質問に移ります。公共施設におけるエネルギーコストの高騰対策としてのゼロカーボン施策について質問いたします。11月11日に環境エネルギー議員連盟の講演会で上田市ゼロカーボンアドバイザーを務める中島恵理さんより、「脱炭素社会実現に向けた効果的な施策」と題してご講演をいただきました。その中で、断熱改修等既存の建物の省エネルギー化は非常に重要であること、そして再生可能エネルギーに関しては特に晴天率が高くて太陽光発電に適した気象条件の上田市で、初期費用ゼロ円のビジネスモデルであるPPAが適していること、そして行政として公共施設で率先垂範すべきであるとのお話がありました。また、11月20日に開催されました上田リバース会議では、倉敷市職員で公共施設マネジメントを推進してきた三宅香織さんの講演の中で、今考えなければならないのは2050年に保有している確率の高い公共施設の脱炭素化であるとのお話もありました。要は、大事なポイントは、公共施設の省エネ化や公共施設への太陽光パネルの設置を進めて自家消費を増やすことは、エネルギーコストを削減できるゼロカーボン施策であるということです。
 そこで伺います。1点目として、公共施設の省エネルギー化は、エネルギーコストの高騰対策及び2050ゼロカーボンシティに向けた施策として有効であるが、既存の公共施設の断熱改修等を進める考えはあるか。
 2点目として、公共施設において太陽光パネルの設置状況はどうか。また、その設置の効果をどう捉えているか。太陽光パネルの設置は、エネルギーコストの削減につながり、かつゼロカーボンに向けた取組となることから、具体的な施策として積極的に検討できないか。
 以上、2点お尋ねし、第2問といたします。

総務部長(倉島 弘一君)続いて答弁をさせていただきます。
 この11月に改定した上田市公共施設マネジメント基本方針において、脱炭素化の推進方針を定めて既存施設の耐震化や長寿命化の実施の際には省エネルギー改修の実施を図り、新たな施設の建設や既存施設を更新する際は、太陽光発電の導入や快適な室内環境を実現しながら、使用するエネルギーとつくり出すエネルギーの収支をゼロにすることを目指した建築物の実現を図ることとしております。現在施設の改修工事に合わせて、外壁への断熱材の取付けや冊子の二重化など、断熱工事も実施しておりますが、全ての改修工事において実施することは難しく、予算の範囲内で可能な限り実施しているのが現状でございます。限られた予算の中で最大の効果を上げるためには、断熱改修等により今後発生する施設の維持管理費用がどのように推移し、将来負担すべき費用は幾らかを的確に把握する公共施設マネジメントの視点で、市全体として効果的な公共施設の省エネルギー化を目指して取り組んでおります。
 次に、公共施設における太陽光発電設備の導入につきましては、平成30年3月に策定の第四次上田市役所地球温暖化防止実行計画・エコオフィスうえだにおいて、日常業務における環境に配慮した取組や省エネ設備等の導入のほか、太陽光発電等の再生可能エネルギー設備の導入を推進しております。市有の公共施設への太陽光発電設備の設置状況については、30施設、559キロワット、これは発電出力でございますが、設備については施設整備の際に設置されたものでございます。公共施設への太陽光発電設備の設置につきましては、発電した電力の自家消費が図られるため、昨今の電力高騰に伴うエネルギーコストへの対策として有効であると考えております。あわせて、発電した電力は温室効果ガスを排出せず、自家消費による電力自給率向上により、化石燃料等に由来する電力の購入料が低減されるため、ゼロカーボンに向けた施策の一つであると捉えております。
 今後におきましては、新築される公共施設への導入検討はもとより、既存公共施設においても建物の屋根形状や設備に対する積載荷重等の構造的に導入の可能性がある建物につきましては、補助金等の財源の検討に加え、設備の導入方式として発電事業者が太陽光設備を事業者自身の費用により設置、発電された電気を市に供給し、市がその電力を購入するオンサイトPPAやリースによる導入など、多面的に検討を行ってまいりたいと考えております。
 以上です。

