マガジン

  • ぱらぱる 2021年4月号「雨」

    • 10本

    今月のテーマは「雨」です。

  • ぱらぱる 2021年3月号

    • 8本

    今月のテーマは「特に出来事やハプニングがあったわけじゃないのに、何でか良い記憶として残ってる、忘れられない思い出」です。

  • ぱらぱる 2021年2月号 「ほかほか」

    • 7本
  • ぱらぱる 2021年1月号 「愛」

    • 8本
  • 水のあたる場所

最近の記事

ひとしずく

白いカーテンを突き抜けて、光がにわかにに入り込む。 のそのそと布団から這い出して、前日夜に慌てて整えた荷物に、最後の仕上げをして家を出る。いつものことだ。雲はあるものの確かに晴れている。気温20度、暖かい。良くも悪くも期待外れで、少し残念な気持ちになる。悪天候の予報。あえて山に泊まるのも実験である。道具と自分の許容量を試すための。知らないことを知るための。 結局荷物は10キロ近くになった。昔、海外に1週間くらい行くために買った45リットルのザック。その容量と丈夫さから、ここ

    • たのかんさあ

      穏やかな西陽の差し込む車内。 仰向けになった背中から全身へ伝わってくる振動が心地よい。 海沿いの道を走っていた。真っ白い軽バン。 運転手と自分以外誰も乗っていないから、後部座席を全て倒して生まれるだだっ広い空間、そこへごろんと寝転ぶのがお気に入りだった。天井に向かって伸ばした両腕。その先の両手で広げた1冊の薄い本。それを真下から見上げている。 一緒に暮らしていた祖父はあまり口数の多くない人だった。今となっては昔どんな言葉を交わしていたのかほとんど思い出せない。ただ、特に人

      • すこやかに

        走るための靴を買い替えた。 ブランド名がおもしろくて、マオリ族の言葉が由来になっている。 数年前からよく目につく様になり、流行りの形だったりすることもあって敬遠していた。年が明けて何か心機一転したいなと思っていた時、ちょうどこれまで履いていた靴の底がだいぶ擦り減っていたので、あえてそれを選んでみた。 いつの頃からか、生活の中に走ることがゆるく定着していった。毎日欠かさずとか週4でとか決まったルーティンはないけれど、散歩する様な感覚で思い立ったら走りに行く。生活する場所が変

        • ちょうどいい

          漢字一文字のキーホルダー。 漢字をかたどったゴムの板に、キーリングが繋がっている。 就職活動をしていたことがあった。 いま振り返ると、その間ずっと夢を見ていただけかもしれないと思う。 もともと、当時よく聞いていた音楽の国内外のアーティストのレコードやCDをネット販売していて、時間が経つにつれ、いつの間にかとても大きな会社になっていた。業界先駆者となり、フレームワークは同じでもコンテンツの主体が徐々に別なものに変わっていった。 その会社の企業説明会で参加者全員に配布されたも

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