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映像制作会社・ビデオグラファー向け | クライアント案件で映像を作る過程 3種はこれ| 営業・管理・制作

ぼくの会社は役員3名、社員1名、アルバイト1名、フリーランス契約5名前後で構成される「超」がつく零細ベンチャーで、映像事業と音楽事業の運営を行う制作会社です。企業と行政の仕事を中心に取り扱っています。行政案件の支払いは大体年度をまたいで4月~5月になるのですが、ぼくたちの会社は決算が9月なのでちょうど一年の真ん中。契約獲得額と売上が全くイコールにならないので、契約は取れて仕事は進んでいるのに入金が無いということはよくあります。法人化してしばらくは儲かってるのかよく分からくなりそうな状態でした。現在もうすぐ3期が終わるタイミングですが、ようやく当面の資金繰りを心配しなくて良い状態になりました。

ホテル撮影案件(山陽新聞旅行社様)

■納品までの業務

個人でもチームでもビデオグラファーが仕事をする流れは、
①企画資料の作成・契約獲得
②打ち合わせ・撮影
③編集・修正・納品
と大きく分けて3つに分かれます。

それぞれに業務名をつけると
①営業 業務(企画資料の作成・契約獲得)
②管理 業務(打ち合わせ・撮影)
③制作 業務(編集・修正・納品)

と分かれます

フリーランスや1人で立ち上げた会社はこれらを全て自分でやることからスタートしていくことがほとんどだと思います。それぞれの業務をぼくの会社のやり方ですが少し説明します。

■簡単にプロフィール

月末納期に追われなんだか余裕のない表情をした男、これが私です

・千葉県出身
・大学のゼミでHTMLと動画編集を少し習う
・東京のベンチャー企業に就職し営業マン生活をスタートする
・帯状疱疹や微熱が日常になる
・4桁営業したあたりで「自分で考えたサービスを売りたい」と強く思う
・6年間働いた後に退職
・奥さん(ピアニスト)と大学の同級生(動画編集者)を誘い3人体制になる
・2016年に東京で開業しフリーランスになる
・お金がないことと先が見えないことから不安で衝突が起こる
・とにかく3人でがんばる
・企画営業のやり方が分かってくる
・やや仕事が増えて忙しくなる
・岡山県に移住する(同級生は東京に残りバイトしながらリモートワーク)
・東京と岡山を往復しながらなんとか全員バイトから抜け出し生活できる様になる
・2019年に岡山県で法人化して株式会社ベネルートを設立する
・東京/大阪/岡山の企業と定期的に仕事が継続できる様になる
・中国地方と四国地方で行政の仕事をする様になる
・アルバイトや正社員が増える
・現在3期目

■①営業(企画資料の作成・契約獲得)


企画書表紙(ベネルート)

企業営業の場合は、
・アポイントを取る
・企画提案書作成
・見積書作成
・営業(プレゼンテーション)
・結論確認

箇条書きにすると簡単な業務に見えますが、まず最初の「アポイントを取る」から時間がかかります。知り合いだけでなんとかしようとするとすぐに限界が来てしまいますよね。しかも単価はなかなか上がらないこともよくあることです。

そしてようやくアポイントが決まったら、「企画提案書作成」をしていきます。ヒアリングが事前に出来ていれば作りやすいですが、なかなかそうもいきません。HPやSNSを通じて企業が発信している情報を集め、分析し、魅力的に伝わりそうな企画提案書を作成していきます。

動画社内報企画の1ページ(ベネルート)

出来上がった企画提案書に「見積書」を付けます。新規営業で必ず付けなくて良いとは思いますが、とりあえず社内で確認してからじゃないと進まないという企業も多くいるので念の為準備しておきます。大体3パターンは作っておくことをお勧めします。ちなみに、とりあえず見積書を欲しいと言われた場合、企画提案書をセットで渡すことをお勧めします。金額だけ提示して決済が通るほど企業営業は簡単ではありません。見積書を会議で提出する担当の方が、上司に企画内容を質問されるはずです。その時に資料を見ながら説明してくれることを想像しましょう。

