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嫉妬せずに安定した関係になりたい▶もはや波のない海

 人生の中で、一度も恋愛を経験することなく生涯を終える人はいないでしょう。
接点はないけれど憧れる、ずっと傍にいた人をいつの間にか好きになっていた……など、
成就するか否かに関わらず、誰かに恋い焦がれるという体験は誰にとっても特別なものですよね。心が浮き立ち、いつもの日常さえ輝いて見える、それはまるで魔法です。しかし、どんなに情熱的に盛り上がった恋も、感情の持続期間はおよそ3年程です。そこから先は家族として関係を成熟させていくフェーズに入ります。 今回のお悩みは、そんな狭間で揺れ動く女性の心理に迫ります。

【相談内容】

20代 女性 Cさん
今カレと3年弱の付き合いお互いにこれ以上の人はいないと思えるくらいの間柄
彼は浮気性ではないがモテるので、心配が絶えない
彼の周りには女性が沢山いるため嫉妬してケンカになる
嫉妬することなく安定した関係になりたい

■主訴

嫉妬せずに安定した関係になりたい

■人物像

AC、CPが高い
容姿端麗で強気だが、自己肯定感が低く自信がない
禁止令/近づくな(愛するな、信用するな)
ドライバー/完璧であれ、人を喜ばせろ

■見立て

愛と所属の欲求の階層に居り、彼を失うことに対する恐れが強いため、執着も強い。
彼を信頼して関係を育むことよりも、自分が孤独に陥らないよう必死。
2人の将来という観点ではなく、自分の気持ちを満たすことだけに焦点している。
嫉妬さえなければ良い関係になれるという誤った思い込みを発端とするNot OKのミニ脚本。
本人は結婚を望んでいるようだが、このまま独りよがりな態度を取り続ければ、彼の心は離れてしまうと予測される。

この分析をもとに、共感して主訴に応えた一言がこちらです。      

「そんな恋愛は、もはや波のない海です。」




海から波がなくなったら、それはもう海ではありません。
恋愛も同じです。3年も付き合ってきて未だに嫉妬するほど情熱的な気持ちを持ち続けられているというのは素敵なことです。彼との恋愛を大切に生きるCさんにとって、嫉妬がNGならば、それはCさん自身を否定するのも同じことになってしまいます。Cさんは無意識に自分を否定してしまっていたため、苦しみのあまり必死に助けを求めて来られたのでした。

ですから、まずは彼を思いながら生きるCさんのありのままを受容するところからカウンセリングが始まります。とはいえ、嫉妬に振り回され周りが見えなくなってしまうと、本当に大切な物さえ失いかねませんので、Cさんが自分自身を客観的に見られるようクールダウンしてから、『嫉妬さえなければOK』という誤った思い込みを解除していきます。

実際に、パートナーに対して嫉妬さえしなくなってしまった関係というものを想像してみてください。興味が持てない相手と一緒に居続けるという無味乾燥な日常を……。
恋愛は、頑張って生きる人間へのご褒美であり、人生を前へと推し進めてくれる生きる糧だと私は思っています。恋愛がもたらしてくれる喜びだけでなく苦しみや切なささえ、幾つになっても瑞々しく生きるための心の栄養なのです。

そう考えると、やはり彼は掛け替えのない特別なパートナーであるとCさんは改めて自覚しました。これからお2人は、恋愛期間を経て家族として関係を成熟させていく過程に入りつつあります。Cさんは、彼を責めるのではなく信頼して待つ、そして2人の将来のために自分にできることを頑張ろうと決意し、その気持ちを素直に彼に伝えてみるとのことでした。


どんなに好きな相手でも、長く一緒にいればぶつかることもあります。感情が高まり涙することもあるかもしれません。ですが、それだけ感情が動くということは、相手のことを、他人とは違う特別な存在として見ているからです。そんなクライエントさんの持つ尊い思いをカウンセラーが尊重することで、1つ1つの細かなエピソードに捉われることなく、自然と向かうべきところが見えてくるようになるのではないでしょうか。

※実際のケースを基にしていますが、お名前や年齢などの設定は仮のものです。

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