Twitterでバズった内容のまとめ!農家が規格外提供に難色を示す理由を数字で解説します!

始めに

Twitterでバズったのと大変学びになるからまとめて欲しいという要望が多かったので、こちらにまとめます。元のtweetはこちらです。


まとめ

#フードロス問題
#規格外野菜
#SDGs 授業という大学からの要望に対する農家の火の玉ストレートを投げました 正直学生さんのフードロス問題に対する知見の狭さを感じるので、この手の企画には農家が辟易としているというのが現状です といいますのも農業の製造段階で出る規格外は本当に規格外で外見や食味が著しく悪いものです。

大学生はB品=規格外と考えてるかもしれませんが、B品は販売先がありますし市場にもB品規格というものがあります。 規格外は本当に規格外でゴミであり、これをコストかけて流通させる意味はありません。

例1 黒腐にやられたキャベツ
例2 軟腐病にやられたニンジン

畑でそのまま土に返せば次作の栄養になります。
また本来海外で言われる標準的なフードロスの定義は流通した食品のことであり、畑でのロスはロスとは定義されていないことをおそらく全く学んでないのではないかと思います。 次に経済的なレベルでの話ですが、わざわざ安くしか評価されない物を収穫するために人件費かける意味がありません。

キャベツはキレイなものを作れば1玉5秒で処理できます

こういう状態なら端から切るだけです

1時間で720玉
ケースにして90ケースできます(1ケースは8玉で1玉は1.3kg程度)
このL規格だとケース1000円なので90000円分です
経費率70%として27000円ぐらいの利益になります

一方規格外の場合1玉1分〜2分かかります
1時間に30玉ケースにして7.8ケース
規格外品は本来誰もいらないのですが、市場は必ず売らなければいけません。いわゆる市場法です。そのため実質廃棄料としてケース200円と値が付くことがおおいので200円とすると、1500円分です。
当たり前ですがこれでは農家は人件費払い損で7.8ケースで利益と人件費分で54000円は貰わないとやってられません。
実にケース7000円弱です
規格外の方が正規品よりコストが上がっていることが分かるかと思います。

さらに安定供給の問題ですが、我々農家は規格外を作りたくて作ってるわけではないので規格外は安定的に供給できず、すなわち契約をし難いので稼ぎになりません
使用側も在庫管理、作業人員配置計画などの計算ができないのでコストが上がります。

以上を考えるとコストが高く、品質が低いものを学生の自己満足でいじくり回してもむしろSDGsではなく農家の貧困を促進するだけなので正規品を正規の値段で買ってくださいというのが回答になります。 この規格外ビジネスは本当に雨後の筍のごとく企画が出てきますが継続してるものは知る限りないです。

発生するフードロスは畜産動物などに食べさせる
餌に使うのが一番持続可能だと思い実践しています

よく勘違いされますが加工なんかは市場よりも規格が厳しいです。腐りかけのものとかは当然衛生の観点から使えませんし、虫などの異物混入リスクをゼロにしなければなりません。またスライサーに入る大きさなどもありサイズも厳密に決められています。 大変厳しい規格物量価格勝負をしています

学生さんは一度生産、流通の勉強をしてからフードロスに取り組むべきかなと 日本は特にこの生産、流通が消費者から見えないので、あまりにも思考レベルが浅いなと考えられる大学の講座が多いのではないかと危惧しています。 間違った知識から正しい回答が生まれることは100%あり得ません。

最後に

以上です。
フードロスへの対応を考えるのはとても良いことだと思いますが、順番としてはまず自分たちの努力でなんとでもなる家庭内でのロスを減らす。
そのあとに、小売りや飲食、流通と来て最後に一次産業に着手すべきなのですが、いきなり飛び越えて一次産業に手を出すのはおススメできません。

またリプライの中で規格があるのがいけないみたいな話もありますが
規格はAさんとBさんが商談し話し合って合意した契約みたいなものです。規格が云々というのは当事者同士の都合が最優先されるものなので、ここを変えるという事は当事者にとってメリットが無いと難しいかと思っています。

2023/7/16 青果規格とは何か?を別記事でまとめました。規格って何?を今までの農業で学んだ知識で説明していますので、あわせてお読みいただければと思います

とかく目の敵にされる既存流通ですが、既存流通があるおかげで現在の豊かで便利な食生活を手に入れられていることは忘れてはならないかなと思います。


普段は奥出雲という中国山地のど田舎で行われる育児と農業のドタバタマンガを発表しています
よろしければ楽しんでいってください


農家や流通のチェック体制に関する分かりやすい説明マンガも掲載していますので、あわせてお読みいただければ!


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