見出し画像

全国自治体リスキリングネットワーク キックオフイベント開催レポート

ベネッセコーポレーションは、2023年5月10日に全国45自治体(※)と「全国自治体リスキリングネットワーク」を発足しました。

スタート初日である5月10日には、本ネットワークに参加される自治体の皆さまにお集まりいただき、キックオフイベントである「自治体リスキリング共同宣言」を開催しました。その内容について、レポートいたします。

各セッションのまとめ

【第一部】有識者と先進自治体による基調講演

①有識者による基調講演

一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 後藤 宗明 様

早稲田大学卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)入行。渡米後、グローバル研修領域で起業。NPO法人、米フィンテック企業、通信ベンチャー、アクセンチュアを経て、AIスタートアップABEJAのシリコンバレー拠点設立に携わる。2021年、日本初のリスキリングに特化した(一社)ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。22年、SkyHive Technologies日本代表に就任。著書に「自分のスキルをアップデートし続ける『リスキリング』」(日本能率協会マネジメントセンター)。

一般社団法人 ジャパン・リスキリング・イニシアチブ (jp-reskilling.org)

後藤さま:「リスキリング」は、個人が自由に好きなことを学ぶ「学び直し」とは異なり、DX等、組織の変革に基づくため組織が実施責任を持つ「業務」であり、従業員個人の視点では、新しいことを学び、新しいスキルを身に着け実践し、新しい業務や職業に就くことです。
最新の世界経済フォーラムのデータでは、今後5年間で労働者のコアスキルの44%が変化するという予測も出ており、リスキリングがますます必須の世の中になってきています。

リスキリングに取り組んだ先の成果として、業態転換に成功した中小企業の事例や海外の行政の事例を交えて解説をいただき、未来を見据えた取り組みをしていく重要性を再認識するきっかけとなりました。
参加者からも非常に参考になったというお声をたくさんいただきました。

②先進自治体取り組み事例(鳥取県)

鳥取県商工労働部 雇用人材局産業人材課 未来創造人材室 課長補佐 田中 拓也 様

田中さま:鳥取県では2021年からオンライン受講促進事業を実施しています。県内の企業や市民を対象としたものです。

企業向け事業では、新型コロナウイルス感染症の影響からDX や業態転換を目指す県内企業を対象としてeラーニングを活用した学習機会を提供しています。受講企業では、実務での活用事例も出てきており、本事業の満足度も非常に高いです。また、市民向け事業では、就職やキャリアアップを目指す求職者を対象として学習機会を提供しており、新たなスキルを身につけ実際に就職につながったという成果も上がっています。

リスキリングを推進するにあたって、今後は両事業とも学習機会の充実に加え、“学ぶ理由”づくり、”学ぶ組織・カルチャーづくり”と一体的に進めていきます。

行政が主導となり、県内の企業や市民に向けて学習機会を提供することで、産業活性化や学びの力で地域を豊かにしていく取り組みをご紹介いただきました。

③先進自治体取り組み事例(江戸川区)

江戸川区役所 経営企画部DX推進課長 渡邊 良光 様

渡邊さま:国内の人口減に伴い、江戸川区の職員の数も減少していく中で、住民へのサービスレベルを維持・向上させていくためには職員のリスキリング(DX)は必須であり急務ということで、庁内でのDX人材の育成に取り組んでいます。
リスキリングが必要なのは他の区も同様のため、自治体間で好事例や課題感を共有し、さらに共同調達によってコストメリットを得られるという新たな取り組みを2023年度から開始しました。ノウハウの共有を行うことで、DX人材育成に対する課題対応がより強化され、それぞれの自治体でのDX人材育成への関心や意識が向上することも期待しています。

庁内にとどまらず、他の自治体も巻き込む形でDX人材の育成に取り組まれるという新しいお取組みについてご発表いただきました。サービス調達に限らず、今後人材育成という観点でも、自治体同士の横の連携が加速していきそうです。

【第二部】参加自治体による情報交換会

「企業・市民向け事業」「庁内職員向け事業」と、お取組みテーマごとにテーブルに分かれ、参加者同士の情報交換を行いました。
情報交換会には、14自治体、27名様にご参加を頂きました。

「企業・市民向け事業」テーブルでは、各自治体のそれぞれの事業概要を元にディスカッションしました。それぞれユニークなお取組みのため、質問が多く飛び交い、これから取り組む予定の自治体様も、今後ご自身の自治体ではどのような取り組みが検討できるか、という視点で議論に参加されていました。

「庁内職員向け事業」テーブルでは、事前にアンケートでお答えいただいたDX人材育成に関する共通課題であった人材要件定義や、学んだ結果をどう実務や組織に落とし込むかなどテーマごとに議論が進みました。

各テーブルともに非常に盛り上がり、「他の自治体の取り組みがとても参考になった」「時間が足りなかった」といったお声を多くいただいています。

さいごに

今回のイベントを通して、参加自治体様の想いや取り組みをお伺いすることができ、改めてこの全国自治体リスキリングネットワークのスローガンである「ひとの学びで、地域は進む」を実感することができました。

自治体の皆さまが人材育成に取り組むことで、日々の業務や行政サービス、地域の活性化、ひいては市民の皆さまの暮らしが良くなると思い、この「全国自治体リスキリングネットワーク」を立ち上げました。

このネットワークを活用し、先進事例の知見共有や情報交換を行うことで、ここからさらにリスキリングが進み、よりいっそう社会が前進していくことを目指して参ります。

今後も情報発信や、定期的な交流の場を設けてまいりますので、ご参加も随時お待ちしております。


本イベントに関するメディア掲載(一部抜粋)

江戸川区など45自治体参加 ベネッセ、学び直し推進へ新組織 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

デジタル化の中で進む「リスキリング」 全国の自治体でも注力 企業では未経験者をソフトウェア技術者に|TBS NEWS DIG - YouTube

「ひとの学びで、地域は進む」--ベネッセ、45自治体とリスキリングに関するネットワークを発足 - ZDNET Japan