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里山から自治を考える 10「候補の思いは関係ない?」

第2回も2023年統一地方選・大阪府議会議員選挙に自民党から新人で出馬した杉浦美香さんを特別ゲストにお迎えして、里山太郎さんとのトークでお話していただきます。

すぎうら美香さんの思い

里山さんが杉浦さんへ単刀直入に政治への思いをたずねます。
「どうしたいんですか?大阪府をよくする、大阪府民を幸せにするんですか?」

杉浦さんは「私が生きてきてしんどかったことを次の世代になくしたい」と。男女雇用機会均等法が改正された1986年のすぐ後に就職し、新聞記者として30年以上働いて来た杉浦さん。振り返ってみれば、ガラスの天井(女性やマイノリティが出世できない旧態的な社内制度)よりも、仕事をしながら子どもも、家庭も、持ちたいとなったときに、働く女性だからと自分自身で規制せざるを得ない状況や、周囲の目がしんどかったと言います。結婚・出産・仕事について、働く女性が安心できるロールモデルがあればよかったと、今では考えているそうです。

ご自身の経験から、働く女性のロールモデルの必要性を説く杉浦さんですが、一方で、具体的な政策や実現への方法が見えて来ず、4年後の勝負が心配になるところ・・・。そこで、勝負する上で、知っておかなければならない、選挙の戦い方とその理論について、里山さんが古典から引用します。

候補者の思いは関係がない

「選挙には、勝つ理論がある。候補者の思いは関係がない。」
具体的にいえば、維新が利用していると思われる理論的な背景は、ル・ボン(1841~1931)の『群衆心理』ではないかと思われる。
1895年発行のこの著書では、選挙人の心理と定義が書かれている。
群衆心理では、一人や少人数の時は個性や自分があるけれど、大衆や群衆になった時にはじめて人間は個性を失う。だから候補者は、絶対に一人や少人数とは対話せずに、大衆に向けて話す。
その時あるのは、集団としての個性。個人は大衆に同化するもの。
これは、どの群衆でもそうなるものだと決まっている。大阪の自民党は、気づいているのかいないのか、この群衆への働きかけができていない。

ゲッベルス(ドイツの政治家で、ナチ党政権下の国民啓蒙・宣伝大臣)も、1930年代に『群衆心理』の考え方でプロパガンダを確定させた。
同じ理屈で、テレビの向こうには、必ず群衆しかいない。マスメディアがやっているのは、常に群衆心理への働きかけということになる。

新聞とテレビの違い

元新聞記者である杉浦さんは「テレビとは違い、新聞のマスについていえば、意外と対象は一個人なんです。新聞記者が誰に語りかけているのかというと、対一個人の、能動的に購読している読者なんですよね。」と話します。

里山さんが続けます。新聞は文章を目で追いかけてから(各自の頭の中で論理的に理解し)、映像化し、結論付けするのは読者自身。一方映像は、見るだけで結論まで理解させる。
「女の子がこういう手ぶりをした」というシーンだけで、視聴者は(しぐさの持つ)意味を、結論として理解する。だから、マスメディアとして(群集心理を)動かすのは、テレビがすごく優れているわけです。

選挙では、政党や候補者が、マスメディアの特性をこのように利用している、ということを知っておかなければなりません。予定の内容より脱線しましたが、今回は、里山さんと一緒に、マスメディアをどうとらえるかという重要な考察ができました。

次回、第3回では、杉浦さんに話を戻して、4年後の選挙をどうやったら勝てるか、についてお聞きしたいと思います。

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