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ヒッチハイクは、危険な行為
私は一人でヒッチハイクをやろうとしていた。道路の端に立って、ものすごいスピードで通り過ぎていく車を何台も見送っていた。1台も止まらないので、惨めな気持ちになりかけていた。すると緑色のバンが停車してくれた。
一見高級車そうに見えたそのバンに近づくと、前へ少し進んでまた止まった。前に動いて私が乗りやすいように、少しスペースを作ってくれたのかなと思った。
近づいていくと、車内にはアジア系の外国人が数人乗っていて、ペンキ缶のような金属製の箱が数個と、ペンキ塗りのための道具も見えた。どう見ても作業現場に向かう労働者の一団だった。
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私が乗るには車内に余裕はなく、私は「いいです」と手を左右に振ってドライバーに断伝えた。ドライバーの顔ははっきりとは見えなかったが、どうも日本人のように見えた。外国人たちは一人として私の方を見ていなかった。全員うつむき加減で顔を見せなかった。ドライバーはチラリと私の方を向きながら、軽く手を上げてゆっくりと車を発車させた。
無理すれば乗れなくもなかったが、乗らないで良かったと思いながら、緑色の後姿が離れていくのを見送った。
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もしあの車に乗っていたら、何らかの不法行為に関与してしまうかもしれないし、自分で加担しなくても、警察から事情を聞かれることになるかもしれない。
これがある夜の私の夢である。なぜこんな夢を見るのか自分でも分からない。でもちょっとだけ心当たりがある。
私の好きなテレビドラマに、山田太一脚本、八千草薫主演の「岸辺のアルバム」がある。その中で大手商社の繊維部門の営業部長役の杉浦直樹が、会社の業績悪化により、外国人ホステスの斡旋の仕事にまで手を染めざるを得なくなる、というプロットが出てくる。
私のヒッチハイクの夢と、岸辺のアルバムのこのストーリーが、少し似ていると言えなくもないですが、最近、「岸辺のアルバム」を見直したわけでもありません。
とにかく、日本にせよ海外にせよ、ヒッチハイクは危険を付きまとうことを忘れないでください。もちろん、私はヒッチハイクをやったことは、夢でも現世でも一度もありません。
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