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日本ゲーム文化がeスポーツ化しない可能性

わざわざ「eスポーツ」と呼ぶ2つの理由

ゲームをしている側としては、磨いたスキルで競うという競技性がスポーツに通じるのはよく分かる。しかし、昔から対戦ゲームはあった。わざわざ「eスポーツ」と名前がつけられるような流れがおきた背景には、2つの要素がありそうだ。

  1. 観戦が楽しめるようになった

  2. 観戦のビジネス化

観戦が楽しめるようになった

インターネット技術の進歩で観戦のハードルが大きく下がり、大手メディア (テレビ) が取り上げなくても良くなった。

  1. 大会を現地以外で見られるようになった

  2. 個人が簡単にゲームプレイを配信し、それを視聴できるようになった

これによって、ゲームプレイヤーとしてではなく、観戦者としてゲームを楽しめるようになった。野球で例えると、草野球をやるのに加えて、球団を応援する楽しみが増えたようなものだ。選手になるより応援する人のほうが圧倒的に多いことを考えると、とても大きな変化だ。

観戦のビジネス化

大規模な大会には多くの選手・チームが集まり、より高レベルな試合が展開される。そこに観戦者のニーズがある。しかし大規模になれば費用がかかる。どこから資金調達し、どのように回収されるか。ビジネスの世界になる
もともとお金を産まない趣味であったゲームと比べてあり方が変わってくるので、「eスポーツ」と名付けて区別されるようになった。
つまり「eスポーツ」とあえて区別する本質は、ゲーム性 ではなく ビジネス化 の部分なのだ。

日本でeスポーツがイマイチ流行らない2つの理由

日本はいくつかの特殊な事情があり、海外とくらべてeスポーツはそこまで盛り上げっていない。

  • 大会で多額の賞金がかけにくい

  • 流行るゲームが海外と違う

  • (保守的な文化背景)

大会で多額の賞金がかけにくい

日本では法律の問題で賞金を多額にしにくい。その問題をクリアするために、ライセンス制にして仕事の報酬として支払う形をとるなどの方法が考えられてきた。日本eスポーツ連合のライセンス説明がよくまとまっている。
(いろんな事情があって、ライセンス化されているゲームタイトルが必ずしも最も流行しているタイトルではないのも注目したい結果だ)

流行るゲームが海外と違う

ビデオゲームの歴史の要素が大きいが、日本はコンシューマー機 (ゲーム機) でゲームするのが主流だ。海外で主流なのはPCゲームであり、流行るゲームにズレが生じる。日本でだけ流行っているゲームというのは数多くあるため、日本人が盛り上がりやすいゲーム大会の規模は小さくなりがちだ。

一般的には大きなビジネスチャンスと考えられている

ゲーム会社でもないGoogleやAppleがゲームのサブスクリプションサービスに手を出しているのを見かけたことがあるかと思う。上記の2つのハードルがない海外では、eスポーツはテクノロジーの進歩が新たに作り出した、とても大きなビジネスチャンスと捉えられており、すでに数多の企業が投資している
日本だと実感しにくいが、eスポーツというのは世界的には相当盛り上がってきているようだ。

日本は独自のゲーム文化を築くことになるかも

もしeスポーツが日本で盛り上がれば、アマチュアゲーマーとしてはとても嬉しい。それに越したことはない。ただ、日本ではすぐには流行しなそうだ。
もしビジネスという点でのeスポーツが流行らないとしたら、私達ゲーマーは、SNSを通じた非ビジネスの繋がりで、アマチュアな大会を盛り上げて、日本独自のゲーム文化を築いていくことになるかもしれない。
そのような文化でのゲーム会社のビジネスモデルは、やはり海外とは違う。基本無料で大規模大会で収益を上げるタイプではなく、今まで通りの基本有料のゲームになるだろう。
(今のところ、任天堂などの日本のゲーム会社は、そのように舵取りしているように見える)

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