食欲が低下しやすい夏に気を付けるべきこと
皆さん、こんにちは。
スポーツ栄養を専門に活動している管理栄養士の吉村俊亮です。
今回の内容は少しだけ専門的なことを書いていきますが、スポーツをする子供がこの夏気を付けないといけないことになります。
食欲が低下しやすい夏に気を付けるべきこと
夏になると、気温が上昇し、暑い中でスポーツをしていると深部体温が上昇し、胃腸の機能が低下し、食欲も落ちてしまいます。
食欲が落ちると、単純に食べる量が減ってしまうため、摂取するエネルギーが少なくなってしまいます。
一時的に摂取するエネルギー量が少なくなる分には、まだ良いのですが、、、夏場に食欲が落ち、秋になっても夏バテによる食欲の低下で摂取エネルギーが少なくなってしまうと、運動による消費エネルギーのほうが大きくなってしまいます。しかも、長期的に。。。
そうなると、様々な問題が身体で起こるようになります。
若い世代の選手たちの大きな問題になるのは、疲労骨折から始まる骨粗鬆症です。
骨粗鬆症とは
WHO(世界保健機関)では
骨粗鬆症は、低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である
と定義しており、骨折の危険性が増大する疾患であると言っています。
また、頻発する部位として椎体、大腿骨近位部、前腕部などになります。
日常生活を送っているだけで骨が折れたり、転倒による大腿部の骨折が原因で寝たきりになる高齢者も少なくありません。
健康な生涯を送るために、予防しなければいけない疾患の一つになります。
骨を形成する栄養素
骨を形成している栄養素で代表的なものにカルシウムがあります。しかし、カルシウムだけでは骨は作られておらず、他の無機物であるリン酸やマグネシウム、カリウムなども少量ではありますが、骨の材料になっています。また、有機物であるコラーゲンも骨の礎になっており、とても大切な栄養素になります。ちなみに、コラーゲンは栄養素でいうと、たんぱく質にあたります。
これらの栄養素をもとに、破骨細胞による骨吸収(骨の分解)と骨芽細胞による骨形成(骨の形成)というリモデリングが繰り返され、骨は形成されています。
これらのリモデリングは体内で厳密に調整されていますが、加齢に伴い骨形成よりも骨吸収のほうが大きくなり、骨量の低下を招きます。
そのため、若い時期に適切な食事と運動をおこなうことでPeak Bone Mass(最大骨量)を高めておくことが予防の一つになります。
栄養素と同じぐらい大切なもの
骨について考えるときに大切なのは、上記にも記載している通り、「食事」と「運動」です。
骨粗鬆症などの予防で一般的に言われるのは、カルシウムの吸収と排出についての話ですが、それと同じぐらい大切なことが『摂取エネルギー量が足りているのか』ということです。
上記の図は、女性アスリートの三主徴というもので、摂食障害の有無に関わらず利用できるエネルギーの不足が骨粗鬆症に繋がるということを表しています。
ちなみに、『女性アスリート』という名前が付いていますが、利用できるエネルギーの不足がある場合、性別や運動の有無に関わらず当てはまります。男の子には月経がない分、女の子よりもリスクは少しだけ低くはなります。
摂取エネルギー量が足りていないと、生命を維持するためのエネルギーが足りなくなっていき、骨のリモデリングに費やすエネルギーをカットしていこうとするため、骨粗鬆症のリスクが高まります。
運動をしているから骨は丈夫になるというのは間違いで、運動で消費した分のエネルギーもしっかりと摂取し、一日に必要なエネルギー量を摂取することで骨が丈夫になります。
スポーツをしている子もしていない子も同じことが起きてしまうので、気を付けたいポイントになります。
夏場で食欲が無いとはいえ、エネルギーを補うことは非常に大切です。
食べ物からエネルギーが摂れなくても、飲み物やゼリーなら喉を通るという子には、フルーツジュースや牛乳、エネルギーゼリーなどでエネルギーを補うことも大切です。
エネルギーとカルシウム、そして運動する子供に欠かせないたんぱく質などの栄養素を簡単に摂れるものとして、先日UDNSPORTS様が発表した『SHIFTH KIDS FULL』はちょうど良いかと思います。
牛乳に溶かして飲むものなので、エネルギー・たんぱく質・カルシウムをしっかり補うことができます。
暑い夏で、食欲が低下しているときでも摂取しやすいものなので、子供たちの健康を守ることにも繋がります。
気温が上がるこれからの季節でも、安全で楽しくスポーツをしてもらえると嬉しいです。