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【ターゲティング】初期ユーザーの選定・顧客との共創

UB Venturesが運営する起業家のためのソーシャルクラブ「Thinka」。

今回は先日開催された8月のMonthly Thinkaのコンテンツをお伝えします。

扱った主な問い
”初期ターゲットはどこまで細かく絞り込むべきか?”
”ターゲット選定ができた後はどのように各社にアプローチすればいいのか?”
”ターゲット顧客といかに共創を実現していくのか?”

PMF前の段階にあるスタートアップにとって、初期ターゲットをいかに定め、開発のPDCAに活かしていくのか、そしてその後初期ユーザーとどのように共創関係を築くべきかはこの時期に最重要のテーマです。
本テーマにおいて、FORCASの執行役員Revenue担当として、SMB~Enterprise領域のSales/CSを管掌する吉田佑弥さんをゲストに、初期プロダクト開発期における、ターゲット顧客の選定とアプローチの仕方、そしてその先にある初期ユーザーとの関係の築き方について伺いました。


1. ターゲットの選定について

初期ターゲットをどのくらい具体的に・細かく絞り込むべきか?

── 初期フェーズにおいては「狭く深く特定する」ことが事業の立ち上げの鍵。バイネームで抽出できるレベルまで具体化させる。
ターゲットは「絞る」のではなく「特定」する。ターゲットへの戦略的な深耕と、ターゲット外から新マーケットを拡張することを両面で実行すべき。
まずは自社が提供できる価値(便益×独自性)で解決できる課題が最も大きい顧客層を見つける。その一方で、選定したターゲット以外にはアプローチしないのではなく、問い合わせがあれば積極的に提案を行い、新たな顧客層を開拓することも同時に目指す。

セグメンテーション/ターゲティングの切り方は?どのくらい細かく設定すればいいの?
ペルソナを3つ程度に留めると検証がしやすい。ターゲットの数を限定し、チームの主力をそこに充てる。その際、必ずターゲットはバイネームで抽出できるまで落とし込むこと。

課題の深さと市場の規模、どちらを優先してターゲティングするべきか?
課題の深さ。「小さな独占をどれだけ作れるか」にこだわり、最初の10人が熱狂的に欲しがるサービスをつくる。熱狂的なファンを作ることで、単価も上げやすくなる。小さな市場の独占により業績を積み、事例を積み重ねながら市場を広げていく。

どのくらいのフェーズからターゲットを特定するべきか?
どのフェーズにあったとしてもターゲットは狭く特定すべき。ターゲットを細かく特定するからこそ施策の是非に関するジャッジメントができ、一つひとつの施策に再現性を持たせることができる。

2. ターゲットへのアプローチ方法

実際にターゲット選定ができた後にどのように各社にアプローチをすればいいのか?

── WHO(ターゲット)とWHAT(訴求軸)を明確に言語化し、周囲のネットワークを活用しながら「最小コストで有効なリードにたどり着くアウトバウンド戦略」を実現する。

【FORCASにおけるWHO×WHY×HOW】
WHO:Salesforce導入しているSaaSベンダー企業
WHAT:最先端のマーケツールを使いこなし、最速で効率的に売上を上げる
HOW:SNS、急成長SaaSユーザー登壇セミナー、SaaS企業向けのSF活用の支援のウェビナー



ターゲットに対する有効なアプローチ方法とは?
初期は周囲のネットワークをひたすら活用し、コストをかけずに顧客を取りに行く。
届けたいターゲットと届けたい価値を明確にし、それを周囲に発信することで、ターゲットに繋いでもらう可能性を高めることができる。最初に人的コストをかけて勝ち筋(ここに行ったら売れるという蓋然性)を確かめてから、コストをかけたアプローチ(広告・展示会)に着手する。

3. ユーザーとの共創関係の構築について

ユーザーとの共創関係はどのように構築するべきか?

── 物理的に可能な限り深く関わる中で、ユーザーを観察し要望を反映し続け、サービスを「共に創る」。
初期のターゲット顧客はサービスを購入してくる人というよりサービスを共に創るパートナー。何度も現場に通い、ディスカッションを重ね、ネガティブなフィードバックを大量にもらい、こちらも臆さず意見を投げかけ合う。要望にスピーディに応え、顧客の成功まで伴走し続けるという、顧客が「自社の一員」になっており、周囲の人に薦めている状態を実現することが理想。

ユーザーとどのくらい深くかかわるべき?
物理的に可能な限り深く。同じ空間を共有し、ユーザーが実際にどうサービスを使っているかのリアルな動きとその時の感情を見る。規模としては設定したペルソナにぴったり重なり、イノベーターとなりえるユーザー10名程度に対して、深く入り込む。

深い共創関係を構築するユーザーに対して、その後も良好な関係を続けるためにすべきことは?
ビジョンを語ること。「誰しもが使うサービスを開発し、世の中をよくしたい」という思いを伝えたうえで、初期ユーザーの要望に応え続ける。

最後に

Thinkaとは、日本の産業を進化させるというミッションのもと、
次世代を担う起業家が、集い・学び・表現する場です。
机上論よりも実体験、成功経験よりも失敗経験、自己顕示よりも自己開示。Thinkaでは、最前線の起業家・事業家を招いた生々しい体験の共有や、
参加者が直面している課題を互いにシェアし議論することで、
失敗から学び、挑戦をするという文化を育んでいきます。

今回は、ターゲットを深く狭く特定することの大切さ、そしてクライアントと密な関係を構築する中で、深く狭く特定した先にしか見えてこない深いユーザーペインに着目し、目の前のクライアントの要望にこたえていくことがPMF前の段階にあるスタートアップにとってとても大切だとThinkaメンバーで共有できました。

次回のMonthly Thinkaは2022年9月末に開催予定です。

Thinkaについて

ThinkaはUB Venturesが運営する起業家のためのソーシャルクラブです。

アーリーステージのスタートアップ起業家が集い、自らの課題・体験をシェアし、共に学ぶ場として2019年から運営しています。

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UB Venturesについて

UB Venturesは、SaaS・サブスクリプションモデルのスタートアップへの投資に特化したベンチャーキャピタルです。

2018年のファンド立ち上げ以来、20社を超える企業への投資を行ってきました。スタートアップへの支援を行う中で、単に資金を提供するだけでなく、世界の新産業を創造する「起業家と事業」の成長プロセスを、「リアルな事業経験」を基にリードし続けることが、私たちの強みであると考えています。

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執筆:鈴木梨里 | UB Ventures インターン
2022.09.20