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1型糖尿病⑫~災害時~

この記事はわたくしうえこの、1型糖尿病発症前からのレポートです。
前の記事はこちらからどうぞ
1型糖尿病⑪~病気を知る〜

マガジンにもまとめたよ!
うえこの1型糖尿病(IDDM)レポート

気がつけば糖尿病レポートも⑫まできました。
自分の備忘録みたいなところもあるんですけど、読んでくださってる方ありがとうございます。

2018年9月上旬、退院。
退院後の話を今回は書こうと思います。

退院後の話

退院した日はかかりつけのクリニックで再受診したり、医療センターに忘れた傘を取りに行ったり、
1型糖尿病⑨~入院16日目から退院へ~
慌ただしく過ぎました。
退院の翌日は風がとても強く、運動のため外に出ると、近所の店舗の壁の貼付けタイプの看板が落ちていたり、
どこから飛んできたのか、歩道に一斗缶が落ちていたりした。

問題は、翌日。
そう、2018年9月6日、未明。
それは起きた。
未明なのでもちろん寝ていた。
すべてのネタはTwitterから拾う。
あと友人たちとのLINEからも。

2018年9月6日未明、地震

それは夜明け前の午前3時過ぎ、寝ていると突然目が冷めた。
地震だ!!

北海道胆振東部地震
(上記リンクはWikipediaさん)

なかなか大きい地震だった。
ぐるぐると、目が回るような揺れ方をしたので、ベッドに横になった状態で揺れが収まるのをじっとまった。
震源地では震度7、札幌でも震度5で、緊張感が漂った。
真夜中だと言うのにTwitterでつぶやき、LINEで友人たちとやり取りをした。
みんな無事だった。
札幌市内でも大きく揺れたところでは、棚が倒れたとか、道路が液状化したという報道が後からあった。

とりあえず風呂の浴槽に栓をして蛇口をひねり手持ちのモバイルバッテリー(5個)全てに充電ケーブルを差したが、少しして電気が消えた。
バッテリーはもともとたまに充電していたので、どれも満タンにはなっていたが、浴槽には15センチ程度の深さしか溜まっていなかった。

友人たちと一通りやり取りを終えた後、近所にある保護猫カフェがふと心配になり、寝間着から着替えると徒歩数分のその場所に走った。

その保護猫カフェは、古い建物なので、耐震的に心配だったのだ。
猫たちは無事だろうか?
棚からものが落ちていたりしないだろうか?
食器類が落ちて割れたりしていないだろうか?
心配で心配で。

住んでるマンションのエレベーターは止まっていた、停電だもんな。
非常階段を降り行くと、非常口のドアが開いた状態で、閉まらないように箱が置かれていた。
そうか、オートロックだから正門から出入りできないのか。
防犯的に問題はあるが仕方ないよね。

夜は明け始めていたから、うっすらと空は明るくて

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鍵をあけて建物に入る。
電気のスイッチをカチカチするが、つかない。
あたりを見渡すと、暗がりの中に、オレンジ色の毛並みの猫の姿が見えた。
看板猫だ。

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「まーくん、問題はないかい?」
田中政五郎
それが彼の名前だ。
彼は何も答えずに、ドアの縁で爪をといで見せた。
「そうか、そうか」
彼は元気そうなので、ちょっと撫でてから、とりあえず随所を見て回った。
スマホにライトが付いてるのは便利だな。

見た感じ、異常は無いようだった。
飾り棚が一つはずれ、掛けていた絵が1枚落ちている程度。
陳列されている商品が、棚から1つ2つ落ちている程度。
割れ物はないように思えた。
建物の耐震はともかく、この地域の地盤はしっかりしているようだった。
二階を見て回り猫たちの安否も確認したので、じゃあ帰ろうかな?と階段を見ると、彼がいる。

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暗がりからこちらの様子をうかがっているようだ。

「大丈夫だよ、まーくん」
声をかけると、無言で下に降りていったので、あとをついていく猫のご飯を置いているバックヤードだった。
なんだ飯の催促か。

ひとまず保護猫カフェは無事だったので、鍵を閉めて自宅に戻り、少し朝焼けを見ていると、
まだ夜が明けたばかりだと言うのに、結構車が走っている。

あっ!!!

流石に気づいた。
自転車の鍵をひっつかみ、近くのセブンイレブンへ向かったが、時既に遅し。
ペットボトルの水は完売。
おにぎり、カップ麺の類もほぼ売り切れていた。
動きが早い人はいるもんだな…

私は1型糖尿病だ。
インスリン注射をストップする事はできない。
炭水化物を手に入れなければならない。

サラダとしてなら、お前はだめだ、と思うが、炭水化物としては優秀なやつが視界に入った。

パウチのポテトサラダだ。
買おうじゃないか。

そこから少し離れたコンビニにも向かってみる。
まだ早い時間なのでセイコーマートは開店前だが、開店待ちと思しき人の姿が見えた。
目当てのセブンイレブンに入ると水とお茶が箱に入ったまま並んでいるのが見えたので、それぞれ2本ずつ手にとった。
なんと、停電してるのでレジが手打ちだ。
店員さんが手打ちでレジを打ち会計しているので、時間がかかる。
更には電子決済ができない。
クレカ決済も出来ない。
財布に現金が入っていてよかった。
ここも食料は無かった。