(斉藤 達也君)ご答弁いただきました。既存の公共施設の断熱改修に関しましては、特に学校施設とかなかなか断熱できていない構造の建物、本当に数多くあるかと思いますので、特に効果の高いところから一つでも進めていくことが、先ほど池田議員の質問の中でも出てきた市民の行動変容を促す取組になるかと思いますので、ぜひ取り組んでいただければと思います。

紫波型エコハウスの取組等を参考に、経済とゼロカーボンを両立させる住宅エネルギー施策を提案

次に、経済とゼロカーボンを両立させる住宅エネルギー施策について、こちら3点一括で質問をさせていただきます。10月に都市経営プロフェッショナルスクールという民間の教育機関の研修で岩手県の紫波町に行ってまいりました。紫波町は、オガールプロジェクトといって、PPP、公民連携の成功事例で非常に有名な町なのですが、その中で環境への負荷に配慮したエネルギー消費を抑えた一定条件を満たす住宅、これをエコハウスというのですが、エコハウスを町が57戸分譲したオガールタウンの施策も学んでまいりました。具体的には、断熱性の等級の6.5等級相当という非常に高いレベルの住宅を地元の工務店が建てられるように専門家が技術指導を行って、一軒一軒建てて実績を重ねることによって高い技術力が備わり、結果として大手のハウスメーカーよりも競争力のある坪60万円台でそういった高断熱、高気密のエコハウスを建てられるようになったとのことでした。今でも紫波町の工務店は、町の内外から受注が入り、今では地域産業の核に育ちつつあるとのお話でした。
 さらにエコハウスは、構造材のうち80%を地域の木材を利用することが条件になっており、また間伐材をチップ加工して、それを原料にバイオマスボイラーで地域熱供給を行うことにより、エネルギーの地産地消も進み、域外に流出していたエネルギーコストが逆に地域内で循環するという状況になっています。さきの中島恵理さんの講演の中で、公営住宅の建て替えなど再開発事業が予定されている場合は、そういった紫波町や、あと徳島県神山町の大埜地の集合住宅のように、地域熱供給を検討することは可能であり、またゼロカーボンや福祉の観点からも建て替えの際には断熱住宅にしたほうがよいのではと、そういったアドバイスもいただきました。ちなみに徳島県神山町の大埜地の集合住宅は、公営住宅法によらない町営の賃貸住宅です。仮に地域熱供給まではできないまでも、行政が関わる高断熱、高気密の集合住宅、賃貸住宅は、全国的にもまだ事例はありません。まさにこういったものが脱炭素先行地域に値する取組と私は考えます。
 そこで、経済とゼロカーボンを両立させる住宅エネルギー施策について伺います。1点目として、岩手県紫波町の事例を参考に、地元事業者がエコハウスの建築を行えるよう、専門家を招き技術研修を開催していくことが必要と考えるが、検討できないか。
 2点目として、同じく紫波町の事例を参考に、地域産材の活用や小規模なバイオマスボイラーによる地域熱供給システムをつくるなど、地域資源を活用して地域経済を活性化させる仕組みづくりが重要だと考えるが、見解はどうか。
 3点目として、紫波町や徳島県神山町の事例を参考に、公営住宅の建て替え時には公民連携によるエコハウス、高気密高断熱住宅の賃貸住宅の建設を選択肢の一つとして検討できないか。
 以上、3点お尋ねし、第3問といたします。

