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システム開発しないサービス作りの話

最近流行りつつある「nocode(コーディング/プログラミング無しでサービス開発ができるツール群および、それを利用した開発手法)」は、非エンジニアの個人プロジェクトで使うと著しい威力が出るな…と思っています。
何を隠そう、私の「ブラック企業アラート」も広義のnocodeサービスです。

ブラック企業アラートさんの仕組み解説

簡単に言うと有料のプチ企業調査なのですが、noteのサポート機能を使っているのがミソです。
顧客管理と匿名課金機能をnoteに被せています。

nocode図解

ついでに、この仕組みを活用すると、私自身の料金受取を必ず前払いにできるので、集金漏れもありません。

そして何より…新規開発コストがほぼ不要!!!人月数えなくていい!すごい!
工数と利益を算出してROIを天秤にかけて、うにょうにょ唸りながら企画を作り、開発メンバーの下働きを全うする職業をしている人間としては、工数が私の運用コストだけで済むとか感動的ですらあります。

プロダクトマネージャーは通常、社内では1人でサービスロンチできませんからね…。周囲のメンバーの協力を勝ち取る前提でなければ、独力ではちょっとしたコンテンツ更新くらいしかできない最弱職種でもあります(自嘲)

悪魔の仮説を検証してみる…noteサポート機能をフルスクラッチするなら?

なお、顧客管理(CMS)と匿名課金機能をフルスクラッチ(自前)で開発しようとした場合の工数は…正直あんまり考えたくないです。

そういうことを会社でプロマネが会議やチャットで発言してしまうと、即座にプロフェッショナル性を疑われてしまい、職業上のメリットが一切ないレベルでもあります。

ただそれでも、どれだけ無謀かは簡単に示せるので、やってみましょう。

エンジニア2人(サーバーサイド/フロントサイド各1名)
QA1名(私が兼ねる手もありますが悪夢すぎるので却下)
プロダクトマネージャー1名=とうせ

が人員面で安全に動かせる最小構成ですかね。課金周りが超しんどいので、サーバーとフロントを分けました。そして、課金周りを私がモンキーテストするのは爆死確定なので、QAも置きました。
最小構成なのでデザインは完全に諦めています。bootstrap使うとか、エンジニアでどうにかできる範囲でやる程度で。

そして、「完全に他事がない」前提で大雑把にガントチャート(各人の稼働予定表)を引くとこんな感じです。

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ここから人月単価を当てて開発費を大雑把に計算します。あっ、私のサービスだから私のところは0人扱い=持ち出しにしたよ★(なので上記表でも0を当てています…実PJでは絶対にやっちゃダメですよ!)

一応、人月単価の想定は「現職の元同僚(現フリーランス)に堂々とお願いできる懐事情」になるようにまとめました。

結論、2人稼働×2ヶ月+1.4人稼働×2ヶ月。稼働単価を100万/月として、
100万円×(2人×2ヶ月+1.4人×1ヶ月)=540万円

えっ、個人PJでそんなコスト負担無理。
なお、単価を下げれば下げるほど事故率しか上がらないのでオススメしません。私、フルコミット人月単価65万の人にはそもそも頼むのが怖いんだ…。昔色々あってね…ほんとにごめんね…。

しかもこの予算、並行した案件が一切ない前提という超理論値で作られているものなので、実勢上、工期はさらに伸び、コストはかさみます。下手すると3倍に伸びるとかも余裕であります。そうすると…開発費1620万円…ちょっとまって?売上5000万円クラス狙いに行くの?コネもないのに最初から?無茶言うな!!!!!!

……ちょっと取り乱しました。

そして、そんな莫大な初期コストを投入しても、エンジニアのスキルセット選定をちょっと間違えるだけで、必要な機能がつくれなくて開発費全部ドボン!とか普通にあるんですよね。だって私、昔の会社で実際に目撃したことありますし…。

…と、フルスクラッチ開発というのはそれくらい絶望的な案件なのです。
これが、完全フリーランスの開発ディレクターやプロマネがほとんどいない理由でもあります。いても業務委託で企業に常駐とかそういう人ばかり。
だって、上記みたいなエグいプロジェクトマネジメントしても勝算あるなら出資取り付けて事業会社つくるもん!まじで!

そういうわけで、自社で開発コードを資産として囲わないといけない経済的必然性がない場合や、個人で作るプロジェクトでは可能な限りnocode系サービスを組み合わせるべきです。nocodeなら失敗しても一人でコケられる。他人の人生巻き込んでコケるのはほんと禍根残すからね…。

nocodeツールの現時点での可能性

そういうわけで、nocodeツールでどこまでできそうか、現時点での可能性を調べてみることにしました。

こちらの人気記事も参考にしています。

Bubble…Adobe XD使える程度ならおすすめ

ブラウザ上でかなり高度かつ動的なGUIを作り込めます。裏側の処理までGUI化されてるのか…まじかよ…。ちゃんと仕様詰められるなら実用上も全く問題ないプロトタイプが作れそうですね。

ただ、元記事でも書いていましたが、高度ゆえにエディタ自体がAdobe製品並みの学習コストでございます。そして英語読み解きつつ対応する必要があります。

これは既に十分実務で開発ディレクションやっているような人が、投資を受けるためのプロトタイプ作るのに向いているやつですわ…。

Zapier…手動運用を効率化するならこれ

本当にサービスを最小構成にすると、「ユーザーとの接点がメール」みたいなことが普通に起きるので、ここを効率化するのに向いているツールです。Slackと組み合わせると色々集約できそうですね。

Slackは各種インテグレーションが豊富なので、Chromeとかと同じノリで機能拡張できるのもよいです。(本気で作り込もうとするとコーディングが必要になり始めますが、プロトタイプ段階では完全に無視してよいです)

もっとnocode概念を拡張したい…ブロックのアナロジー

ただこの2つ、得意な方向は違うにせよ、明らかに「各サービスの使いみちも知っていて、ノリで会員登録して、試したら大体どういう感じかわかる程度のIT技量」の人間を対象にしています。もっと端的に言うと「IT業界人」が楽するためのサービスなんですねこれ。

そうなると、ぶっちゃけnocodeムーブメントはまだまだ非エンジニアには縁遠いのではないかな…と感じます。実務でも営業やバックオフィスの人にこれ使ってもらおう!とか多分思わないですし。

自身が企画バックグラウンド(=非エンジニア)なプロダクトマネージャーとしては、ここはもうnocode概念はどんどん拡張しちゃうのをおすすめしたいです。

つまり、

課金システム…note・paypal・BASE
CSツール…Twitter・Instagram・slack・note

くらいの定義の雑さを推奨していきたいのです。

ただ、これらのサービスはある程度機能や思想が固まっているので、先にお伝えしたツールのような自由度はありません。でも、ブロックを組んでみて、実際に試してみてからきれいにしてみても全く遅くないと思います。生き延びるアイディアって本当少ないので…。

ブロックで遊ぶかのようにサービス構成を考えていきましょう。そして、出来上がったサービスはTwitterなんかで宣伝していきましょう。

ブロック遊びならば、失敗しても失うのは自分の時間くらいです。でも、成功したならば、いいサービスがこの世に増えることになるので、この世は一つ前進します。

そんな「ブロック遊び」の実例はこちらから↓


いただいたサポートは個人活動の運用・改善の原資に充てられます。 ★サポート機能で「ブラック企業アラート」サービスを始めました!詳しくはこちらのnoteからどうぞ→ https://note.com/ubon_ratchat/n/n44eb4c6cf958