そして営業(プレゼンテーション)です。ヒアリングをした上で、当日聞いたお悩みと考えてきた企画を上手に混ぜながら提案をします。一生懸命調べて想像して書いてきた企画提案書との答え合わせをしているようでこの時間が結構好きです。しかし、ここで即決することは少ないです。回答を早くするためには決済者と話すことが一番です。契約獲得率は誰に営業をするかで大きく変わりますので、アポイントの取り方はまた説明します。

そして結論確認です。営業では必ず結論日を決めてから帰ってきます。そしてその日に連絡をすることも合わせて伝えてきてください。いきなり電話をすると催促をするようになるので担当者さんとしては仕事が増やされた様で良い気がしないこともあります。

ここまで簡単に営業業務の説明をしましたがいかがでしょうか。やることが意外とありますよね。

個人で業務を進めたばかりの時はなかなか難しいですが、動画制作にかかるお金の中にここまでの労働料と技術料を入れないと動画制作は稼げないと錯覚してしまいます。感覚ですが、全体金額の2.5割~3割はここに費用をあてます。50万円の契約なら12.5万~15万円くらいで「企画制作費」とか「進行管理費」に入れます。

■②管理(打ち合わせ・撮影)

打ち合わせ(岡山市様)

ここからは仕事を獲得した後の業務です。企画提案書の時点ではあくまでイメージだったものをより明確にしていきます。
・工程表の作成
・企画書修正(コンテ、プロット修正、キャスト、ロケ地の手配)
・連絡と打ち合わせ
・撮影

管理業務は現実的にも理想的にも考えた上で工程表の作成をすることが重要です。納期の確認→修正対応→仮納品→撮影・・・などといった順番で基本的には納品から逆算してスケジュールを立てていきます。

工程表の一部(ベネルート制作資料)

企画が進むにつれて更新していくので最初は全体イメージだけ作ることから始めます。

次に再度企画書の内容を詰めていき企画書修正をします。以前にもお伝えしたKPIとKGIを具体的に決めていきます。最終的に何を達成したら良い仕事だったと思えるのかを誰が見てもわかる様に決めましょう。マーケティングは担当せず、動画納品のみだった場合でも動画の構成を論理を持って細かく決めるなどをすることで「だからこの動画は素晴らしい」という根拠がしっかりと生まれます。感覚的な部分の他に説明できる動画の意味を決めて共有しましょう。

上記が決まったら撮影になります。撮影時のケータリングなどの手配、駐車場の確認、映り込みの確認などを行い進めていきます。当然天候や環境で進行が変わりますので事前に工程表や予算にはバッファ(余裕)を持たせておきましょう。

③制作(編集・修正・納品)

動画シーン(岡山芸術交流2019)

ここからもとても大事な業務です。修正の無い制作はほとんどありません。営業や管理で進めてきた内容の答え合わせです。「イメージと違いました」と言われてしまっても反省は次回に活かして、ここから出来ることを確実に進めていきます。仮納品を大体2回ほどは設けておくことで、クライアントさんの要望を反映することができます。

最初のうちは納品のつもりで提出したのに修正依頼が来てしまい、対応がうまく出来なくて微妙な雰囲気になることもあります。ここは編集者の力量が試されます。言うまでもありませんが、修正がきて「最初に言ってください」などと感情的になら無いように注意してください。営業と管理からのバトンがうまく渡ってこなかった自分たちの責任です。この業務を全て一人でやるのであれば、納品までを逆算して営業からスタートしましょう。

■アイデアに行き詰まったら

僕のお勧めマーケティング本です。企画を作るアイデアにも十分繋がります。特に動画を作る場合はどういう風に動画を活用したら良いかまでアドバイスが出来ると企画提案の幅が広がります。

少しでも参考になったら嬉しいです。
今回も最後まで見てくれてありがとうございます。お疲れ様でした。

内田


株式会社ベネルートは2016年に東京にて創業、2019年に岡山県で法人化した制作会社です。ブランディングデザイン事業部とミュージックアート事業部から構成。


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