『Bloom Into You』について

サミラ・ワイリーの受賞スピーチの投稿あたりから、『ワイノナ・アープ』のインタビューだけでなく気になったものをあげていこうと思い始めたのですが、最近「こんなハマるつもりじゃなかった」という作品があるので紹介しようと思います。（起こし途中のものを差しおいて）

その前に少し説明。私、2017年にClexaCon＠ラスベガスに参加するまでは、かなり長い間、ある日本の女性声優を追ってました（出演アニメ、主に百合アニメ。いわゆるGL、でもジャンル拘らず）。大人になってから百合オタになったんです。でも帰国した時点で、海外ドラマでしか安心して楽しめない。という理由でアニメ視聴から離れました。当時『亜人（デミ）ちゃんは語りたい』という「人と違う」テーマかつユーモラスな学園もので、楽しく見ていたものでさえ見る気になれず中断しました。しばらくして見終えましたが。良作なので。

それからは海外ドラマまっしぐらだったわけですが、2018年末から放送していた『やがて君になる』（英題：Bloom Into You　通称：やが君）。「誰に告白されても相手のことを好きになれない」女の子と「好きの感情が分からない」女の子を中心に描いているお話。見る気になった理由はあらすじと英題です。恋愛至上主義根深い世の中で画期的じゃないですか。ジャンルで言えば、百合です。なんですが、それ以上にこれまで見てきた代表的な（限定的だけど）百合漫画やアニメの中でも多様性があり、いちレズビアンとしては2018年、2019年に （英語圏のLGBTQが使う #2018gayteen #20biteen な時代に）ぴったりだと思うアニメ化でした。

シスヘテ以外に登場するキャラのセクシャリティがこんな感じ：アロマンティック（他者に恋愛感情を抱かない人のこと）、レズビアン（自覚ありしかも複数登場）、デミロマンティック（他者と絆が芽生えてから稀に性欲を抱くこともある人のこと）、クィア（LGBTQのQ。ここではヘテロじゃない人の意味で）。（まぁ、志村貴子先生の作品とかはこれまでもありますが。）自覚していない設定もあるので当てはまるかもと思うものです。普段見ている海外のドラマに匹敵すると思うくらいの多様さ。（たとえば『ワイノナ・アープ』、『ワンデイ』、『ジェーン ザ ヴァージン』）

私目線ですが、レズビアンの描写が正しく、LBQ（レズビアン、バイ、クィア）の扱いについてはストレスなく見れました。心理描写が緻密で、丁寧で、素晴らしい。艶もあれば高校生らしさもある（声優談）。監督をはじめアニメ製作現場が原作を壊さず、声優もばっちり息を吹き込み、「やが君」を大切に愛するチームがいい仕事をしています。インタビューを読んでみると、『ワイノナ・アープ』をつくるエミリー・アンドラスに通じる「でしゃばらず、チームでいい作品を作りたい」という意識が見て取れました。最高。

現在『やがて君になる』はNetflix、アマプラほかサイトで配信中。アニメが苦手なら原作コミック（連載は継続中）もあります。海外のレビューを見ると「自己実現」というコメントも見られます。個人的にはアイデンティティを描くクィアアニメ。クィアドラマ。（ここではセクマイひっくるめての意。）普段からLGBT関連コンテンツを見ている私が受け取ったことそのままを原作者の仲谷鳰先生が意識しているかどうかは分かりませんが、「人が人を好きになること」や葛藤を丁寧に描いています。そして「人と違ってもそのままでいい」ことも。アニメ6話～8話が傑作、そして12話～13話は号泣。3周くらいした。最新刊6巻も号泣。しかも原作はまだ続いてる（新刊は今夏予定らしい）！

ちなみに。ハッと思い出して探したClexaCon2017の中のこの1枚。

英翻訳も！当時こんなに夢中になるなんて思いもしなかった。海外アニメサイト（有料）でも吹き替え配信しています！（日本からも見たい・・）

前回のClexaConでは英語版『進撃』の声優さんもゲストだったので、このMarissaさんや他のキャストにClexaConに来てほしい。Marissaさんは他にもクリップをアップしてくださってるので気になる方はぜひ。日本版の寿さんと高田さんと同様にいい感じです。

「体育祭のこの会話やこういったシーンがあるから『やがて君になる』はとても重要な作品ですし、それに関われて嬉しく思います。」（補足：「人を好きにならない」感覚についての会話。人と違う感覚（セクシャリティ）を自覚していて、初めて似た感覚を持つ人と共有できた。）

こちら原作者と編集クスノキさんが毎回バトルして考え出す帯

そして扉絵

気になった方はぜひ各サイトなどでご覧ください。騙されたと思ってぜひ。私はクレクサコンがなかったらもっと投資してます（DVDは購入しました。贅沢な内容！！）。