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1型糖尿病㉘~トレシーバを2回打った話~

この記事はわたくしうえこの、1型糖尿病発症前からのレポートです。
前の記事はこちらからどうぞ
1型糖尿病㉗~2回目のワクチン接種~

マガジンにもまとめたよ!
うえこの1型糖尿病(IDDM)レポート

今回は、やらかした話を書きます。

インスリン

インスリンは2種類。

・トレシーバ
1日に1回打つ、持続型インスリン。
一日を通して、血糖値が上がらないようにしてくれる

・ノボラピット
食事するたびに打つ、超速効型インスリン。
打ったら30分後くらいから、食事で取り込まれた炭水化物が血糖値を上げるのを、押さえ込んでエネルギーへと変えてってくれる

発症当時、つまり入院中は、トレシーバは昼食時のノボラビットと一緒に注射していたが、
日常生活のことを考えて、夕食時へと移行した。

朝食時、ノボラビット
昼食時、ノボラビット
夕食時、トレシーバとノボラビット
間食事、ノボラビット

そして私は、だいたい打つ場所が決まっている。
朝は左腹部
昼は右腹部
夕のトレシーバは左腹部で、ノボラビットは右腹部。
間食時は太ももだったり二の腕だったり。

ルーティーンが決まってるのだ。

そして流れも出来上がっている。

血糖値を測定する→自己管理ノートに書く
何単位打つか決めてそれもノートに書く
注射器に針をセットし、2単位空打ち(空気を抜く)
決めた単位までダイヤルを回す
アルコール綿で注射する部位を拭いて、IN。

夕食時は2種類打つので、両方に針をつけ、2単位ずつ空打ちし、決めた単位までダイヤルを回して、
一度テーブルに2本とも置く。
アルコール綿で注射する部位を拭いて左にトレシーバを打ち、テーブルに置いてノボラビットを手にする。
そういう、流れ。


初めての間違い

その日は、おそらく疲れてぼんやりしていたのだろう。

夕食の前に血糖値を測定して、トレシーバとノボラビットを取り出して蓋を外し、
針をつけ、2単位ずつ空打ちをした。

トレシーバは8単位
ノボラビットは7単位。

一度両方ともテーブルに置いて、アルコール綿で左腹部を消毒し、トレシーバを注射。
その後テーブルに置いて、もう一本を手に取り、右腹部を拭いて、注射。

注射といっても、お尻のボタンを押すだけで、ダイヤルで設定した量が注入されるのだが。

あれ?と思った。
ダイヤルが0の状態で、いつもならボタンを押すと、ダイヤルが0まで戻るカチカチッという音がするのだが。
しなかった。

おかしいなあ

そう思いながら一度抜いて、7単位までダイヤルを回して、再度右腹部に刺してボタンを押した。
カチカチッという音ともに、インスリンは注入された。

その瞬間、違和感に気づいたのだ。

トレシーバの注射器は、黄緑色。明るいグリーン、枝豆グリーン。
ノボラビットの注射器は、オレンジ色。

私が今右腹部に刺して注入したのは、黄緑色の注射器だった。


トレシーバ2回打ったあああああ!!!!


この時、思わず出た言葉は
「おっふ」
だった。
その後すぐに、改めてオレンジ色の注射器のノボラビットを手にし、予定通り7単位注射。

食事を取りながら、

まあでも、言うてもトレシーバやしな…

という気持ちが頭の中をぼんやり泳いでいたという。

これが、ノボラビットを間違えて2回、つまり普段の倍量打ってしまった場合だとどうだろうか?

うーん…
とりあえずマメにリブレで数値を確認し、その都度ブドウ糖の接種だろうか。
何なら菓子パン一つ食べてもいいかもしれない。
実はおすすめはとんかつとかチキンカツだったりする。
油というのは高い血糖を維持する作用があるので、普段ならいつまでも下がらない血糖値にヤキモキするのだが、
低血糖に怯えずに済むかもしれない、この場合は。

実際、1~2単位程度なら、間違えて多く打ってしまうこともたまーにある。
ほんとにたまーに。
生理だから下がりやすいから今日は1単位減らして打とう~って思ってて、間違えて前日と同じ単位で打っちゃうとか。
そういう時は、食事にプラスしてお菓子を1つ2つ食べて様子を見る感じ。
しかし倍量だとなあ
けっこう大変かも。
食べても食べても、インスリンの作用で血糖値が下がるから、流石に怖いだろうな。
コレは本当に気をつけないとはとは思う。

