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身体を大きくしたい選手への「増量バイブル」~基本編~

皆さん、こんにちは。
スポーツ栄養を専門に活動している管理栄養士の吉村俊亮です。

今回は増量について書いていきたいと思います。
全3回で考えていますので、ご興味のある方は是非お読みください。


増量とは

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増量とは、体重を増やすことを指します。
アスリートの増量は、体脂肪が増えてしまうとパフォーマンスの低下を起こすリスクが高くなってしまうため、基本的に筋肉量を増やすことにより体重を増やすことがメインになります。
増量という言い方以外にも、バルクアップやローディングなどという言われ方もします。


増量時にアスリートが気をつけなければいけないポイント

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増量時は基本的には食事量を増やし、摂取エネルギー>消費エネルギーというようにしますが、体組成を見た時に筋肉とともに体脂肪も増えていくことが多いです。
体脂肪が増えれば、もちろん身体が重くなってしまい、パフォーマンスは下がる傾向に向かうので、なるべく体脂肪は増やしたくはありません。
そこで、筋肉量の増加だけで増量しようと思うと、トレーニング内容もしっかり考えた上で、ある程度のトレーニング量も確保しなければいけません。
しかし、トレーニングもしっかりするとなると、消費エネルギーも高くなるため、体重を増やすことが難しくなります。
単純に食事量を増やすだけでもいけませんし、食事量とともにトレーニング量も増やしてしまうと、思うように体重を増やすことができないこともあります。

増量のポイントは、どの栄養素を増やし、どの栄養素をそのままの量にしておくのかということです。
もちろん、偏って多く摂取している栄養素がある場合は、その栄養素は減らさなければいけません。
また、日々の体重は身体の中の水分量でも大きく変動します。
たくさん汗をかいた日は、その分体重も落ちやすいですし、日々のトレーニング後にしっかりとした食事が摂れており、筋肉にグリコーゲン(身体を動かすためのエネルギー源になるもの)を多量に保持している状態であれば、水分の増加によって1週間で1~1.5kg程度増加することもあります。
その日の体重だけ見て一喜一憂せずに、短期的な体重の増減であれば、その原因を少し考えることも大切です。


増量のための基本的な考え方

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まず、増量をおこなう上で大切なのは、スタートラインを知ることです。つまり、自分の現状の摂取エネルギーと消費エネルギーを知ること。そして、摂取している栄養素のバランスを知ることです。
他にも、現在の体組成(筋肉量や体脂肪量など)を知ることも必須になります。
増量するためには、上記にも書いたように摂取エネルギー>消費エネルギーということが必要です。
また、体脂肪をあまり増やさない為に、ビタミン・ミネラルのバランスもしっかりと考えておかないといけません。
エネルギーに対する三大栄養素の摂取割合であるPFC比率はたんぱく質=13%以上、脂質=20~30%(増量時では、20%付近で摂取できれば理想です)、糖質=50~65%(増量時では、60~65%摂取できれば理想です)というような割合で摂取することも大切になります。
増量の目標設定は、ダイエットとは違い、1ヶ月に数kgの変化を望むことは難しいため、3ヶ月で0.5~2kgの筋量の増加を考えていただくと良いかと思いますので、増量期間には余裕をもっておきましょう。


1日に必要なエネルギー量の計算

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自分が1日にどれだけのエネルギーを食事や間食などから摂ったら良いのかを知るための計算式は色々とあります。
その中でも、日本人のアスリート向けの計算式はJISS式と言われるものになります。

JISS式
 除脂肪体重 × 28.5 = 基礎代謝量
  ※除脂肪体重は 体重-(体重×体脂肪率) で計算します
 基礎代謝 × 身体活動レベル(2.0以上)
  ※身体活動レベルは競技や選手の運動量により異なります

上記の計算式で出た数値が、その人の1日に必要なエネルギー摂取量になります。
身体活動レベルは個人差が大きくでるため、2.0で計算した場合、その後の体重の増減をモニタリングしながら、摂取エネルギー量をさらに増やすべきかどうかを検討してみてください。
摂取エネルギー量が妥当かどうかは、筋肉量の増加で見るのではなく、まず体重にのみフォーカスし、摂取エネルギーがしっかりと摂れているかを確認してみて下さい。
体重が増えるぐらいの食事を続けながら、トレーニングをしっかりすることで筋肉量は増加しやすくなります。


次回は体重が増えづらい人はどうしたら良いのかについて書きたいと思います。