うーちゃんと一緒

リレー小説のためのアカウント。

うーちゃんと一緒

リレー小説のためのアカウント。

最近の記事

【ちよしこリレー小説】青い夏 最終話

目次 前話(第十一話 まだ出会ったばかりなんだから) 最終話 始まりの日 しのぶが追いかけたが、人混みをすり抜けるようにささっと葵が消えてしまい、ひとまず1人にしておこうと思い直した。 何も考えずに走り出した葵だったが、万が一蒼が追いかけてくることを想定して、比較的人が少なそうなトイレに逃げ込んでしまった。 咄嗟に体が動いてしまっていたが、足の速い蒼を警戒して個室に逃げ込むという考えは働いたようだ。 どれほどの勢いで走ってきたのか、いつの間にか肩で息をしていた。自分

    • 【ちよしこリレー小説】青い夏 第十話

      目次 前話(第九話 試合と雨とそして) 第十話 ジェットコースター 日中の風が気持ち良いと感じる穏やかな晴れの日。 カレンダーでは9月の半ばに差し掛かろうとしていた。 天気と同じく葵の気持ちは晴れやかだった。 放課後、蒼と図書館デートの予定があるためだ。 蒼の試合に向けた部活の活発さから、なかなか一緒に図書館に行く時間がなかったが、それでも合間を縫って1ターンずつ苦手教科を教え合った。今日が3度目だ。 元々あまり化粧っ気のない葵だったが、詩織の勧めで「ナチュラルメイ

      • 【ちよしこリレー小説】青い夏 第八話

        目次 前話(第七話 CCレモンと葵) 第八話 密かな目標達成 「っっはぁ〜〜〜〜〜〜。どうすっかな〜〜〜〜〜。」 「え、なに、明日のこと??なにに迷ってんの?」 火曜日の放課後、蒼は塾で玉やんと合流し、明日の図書館デートについて話していた。 「いや〜なんかさ、一緒に勉強しない?って誘ったけど、ほんとに2人とも勉強しちゃったら全然喋れないじゃん?どうすんのよって思って。」 「ほんっっとお前は疎いよな〜。その流れで真面目に2人でそれぞれ勉強する奴がいるかよ!苦手な教科

        • 【ちよしこリレー小説】青い夏 第六話

          目次 前話(第五話 蒼と幼馴染) 第六話 共通点 週末、あっという間に約束の日が来た。 玉やんが指定した待ち合わせ場所にいち早く到着したのは蒼だった。 前の日から落ち着かず、当日を迎えた今朝もなんだかソワソワした気持ちで、家に居られなかった。着いてからも浮ついた気持ちが抑えられず、普段はそこまで気にしない身だしなみを入念に整えた。 前の晩、図書館で葵と初めて話した日のことを思い出しながら、同じ服装を避けるべく紺色のポロシャツと白いハーフパンツに決めた。気合いが入りすぎ

          【ちよしこリレー小説】青い夏 第四話

          目次 前話(第三話 奇跡) 第四話 2人のオアシス お昼休み、葵は羽山詩織と大山しのぶと机を囲んでお弁当を食べていた。 「私たちしおりとしのぶで、2人とも小さい頃にしーちゃんって呼ばれていたこともあって、たまにCCレモンって呼ばれたりするの!ウケるでしょ!」 左手をCの形にしながら、可愛らしい見た目通りの明るさで、詩織が会話の盛り上げ役を買って出てくれた。緊張が解けきらない状態で席についた後、すぐに話しかけてくれた詩織に葵はすでに心を開いていた。 「あー子って呼び捨

          【ちよしこリレー小説】青い夏 第四話

          【ちよしこリレー小説】青い夏 第二話

          目次 第一話 第二話 遭遇 「ただいまー」 何も考えずに家のドアを開け、誰に言うともなく帰宅の挨拶が口をついて出た。 「あら?葵?なに、あんたもう帰ってきたの?ずいぶん早いわね。」 玄関の開閉音と葵の声に気づいた母が驚いたようにリビングから声をかけてきた。 (あ、しまった…) 学校に行かずに帰ってきたことを母に知られたくなかったのに、つい無意識にただいまと言ってしまったことで、すぐに存在に気づかれてしまった。 習慣とは恐ろしいものだ。葵は何気ない自分の一言を一瞬

          【ちよしこリレー小説】青い夏 第二話