でも今回は、トレシーバだ。
なぜトレシーバだと、そう大して焦らないのか。

それは、トレシーバだと、例えば、
今日は一日高めだったから、夜のトレシーバを1単位増やそう!
って。
増やしたとしても、翌日にすぐ反映するわけじゃないのだ。
翌日も変わらず、ちょっと高いくらいのまんまなのだ。
トレシーバの単位を減らして、反映されるのは、
減らした単位で数日経過してからになる。
3~4日はかかる。
そうしてやっと、一日を通しての血糖値が1段階下がる。

そんな感じなので、夕食時に打ったトレシーバの影響が出るまでに、かなりに時間を要するとわかっているので、焦らない。

ノボラビットと違って、寝てる間に下がる恐怖はない。
勝負は翌日以降だ。

そんなわけなので、普通に寝た。


トレシーバとの戦いがはじまる

朝おきて、リブレを見て、ふむふむ、となる。

今日は一日、トレシーバと私の戦いだ。

話は変わるが、北海道にはロイズというお菓子屋さんがある。
北海道銘菓とも言うが、生チョコの種類が豊富で、期間限定とかもある。

数日前に、たまたま、チョコミントの生チョコレートを購入した。
24粒くらい入ってる。
それを、会社に持っていくカバンの中に放り込んだ。
一粒あたりの炭水化物量が大体2.5gだったから。

1~2単位増やしたぐらいなら、翌日に反映されることは殆どないトレシーバだが、
流石にいつも8単位なのにいきなりプラス7単位増えたら、少しは血糖値が下がるかもしれないと思った。
とりあえず毎食時のノボラビットの単位を、1単位ずつ少なくするところから様子を見ることにしたわけだ。

下がったぞ、と思ったら生チョコを一粒口に放り込む。
うん、うまい。
いやそうじゃなくて。

持続型インスリンの、
「急激には下げない、じわりと下げる」攻撃には、じわりと上げる糖質を摂るのが一番なのだ。
一般的な低血糖時の対策としては、すぐに上がるブドウ糖を摂るのが一番なんだけどね。

それはドラッグストアとかで販売している、口の中でしゅわっと一瞬で溶けるようなタイプのものだったり、
病院から渡される固形のタブレットだったり、粉末だったり、グルコレスキューと呼ばれるヨーグルト味のとろっとしたゼリーだったり。
様々。
私がおすすめしたいのは、お菓子でおなじみカバヤ食品さんが、1型糖尿病児の親から問い合わせでお願いされたといういわれを持つ、
ジューCグルコース。
これは一般的なお店では販売されていなくて、カバヤのHPからまとめての購入しか出来ないんだけど。
グルコレスキュー。
発症時入院してた病院併設のローソンで販売してたけど、ヨドバシコムなら送料無料で買える。
森永のラムネ。
個人的にはコレしか勝たん(笑)
ブドウ糖90%配合、馴染みのある味わい、どこにでも売ってる、どこでも買える安心感。
期間限定で色んな味出るのも楽しい。

入院してた時の栄養指導の先生には、
マリーのビスケットをおすすめされた。
1枚あたりの糖質が5g未満なんだけどなんか理由あったのかな、よくわかんない。

会社でリブレが50とかまで下がってしまった時は、私はカントリーマァムの個包装がたくさん入った大袋を常備してるので、それを1つ食べるようにしている。
これは1個あたりの炭水化物が5gくらいなので。
てかカントリーマァムの小ささに驚く、こんなひとくちサイズだったかしら…

なぜ5gにこだわるのか。

一般的に、正常な人間は、1gの炭水化物を摂っても、膵臓のランゲルハンス島から正常にインスリンが分泌されて、すぐに抑え込んでしまう。
抑え込むと言うか、エネルギーに変えるために取り込む働きをする。

だけれども、インスリンが枯渇してしまっている我々1型糖尿病患者は摂れば摂るだけ上がってしまうのだ、血糖値が。
1gの炭水化物でおよそ5mg/dl上昇させるという。
(2型の人はちょべっとインスリン出てたり、効きづらいだけなのでおよそ3mg/dlと言われている)

つーまーりー
50mg/dlくらいの低血糖の時、5gの炭水化物を補食したならば、10分~15分後には25mg/dl程度血糖値が上昇して75mg/dlくらいになっている計算なのです。