生活環境部長(北島 大志君)ただいま3点ご質問いただきましたので、順次お答えいたします。
 岩手県紫波町では、経済とゼロカーボンを両立させる紫波型エコハウスに取り組んでいるとお聞きしております。議員ご案内のとおり、町有地を町が宅地分譲する際の条件として、年間暖房負荷が基準値以下であることや、町で産出した木材、町産材利用が8割以上など、町独自のエコハウス基準による建築方式を理解した地元工務店を町が指定し、購入希望者はその指定工務店と建設工事の契約を結ぶことを条件にすると、そういう仕組みであるとお聞きしています。この取組は、地域特性である森林資源を住宅建設に活用する点と、暖かく快適である点、生活に必要なエネルギーを地域で供給し消費する点、こういった点が基本コンセプトとして据えられておりまして、典型的な地産地消による地域内循環が形成されており、大変興味深い取組であると感じております。
 一方、エコハウス基準を厳格に運用する必要があり、品質の確保は住宅だけにとどまらず、地域ブランドの価値そのものを形成しているもので、地元事業者をはじめ関係機関の十分な理解と協力が必要となります。紫波町は、地域特性を生かした持続性のあるまちづくりを進めていく上で、エコハウスの建設には町産材を利用して資源循環させるだけでなく、新築効果による地域全体の需要を掘り起こし、地域産業の振興をあらかじめ織り込んだ制度設計がなされているものと捉えております。冬の寒さが厳しく、森林資源に恵まれる当市においても、紫波町の取組は参考となるものでございます。
 県は、本年3月、信州健康ゼロエネ住宅指針を策定し、建物性能及び再生可能エネルギーの活用を組み合わせて、できるだけ環境に負荷を与えずエネルギーの自給自足ができる信州健康ゼロエネ住宅、いわゆる長野県版エコハウスの普及を目指し、5月に建築関係団体と県、それから上田市を含む4市において信州健康ゼロエネ住宅普及促進協議会を設立いたしました。この協議会の目的の一つには、高性能木造住宅に関する技術の普及及び技術力向上に関する研修会の開催等が掲げられておりますので、こうした協議会を活用し、地元業者が最新の知識や技術の取得ができるよう支援してまいりたいと、そのように考えております。
 続いて、紫波町での取組は、町産材のバイオマスを燃料としたエネルギー供給事業で、供給面での地産地消による地域経済の活性化とゼロカーボンの両立を目指した事業と認識しておりまして、エコハウスの熱源供給が可能とのことであります。供給の仕組みは、町から委託を受けた町の農林公社が地域から木材を仕入れ、公社が木質チップを製造し、民間のエネルギー会社へ供給し、そのエネルギー会社が熱源を各所へ供給するということで承っております。
 今回ご提案の事例を上田市に当てはめました場合、例えば地域産材の供給方法や熱源供給方法等々、多くの課題が想定されます。そうした中で、地域資源を有効利用することで地域内の経済循環が形成されれば、地域の持続的な発展に裨益するものとなります。まずは、木材を供給する川上、チップ等木質バイオマスを製造する川中、そして木質バイオマスを利活用し熱源を供給する川下、この区域ごとの課題を整理しまして、コストと効果のバランスや安定した需給見通しなど、一連の仕組みの持続性の確保について、関係課、関係機関と連携し研究してまいりたいと考えております。
 次に、公営住宅の建て替え時のエコハウスの建設の検討のことに申し上げます。市営住宅の建て替えについては、上田市市営住宅等長寿命化計画において、上田原第一及び第二団地の現地建て替えが計画されております。今年度国土交通省の支援を受けて、この2つの団地の建て替えについてどのように民間活力を導入できるかという点を踏まえて、基本構想の検討を進めております。議員ご指摘の地域経済とエネルギーの地域内循環、再生エネルギーの利活用がなされている2つの町の事例は、将来に向けたまちづくりのありたき姿でもありますので、民間の知見を活用し、建設コストを抑制しつつ、快適性も兼ね備えたセーフティーネットとしての社会的機能が果たせるよう、今後建て替え計画の詳細を検討する中で検討してまいりたいと考えております。
 以上です。

(斉藤 達也君)ご答弁いただきました。
 紫波町の事例等よく調べてくださっているので、あとはまさに北島部長おっしゃっていたとおり、地域の持続的発展に裨益する事業なのです、紫波町の取組。ぜひこの長野県の中でもゼロカーボン施策をリードするぐらいの気持ちで具体的に検討を進めていただければと思います。

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