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建設会社、たった1名の人材喪失で仕事の請負が不可能に!?…命運を握る「建設業許可」存続の高いハードル

             (Yahoo!ニュース 2022/11/30(水) 9:01配信)
慢性化する人材不足…行政もいよいよ対策に着手


 建設業界は以前より「職人が足りない」「若手が入らない」など、人材が不足がちな業界ではありました。しかし、最近はさらに状況が悪化し、人材不足が慢性化しています。
 その問題を解消するべく、2020年10月の法改正で、事業承継や相続、合併などの際に建設業許可をそのまま承継できる制度が成立しました。
 これまでは、事業承継などの際には、事業を譲り受けた側が、新規で建設業許可を申請しなければならなかったため、どうしても「許可の空白期間」が生まれたり、場合によっては許可を失ってしまったりすることがありました。
 しかし、法改正によって、このような空白期間が生まれにくくなることから、国や役所でも、建設業特有の「事業承継の手間・難しさ」を改善しようとする動きが出ているのです。
 上述した経営業務の管理責任者の許可の要件も、少しずつ緩和されたり、別のルールが追加されたりもしています。
 人材不足が続く建設業界ですが、存続を目指すための改革が続いているのです。

該当の人材確保には「周到な対策」が不可欠に

 このような事態を防ぐためにも、事前の対策が不可欠です。
 とくに経営業務の管理責任者は、「建設業の経営経験を5年以上積んでいる」もしくは「管理責任者の補佐を6年以上経験している」等が証明できる人材でないとなれないので、後任の人材を早めに育成しておく必要があります。
 そのことから筆者は、建設業許可を持っている会社の場合、後任候補の人材をあらかじめ取締役に据えておくことをおすすめしています。
 決済権のない取締役でかまいませんので、まずは取締役として任命しておけば、経営業務の管理責任者の要件となる経験を積むことができます。そうすることで、万一のことがあっても建設業許可を失うことなく、会社は営業を続けることができます。
 専任技術者も、所定学科の卒業+所定の実務経験、該当の学歴を持たない人材の場合は10年の実務経験、もしくは対象の資格を保有していることなどが要件となっています。経営業務の管理責任者ほどではありませんが、こちらも人材の確保が難しいため、事前に国家資格を取得しておく、あるいは人材を育成しておく、といった対策が不可欠なのです。

 建設業許可の喪失は、ビジネス機会の喪失とイコール

 もし人材育成が間に合わず、建設業許可を失ってしまった場合、500万円以上の仕事は受けず、許可が不要な小規模な工事だけで事業を続けていく方法もありますが、元請けであるゼネコンやスーパーゼネコンは、建設業許可を持っている会社から下請けを選ぶため、そもそも仕事が入らなくなる可能性があります。
 建設業許可を必要としない仕事もあるとは思いますが、仕事自体の幅が非常に狭められるため、ビジネスの展開を考えると、やはり許可は必要だといえます。
 また、建設業許可の認可には、ビジネス上の自由度だけでなく、会社の信頼性を担保するという意味もあります。
 請負契約に関して「誠実性があること」「請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有していること」、そのほかにも「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」「暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者」といった、「欠格要件に該当しないこと」という要件を満たす必要があるため、建設業許可は、信頼に足る業者であることの証明になるのです。
 もちろんこれは、大企業の下請けとしてだけでなく、個人の客による業者選びの際にも、「安心して頼める業者かどうか」の判断基準にもなります。

根布 浩光
ムーブ行政書士事務所 代表行政書士

https://news.yahoo.co.jp/articles/1759eb09ff47d812b4bc7ef9e94fc30a65a4e0fe?page=3

鳥取県中部の県立高校での建設人材の育成について

 最近、いろいろな業界の方から人材不足の話を聞くことが多くなりました。
 先日、出席した鳥取県建設業協会新年祝賀会での会長も、技術者の不足が深刻な状態にあることを話されていました。
 特に鳥取県中部の建設業者からは、現在、鳥取県中部の県立高校に土木建設を専攻する科がないため、地元の高卒者の採用が難しいとの切実な声を聞いています。
 地元の高校に土木建設の科をつくって、地元で人材を育てて欲しいとの要望は以前からあり、議会でも何度か取り上げられてきましたが、その声が最近強いことを実感しています。
 それくらい建設業界にとっては深刻な問題になっています。
 私のnoteの記事では人口減少問題について取り上げることが多いのですが、これも人口減少問題の一つの側面であり、地元産業の人材確保は人口減少前提社会を構築する中での大きな課題だと考えています。
 先述の祝賀会には知事、県土整備部長も出席されていて、会長の発言をその場で聞いていたので、会の後すぐに部長に連絡をして、この課題について早急に取り組む必要があることを共有しました。
 人材不足の解決方法の中で、高卒人材の育成については教育委員会の対応も必要です。
 この課題について、教育長に早急に取り組む必要がある旨の話をしましたが、課題についての切迫感を理解できていないような感じです。
 来年度からの対応が難しいのは理解していますが、できるだけ早急に対応しないといけません。
 今後、県土整備部とも課題を整理したうえで、教育委員会での対応も強く求めていきたいと考えています。

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