ここで慌てて大量にラムネを食べたりブドウ糖を口の中にぶっこんだりすると、逆に爆上がりなのです。
まずは落ち着いて、5g程度の炭水化物を補食して、25mg/dl上昇させてから、もう一個食べるかどうか決める…
それが私です。
病院ではもっと多い量のブドウ糖を摂るようにと指導されたけど。

というわけで会社についたくらいから、トレシーバの効きを感じてしまった。
じわっと、いつもより朝食時のノボラピットを減らしているのにも関わらず、やや低い数値をリブレが示している。
生チョコを口に放り込む。うまい。

それから1時間おきにリブレでチェックしながら、低血糖の自覚症状を少しでも感じたら生チョコを口に放り込むようにした。
私は今トレシーバと戦っている…そう実感した。
チョコうまい。

そんなこんなで午前中は結構チョコを口に運んだ。
昼食時も普段よりノボラビットを1単位少なめに打って、様子を見ながら過ごし
(普段一度そこそこ下がってから14時過ぎにめっちゃ上がるので14時に一度追加打ちをするがそれもせずに)
結果、いつもどおり結構上がったので2単位追加打ち(普段は3単位)
帰宅後も低めで、
過剰にトレシーバを注射すると翌日それなりに反映する、ということを学んだ。

医者に相談するかしないか

通常であれば、こういう事はかかりつけ医に相談をすべきだと思う。
しかしタイミングが悪く、その日は祝日で病院は休みだった。
じゃあどうするか、あれだ。
ダイヤル#7119だ。
きっとそれなりに対応してくれると思う。

実はその翌日が、毎月の通院日だったのだけど、
うまいこと対応できたので、先生には報告しないことにした。
本当はしたほうがいいのはわかってるけど。

ここ数日、他の1型さんのツイッターを見ていて、低血糖について考えるようになった。

お医者さんは、なぜだか、高血糖よりも低血糖の状態をすごく心配がり、
「低血糖にならないよう気をつけよう」
という話をよくしてくる。
それはやっぱり、高血糖と低血糖を比べると、命の危険があるのが低血糖だからなんだろう。

指先が震え、脂汗をかき、動機がして、視界が霞む。
低血糖昏睡というのもある。
直接的に、死の恐れのある状態だ。
低血糖に自覚症状があるのは、命の危険信号なんだ。
それは、高血糖の時には起こらない。
せいぜい「だるい」状態なのが高血糖。
お医者さんは患者の命を守るため、低血糖を恐れるのだろう。

反面、当事者である1型患者は、私もそうだけど、低血糖よりも高血糖が長く続くことを恐れる。
それは入院時の糖尿病室で、さんざん学ばせられた、高血糖が引き起こす合併症の怖さを知ってしまうからではないだろうか。

しめじ。
神経障害、失明の恐れ、腎臓の病。
高血糖の状態が続くとなる恐れの病気が、怖い。
極端な話、手や足の指先が壊死して切断とか、目が見えなくなるとか、腎臓透析とか。
血糖値が高い状態でいることの、未来の自分の身体に起こるリスクを怖がるのが、私達当事者だ。
もちろん低血糖も怖い。
私が低血糖を怖いと思う時は、重めの自覚症状で、頭が重く視界がぼんやりして思考が鈍る時。
あ、これはやばい、早くなにか口にしないと。
ってなる。

でも一過性のものが多いので、喉元すぎればなんとやら。
結局、高めの状態より、低めの状態を選んでしまうのだ…
低血糖に慣れてはいけない。
そうは思いつつも、慣れてしまうのだ。

1型の糖尿病というのは、子供がかかる病気だと思っていた。
というか発症するまで糖尿病に1型とか2型があるなんて知らなかった。
身内にいない限り、大概の人はそうだと思う。
私は成人して自己の確立ができてる状態で発症し、
食事も間食もインスリン注射も、血糖コントロールは自分の責任のもとで行うけれど、
赤ん坊とか、幼児とか、自己の確立がまだ出来ていない状態で発症していたり、出来てても食事の管理などはまだまだ出来ない子供の糖尿病患者だと、親に言われるがままに測定をして、注射をしてという、成すがままの時期を過ごした子は、どうなんだろうと思うことがある。

