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ヨーロッパとロウソク文化〜エンカウスティークとロウソク時計〜

今回はヨーロッパのロウソクに関して書いていこうと思います!前回までは『和ろうそくを巡る冒険』と題して中国と日本の蝋燭史を巡ってきました。そんな前回の記事はこちらです。和ろうそくや、伝統工芸にご興味ある方も無いかもぜひご一読いただければと思います!

さて、今週からは2回に渡って「和ろうそく」と「洋ロウソク」の違いに関して書こうと思い、まずはヨーロッパのロウソク史を……と意気込んだものの文献があまり見つからず。。こちらに関しては改めて調査し後日書いていきたいと思います。と言うことで、今回はヨーロッパのロウソク史を少々とヨーロッパで生まれたロウソクを使った文化をいくつか紹介したいと思います!

■まずは簡単にヨーロッパのロウソク史

Wikipedia(いきなりベタな出展すみません)を含めて、少ない資料をまとめてみると、紀元前1500年頃からから古代エジプトで使われ始めたようです(一番古い記載ですと紀元前4000年代)。ヨーロッパ側は古代ローマ時代の紀元前7世紀にエルトリア人の墳墓から蝋台が見つかっている他、紀元前4世紀には蝋台にロウソクを刺して使われていた壁画が見つかったりもしています。中国で蝋台に刺す形の蝋燭の成立したのが4世紀~6世紀頃と考えると、かなり早い時期に現在の形に近いものが使われていたようです。

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古代エジプトのロウソクは「蜜蝋」を使われていたようですが、紀元前のヨーロッパでは主にオリーブオイルを使った油灯が使われていました。状況的にロウソクはエジプト→ローマへ伝わった後、ローマのギリシア進出に合わせて東側へ伝波していったと考えられます。また、北部ヨーロッパでは、オリーブオイルの生育が難しいため獣脂を使ったロウソク作りが4世紀頃から始まり、独自の発展を遂げていくことになります。

面白いと感じた点として、アジアでは蜜蝋のあと植物蝋へ蝋燭作りは発展していきますが、ヨーロッパでは植物蝋には発展しませんでした。気候や土地の違いで技術が分岐する面白い例です。イギリスでは4世紀以降も獣脂蝋は使われ続け、1300年代にはロンドンで組合やギルドができます。その後植物蝋とは全く別のロウソクにたどり着く事になります。

中国・日本でもそうでしたがロウソク史は必ずよくわからない期間があるのも共通点ですね……では次からが本題です!

■蜜蝋とエンカウスティーク

人類と蜜蜂の歴史は古く、1万年以上前に遡るともいわれています。そんな蜜蜂からとれる「蜜蝋」を使った絵画手法が「エンカウスティーク」(エンカウンスティック)です。「蝋画」とも呼ばれるこの技法は紀元前1世紀頃には確立され、最古の絵画技法の1つとも言われています。1世紀頃に描かれたエジプトのファイユーム地方から発見されたミイラ肖像画は、この技法が使われており、ほとんど当時の状態のまま発見されたそうです。蜜蝋のもつ有機物として優れた耐候性が伺えます。さらに水性の技法でありながら油絵のような艶もでる。なんとも不思議な技法だったようです。

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そんな「エンカウスティーク」ですが、一度技法が途絶えた後、18世紀フランスで復活をとげています。塗料の作り方はこんな感じだったようです(相変わらず絵心なくてすみません)が、当時はもっと厳密なレシピがあったと思われます。ちなみにエンカウスティークは現代にもその技法は引き継がれており、当時より書きやすく改良が加えられているようです。古代の技法抜群の耐久性独特の艶。なんだか惹かれますね!

これはもう少し勉強してワークショップにすると面白い気がしてきました......と言うことでワークショップ第2弾は『エンカウスティークで絵を描こう!』にしたいと思います!

■アルフレッド大王とロウソク時計

続いては「時計」です。古くは時間を計る事もロウソクの大事な役割でした。特に夜間や悪天候時は効果的に時間を計るために重宝されました。この「ロウソク時計」で有名なのが9世紀後半にアルフレッド大王が使ったとされるロウソク時計です。12インチのロウソクに12個のメモリをつけ、メモリに合わせて祈祷や執務等の時間を決めていたようです。和ろうそくも時間の目安として使われています。このように「灯り」として人類史を支えてきたロウソクですが「時間を計る」という大切な役割も持っていました。いくつか種類があるので紹介します(これは絵心無くても伝わるはず)。

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余談になりますが、私が「和ろうそく」にひかれた大きな要因がこの「時間」です。勝手に「和ろうそく時間」と呼んでいますが、ろうそくが作る時間には「余白」があります。先ほどの例でいくと1匁の燃焼時間は約30分です。この「約」を楽しめる豊かさがすごく素敵だなと思っています。

これもオリジナルの時計版作くるワークショップできそうだなぁ……と言う事で第3回もほぼ決まりました!

■イタリアに現在も息づくロウソク文化

では最後に現在もイタリアで残っているロウソクにまつわるお祭りを紹介します。実は調べるまで全く見たことも聞いたこともなかったのですが、とても楽しそうです。いやむしろ参加したいです!来年に向けて大きな目標ができました!!私からの紹介が難しいので、お祭りについて書いたページを載せておきます。なかなかすごいです!

■そしてパラフィンが発明される!

蜜蝋と獣脂蝋を中心に作られてきたヨーロッパですが、1820年ドイツのカール・フォン・ラインヘンバッハ、1850年ジェームス・ヤングによるパラフィンの抽出方法の確立により、ロウソクの製造は一気にパラフィン製へと切り替わっていきます。そして、それはアジア圏で中心的な役割を果たしていた蟲蝋や櫨蝋を一気に飲み込んでいく事になります。

さて、今回はヨーロッパのロウソクに関して調べてみました。「エンカウンスティーク」も「アルフレッド大王のロウソク時計」も全く知りませんでした。。。ヨーロッパのロウソクにはまだまだ魅力はたくさんありますが、それは別の機会に書いてみようと思います。

そして、次回はいよいよ今回取り上げた「洋ロウソク」と「和ろうそく」の違いに関して私なりに書いてみようと思います!お楽しみに!!

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