帰る途中でセイコーマートが開店していたので、覗いてみるとおにぎりがあった。
炭水化物であるポテトサラダは入手していたが、パウチだから多少置いておける。
おにぎりを買おうと列に並んでいると、近所に住んでいる知人に遭遇した。
保護猫カフェの関係者だ。
自宅で、カセットコンロで土鍋で豆ご飯を作っているから、後でおいでと言ってくれた。
ありがたい。

空はもう明るくなり、少し疲れたので一度帰宅してからおうちにお邪魔して豆ごはんを頂いた。
保護猫カフェの代表も来ていて(みんな近所)、カフェのスタッフが来られないから、猫部屋の掃除の手伝いに来てほしいと言われ、10時頃に行くことにした。

カフェのスタッフさんたちは、近所に住んでるわけでもなく、車で来るにしてもガソリンスタンドが長蛇の列で、
そう、地下鉄も停電の影響で止まっていた。

10時頃に保護猫カフェに再び行くと、声をかけたわけじゃないのに、近所のボランティア仲間が何人か来ていた。
みんな猫が心配だったんだ。
人数が集まったので、なんとか2時間程度で掃除を終わらせることができた。
代表が焼きうどんを作ってくれて、みんなでお昼に食べると、
なんだかやっと、息をつけた気がした。

さて、朝から動き回って、低血糖気味になったりして、すっかり疲れてしまった私は、
帰宅して寝た。

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「おつかれさまだな」
看板猫は平常運転だ。

なんとか、おにぎりなどの炭水化物を入手できたし、
よく考えたら電気は止まっていたがガスが使えたので、後々はパエリアをフライパンで作ってみたりした。

Twitterでは、停電で冷蔵庫が止まったので、
食材をだめにするくらいならと外でBBQをする道民
という話題で盛り上がっていた。
いや、わかるよ…
私も低血糖気味になったので、冷凍庫の中の溶けかけのアイスを食べました。

地震の被害

北海道全域で停電
道路の液状化
停電で地下鉄ストップ
スーパーで色んなものが売り切れ、入荷未定
牧場の機械が動かせなくなり乳製品が品不足
停電の影響で物流がストップ
空港も欠航
パンがすぐ売り切れる

とにかく大変な状況だった。
退院直後だったので、かかりつけのクリニックでインスリンは一ヶ月分処方されたばかりだったのは不幸中の幸いと言っていいかもしれない。
地震の翌日、病院まで行ってみると、「診察はできないけど処方箋はだします」と貼り紙があった。

結局、停電は2日ほどで復旧したが、ブラックアウト時の夜空は、見たことないくらいの満天の星が散らばっていて、
それはとてもきれいだった。

意図せず備えていたもの

手持ちのモバイルバッテリーのいくつかは、近所のボランティア仲間に貸した。
このときから私はポータブルバッテリーが欲しくてたまらない。

何かでもらった、ラジオ付きの懐中電灯が何処かにあることを思い出し、探したら、懐中電灯は壊れていた。
が、ラジオはかろうじて使えたので、夜寝る前に流していた。
ついついスマホを見てしまうので、電池の減りを抑えるためにラジオはとても良かった。

数年前にフェリシモで、ソーラーライトキャンドルを幾つか買っていた。
これはソーラー充電できるタイプだったけど、内臓の電池は切れていたので、普通の単4電池に入れ替えるとついた。
夜はそれらで乗り越えた。

意外と重宝したのが、自転車のハンドルに別付けするライトだ。
手首につけれた(笑)

と言うわけで

退院の数日後に大地震をくらい、
停電で不便に過ごし、
食材を探し回り、
ちょいちょい低血糖に陥り、
なかなかしんどい日々を過ごしたけれど、
入院したとき同様、
周りの人たちに救われた。
私が助けることもできた。

停電で地下鉄が動かなかったので、予定していた日の仕事復帰も翌週明けに延期した。
入院した時に上司とLINEを交わしていたので、それで連絡が取れたのは良かった。
てんやわんやの数日だった。

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停電は、本当に大変だった。
でも、人の強さを感じた。

地震当日の昼過ぎには、自家発電があるのだろうか?
いくつかの飲食店が食事の提供を始めていたし、
ある不動産屋ではスマホなどの充電をしてもいいですよ、とコンセントを外に伸ばしていた。
ススキノのとあるホテルでは、入浴施設の開放もしていた。
普段は置いてない普通の食パンを焼いて店頭に並べてくれたパン屋さんもあった。

誰もが、困ってる人たちの力になれば、の気持ちで動いていたんだろう。

上の夕景は地震の3日後のススキノだ。
ススキノのラフィラというデパートで、保護猫カフェの譲渡会が予定されていて、
電気の復旧に伴い、イベントが再開されたその日の夕景なんだけど、
それはもう、美しいものだった。

人は弱くはいられない

病気になっても、
災害にあっても、
人は弱くはいられない。

災害時の備えメモ

モバイルバッテリー
延長コード
懐中電灯
首からかけれるライト
ラジオ
イヤホン
簡易食
水のいらないシャンプー
飲料水

チョコ

インスリンは、処方してもらう時に、最低でも県外一本ずつは予備で多く出してもらうようにしよう!

先日、東日本大震災から10年が経ったと報じられた。
何度も考えよう、災害時に自分にできること。

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