成長期、思春期、反抗期。
ホルモンバランスが乱れる頃合いだから、血糖コントロールも難しいだろう。
自分では頑張ってるつもりでも、親からすると、何で高いの?何で低い状態のままほっておくの?と心配が付きない。

そもそも必要なホルモン(インスリン)の自己分泌が出来てないのだから、そこに来てさらにホルモンバランスの乱れる成長期、コントロールできないのが当たり前みたいなものだから、
親御さんには、せめてあんまりうるさく言わないであげてほしい。
高い状態でもくどくど言わないであげてほしい。
低そうだったら、だまって森永のラムネや糖質5g程度のおやつをそっと置いておいてあげてほしい。
本人は痛いほどわかってるんだけど、うまく行かないのは本当に仕方のないことなのだから。

糖質制限

2型の糖尿病患者さんの多くが、糖質制限したりして頑張ってると効く。
糖質を取らなければ血糖値は上がらない、と言う。

嘘です。

糖質、つまり炭水化物だけど、それは血糖値を上げる作用があるのは言うまでもないけれど、
それを摂らなかったからと言って血糖値が上がらなくなる、というのは嘘です。

なぜなら、インスリンというホルモンが血糖値を下げるのと同様に、
血糖値を上げるホルモンというものが存在するからです。
下げるのはインスリンしか無いんだけど、上げるホルモンはいくつかあるのです。
それはやっぱり、血糖、というか、糖はエネルギーになるから、なんだろうなと思う。
エネルギーは、生命活動をするのに必要なものだから。

・成長ホルモン
・副腎皮質ホルモン(コルチゾール・アルドステロン)
・副腎髄質ホルモン(カテコールアミン)
・甲状腺ホルモン
・グルカゴン
・ソマトスタチン
・他
参照ページ→http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/070/030/05.html

他、って書くくらい、血糖を上げるホルモンは色々あるわけだ。
一番に成長ホルモンが挙げられる事は、やっぱり成長期の子供が血糖コントロールがうまく行かないのと関係があるよね。

何もしなくても血糖値が上がる。
これを、ちゃんと覚えていたいと私は思う。
例えば、夕飯を早めに取り、血糖の上昇と、注射したインスリンの作用で下降し、落ち着いた時間帯に就寝したとする。
そして朝を迎える。
夕食時の血糖の変動は収まっている状態なので、単純に考えると、朝食をとるまでは血糖値の変動はないだろうと考えるかもしれない。

変動します。

睡眠時、身体は休眠します。
体内で生命活動も、抑えられます。
だから血糖の変動も、ほぼありません。
しかし。
覚醒。
起床すると、身体も起きる。
生命活動も活発になる。
朝、動くためにエネルギーを取り込もうと、血糖値を上げるホルモンが分泌される。
だから寝起きからじわじわと、血糖値は上がる。

何もしてないのに血糖値が上がった!
って思うかもしれない。
何もしてなくはない。
起きるという何かをしている。

そういうことなんだよね。

だから極端な糖質制限は、ホルモンバランスの乱れと言うか、
生命活動に必要なホルモンの動きを抑制しようとしているようにも見える。
食事から取るべき糖質を制限して、分泌されるホルモンの動きだけで生命活動してるわけだから、その内支障が出てくるんだろうけど、
最初のうちは血糖値もあんまり上がらなくて、調子もいいんだろうね。
だから勘違いするんだろうなと。
体重落とすためとか、軽い制限くらいならいいとは思うんだけど。
完全に糖質を食事から摂らないという過剰な制限は、どうかなーと思ってる。

痩せることで、太っていた時にはインスリンの分泌が減ったり効きにくくなっていた体質が改善されて、脱2型糖尿病した、と言う話もよく聞くので。

本題から飛んだけど。

2日ほど気をつけた

トレシーバを普段の倍量、打ってしまった件については、翌日から翌々日、普段より下がりやすい傾向にあり、
生チョコを1粒ずつ食べながら様子を見て、ひどい低血糖に陥ることなく、無事に過ごすことが出来ました。

教訓としては、いくら慣れた作業と言っても、注射する時は確認しような?
ということですね。
コレに尽きる。

インスリンを自己注射している全国の仲間の皆さんは、こんなミスしないかもしれない。
私がただぼんやりしてただけかもしれない。
でも、気をつけよう、お互いに。

低血糖はおっかない。
高血糖もおっかない。

でも、正しい知識を身に着けて、正しくおっかながろう!

私は今日も元気です(ただし眠い)

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