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呼名

姉の職場とワタシの職場は割と近いので
たまに時間が合うと一緒に帰宅する。

今日は姉の職場の先輩も途中まで一緒に帰ることに。
姉は先日転職したばかりなので
まだ職場では仮面を被った状態だと
よく家で話していた。

今日その意味がよくわかった。
確かに仮面を被っていたのだ。それは凄かった。
振る舞いが違うし、口調まで全然違う。
笑い方も違う。
普段から変な笑い方な訳じゃないのだから
そこは仮面いらねーだろ。被りすぎだ。
もはや姉ではない気がしてソワソワした。

それからワタシと姉、姉の職場の先輩の3人で
それなりに楽しい会話をして、
共通の趣味も見つかり仲良くなりたいと思った。

そんな矢先、ワタシがいる事によって
姉は気が緩んでしまったのだろう。
3人でそれぞれの家庭の話をしていると姉が
"母とオヤジが私を通訳みたいに扱うんです。"
と話した。

姉は、家族の前と仲の良い友人の前では
父のことを"オヤジ"と呼ぶ。
なぜ、何時オヤジ呼びに変化したのかは
忘れたけれど最初は、違和感があったのに
今ではそれが普通になっている。
母も最初は"その呼び方はやめなさい!"
と言っていたのに今ではたまに母まで
父のことをオヤジと呼んでいる。
姉の力は凄い。
ちなみに、ワタシはお父さんと呼んでいる。
何となくやめておいた方がいい気がしたから。

そんな姉も幼稚園の途中までは
"お母さん""お父さん"だったらしい。
ある日、母が幼稚園へ迎えに行った際、
ママー!と叫んでいる子供がいるな
お母さん、返事してあげなよ〜と思っていたら
自分の子供だったのでびっくりしたと
母は今でも時々なぜか誇らしげによく話している。
ママ呼び騒動と同じ日に父のことも
パパ呼びになったそう。
その後、いつからか突然パパ呼びから
オヤジ呼びへと変化したのだ。

話を戻すと、姉が父親をオヤジと言うもんだから
姉の職場の先輩は
"今、オヤジって言った?"という顔をしていた。
けれど姉は何も気づいていない様なので
ワタシもとりあえずスルーした。
先輩も聞き間違いと思ったのだろう
その後は父呼びに戻っていたし
そのまま話は進んでいった。と思った矢先に

"いっつもオヤジはワシに全部言うんです"

姉はたまに家で一人称がワシだ。
今回は流石に先輩も驚いた顔をして
"今、オヤジって言った?"と姉に質問した。
姉は"実は家ではオヤジなんです。"と
外では呼んでない風に少しだけ告白していたが
余裕で外でもオヤジ呼びだ。

一人称についてはオヤジ呼びに
驚きすぎてバレなかったのだろう。
ちなみに方言でワシと言っている訳ではない。
こんな調子だとすぐに仮面が剥がれるだろうなと
思った。


ちなみにワタシがハリーポッターのことを
"ポッター"と呼ぶと姉に怒られるし
サザエさんの事を"サザエ"と呼ぶと怒られる。

まるで基準が分からない。

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