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【歌舞伎感想】ナウシカ歌舞伎ディレイビューイング後編 〜the best of カブキlize賞をあげたい〜

 ナウシカ歌舞伎ディレイビューイング、後編も無事観に行きました!いやはや、言わずもがな最高でした。最高過ぎて言葉に出来ず、結構観てから時間が経っちゃうました…へへ…。

   私は一つ確信しました。実写化のジャンルにはドラマ化、映画化などいろいろあれど、歌舞伎化も歴とした独立した実写化ジャンルだと…。まぁ良いこと言ったように太字にしてみたけど、そんな仰々しくいうことじゃなかったわね( ˇ⊖ˇ)y━・~~”

 今回は、前編を一緒に見た友人から原作ナウシカ漫画を借りて全巻読破してから臨みました。未読で観劇しても面白かったけど、読破してから観たら理解深まって感激倍増ししました!というか歌舞伎でも漫画でも、摂取する度に物語への理解が深まり面白いので、ほんと何回でも観たい読みたい。

 それでは早速ドゾ!

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ここから先はネタバレ有り有りなので、お気を付けて!
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1. 元気いっぱいクレイジーな奴、ナムリス

 昨年12月観劇時のナムリスの第一印象が、「なんか元気いっぱいクレイジーな奴がメジェド様(ヒドラのことです)を沢山引き連れてやってきた」「いきなりクシャナ様と結婚しやがったんだけど」「巨神兵 in 子宮を婚礼の品にすな」「死んだーーーーーっ!!!」と圧倒的にコイツやべぇな…だったのですが、このやべぇ展開はあらすじ端折りによるものかと思ったら、原作漫画通りのやべぇ奴だったんですね。最高です。

 しかしながらナムリスのキャラクター性だけでなく、マジ巳之助さんの演技素晴らしくないですか!?!?

 この後編で巳之助さんは前編に続いて弟ミラルパと、兄ナムリスの二役を演じてます。ミラルパの時はドスの効いた低い声&伏目がちに話し、呪呪呪呪呪…って怨念を感じさせるゆっくりとした動きなのですが、ナムリスの時は声が高いし動きも勢いもあって、目玉が落ちそうなほど目を見開いてギョロギョロ動かすんですよ!(目玉の動きはディレイビューイングのドアップで見れたこその気付き…ありがとうディレイビューイング…🙏🏻)自分の老体を科学的に無理矢理若返らせているミラルパと、自らの肉体を若い体のヒドラへ取っ替え引っ替えして維持してるミラルパの対比を、こうやって演技に落とし込んで表現するのか、すご〜い!と思いました。

 そしてナムリスを原作で読んだときに「ザクみたいだな〜」って思ってた仮面(?)も、額当ての部分を見て「こうやって歌舞伎化してたのか!」と気付いて、マジ衣装屋さん卍プロだわ…😭🙏🏻ってなった。


2. 庭の主、声色の使い分けすごくないですか!?!?

 原作ファンの皆さんに向けて最初に述べておきますが、今回の歌舞伎化にあたりまして、庭の主の庭は立派な日本庭園となっております。いや〜〜〜〜そりゃ歌舞伎ですから"庭"と言われたら"日本庭園"にならざるを得ないよね!庭の構想練る時、絶対楽しかっただろうな。私が舞台装置制作スタッフだったら「理想郷のような美しい庭!どんな庭にする〜〜お前の理想の日本庭園どんな(((o(*゚▽゚*)o)))???」って高まっちゃうな。

 印象に残ったのが、庭の主がナウシカの母に化けながら(?)、傷付き疲れ果てたナウシカに「この心地良い庭でゆっくり暮らそうよ…」と誘惑し、正体がバレた後も「お前は巨神兵を心から愛していないくせに母親気取りやがって、それはお前を愛さなかった母親への復讐か?」なんて問答でナウシカに詰め寄る場面です(このシーンめっちゃ辛い)。

 今回、庭の主は中村芝のぶさんという女方の役者が演じられたのですが、顔色表情は変わらずに、庭の主と母親の声色だけがシームレスに変わっていくので、夢か現か分からなくなる感覚でした。本当にこの世の者じゃない感がすごい。

 残念ながら庭の主は写真が公開されていないためビジュアルをシェア出来ないのですが、神聖そうな着物を身につけて、邪馬台国の人みたいな髪型(髪の毛を真ん中で2つに分けて耳の辺りで結ぶやつ)をしてました。調べたら角髪(みずら)と言う髪型だったんですが、これ位の高い男性がするものだったんですね。女方の役者さんが男性の髪型して、声色は女性・男性のどちらも使ってスルスルと語り詰め寄る。いやはや庭の主さん、ボーダーレスな歌舞伎にピッタリなキャラクターですわ〜〜〜☺️


3. 最後の連獅子、パワーが半端ねぇ〜〜〜

 「歌舞伎」と言われた時に、ビジュアルとして一番思い浮かべられるであろう連獅子。見た目も派手だし分かりやすいので、CMに使われたりキャラクターを歌舞伎化させたりするのによく使われるモチーフでもあります。

 ナウシカ歌舞伎では、墓とオーマの最終対決として連獅子のモチーフが使われるんですが、いや…これ…ほんとに…歌舞伎初心者へのサービスとかじゃなくて、めちゃくちゃパワー溢れる最後の見せ場として最高の演出だったので、非常に感動した…!こんな風に落とし込めるなんて、やっぱり歌舞伎リスペクトがあるからこそっすね!

 写真の白い方が墓の精、赤い方がオーマの精なのですが(歌舞伎なので概念が精化しちゃうのは許して)、あれ、人智を超えた強者どもの戦いじゃないですか。連獅子ってめちゃくちゃ激しい動きするんですよ、首グルングルン回すし、ジャンプして膝から着地するし。で、写真には写ってないけど、同じような連獅子の格好した俳優たちもそれぞれの陣営(?)で8人ずつぐらい居て、一緒に舞台上で激しく舞うんですよ。もうテンヤワンヤ。そして後ろに結構大人数の長唄連中がいて、同じフレーズを繰り返している内に、連獅子の首回しとともに段々テンポが早まっていって、緊張感の高まりが…う…すごい…う…うお〜〜〜〜〜〜!!!!ってなりましたね。

 もしナウシカ歌舞伎円盤化したら、自宅でこのシーン応援上演したい。「オーマ頑張れ!」とか「いよっ!墓の精!!舌が青い!!!」とか叫びたい。それぐらい気持ち高まるよ!観て!!!


 という訳で後編の感想でした!いやはや、本当に最高すぎてthe best of カブキlize賞あげたい。。。賞を授けれるような権威を持ち合わせてないけど。。。先程から「歌舞伎リスペクト!」と何度も申し上げては来ましたが、同じぐらい原作のナウシカにもリスペクトがないと出来ないことで、制作に携わった全てのプロの方々に、素晴らしいものをありがとう〜〜😭😭😭という気持ちでいっぱいです。

 人気故にか、公開期間が伸びている(しかもまだ前編も観れる!)映画館もあるので、逃していた方は是非とも…!いやはやほんと何回でも観たいな、切実に円盤化して欲しい〜〜〜!

それでは〜〜!

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