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「カメラを止めるな!」は青春ゾンビ映画の金字塔を打ち立てた。

やっと #カメラを止めるな を観てきたんですよ。この作品は青春創作ゾンビ映画としての金字塔を打ち立ててしまったような気がします。

たしかに「カメラを止めるな!」はゾンビが出て人が死ぬ。しかし、そういう映画ジャンルに対する偏見に対する反抗と創作の情熱に満ちた傑作青春ゾンビ映画でした。人生は短い。人の気持ちは伝わらない。言葉はあまりに不自由だ。しかし、創作や演技から生じる真実のコミニュケーションがあるんじゃないかな。

とりあえず、8/10くらいから一気に上映館数も増えるし見てきなよ。それから一緒にこの映画の話をしよう。

この感想文は下に行くほどネタバレ(ネタバレじゃなくてもネタバレに思えてしまうような表現)が増えます。面白そうだと思ったら、すぐさまリターンして劇場へムーブムーブ!だ!!

鑑賞直後の興奮気味なレビュー(ネタバレなし)

(ネタバレ:なし)低予算ゾンビ映画に対する偏見がありました。

こないだチネチッタの「カメラを止めるな!」行ったんです。「カメラを止めるな!」。 そしたらなんか人がめちゃくちゃいっぱいでギリギリ座れたんです。 で、よく見たらなんか垂れ幕下がってて、大ヒット御礼、とか書いてあるんです。 もうね、アホかと。馬鹿かと。 

お前らな、大ヒット如きで普段来てない「カメラを止めるな!」に来てんじゃねーよ、ボケが。 ゾンビ映画だよ、ゾンビ映画。 なんか親子連れとかもいるし。一家4人で「カメラを止めるな!」か。おめでてーな。 よーしパパは怖がらないぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。 

お前らな、チキンビリヤニ食えるから隣のインド料理店行ってこいと。 「カメラを止めるな!」ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。 演者の向かいに陣取ったサイコパス監督といつ喧嘩が始まってもおかしくない、
刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。女子供は、すっこんでろ。ポン!! 

で、やっと座れたかと思ったら、隣の奴が、二回目もおもしろいよね、とか言ってるんです。 そこでまたぶち切れですよ。 あのな、リピーターなんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。 得意げな顔して何が、「生き返り割 *1」、だ。 お前は本当に「カメラを止めるな!」を見たいのかと問いたい。問い詰めたい。37分ノーカットで問い詰めたい。 お前、話題の映画を何度も見ちゃったって言いたいだけちゃうんかと。 

「カメラを止めるな!」通の俺から言わせてもらえば今、「カメラを止めるな!」通の間での最新流行はやっぱり、「ゾンビ割 *2」、これだね。 ゾンビ割、血まみれ、死にかけ。これが通のチケットの買い方。 

ゾンビ割ってのはメイクのコストや羞恥心が多めに入ってる。そん代わりチケットが安め。これ。 で、それにマサラドッグ *3とドリンクたっぷり。これ最強。 しかしこれを頼むと上映中の激しい尿意も伴う、諸刃の剣。 素人にはお薦め出来ない。 まあお前らド素人は、リアルな手持ち撮影ゾンビ映画の恐ろしさに打ち震えるが良いってこった。

*1 ゾンビ割り(ゾンビメイク割引):1,500円
*2  生き返り割り(リピーター割引):半券提示で1,000円
*3 販売終了しました。チネチッタさんバーフバリのロングラン上映をありがとうございました。

という偏見を持って劇場に行ったんですよ私は。

(ネタバレ:軽微)偏見は打ち砕かれた。

公式サイトや予告編でも紹介されているので書くけど、この映画はそんな「ゾンビ映画」を撮影したヤツらの物語です。後半はフィクションの現場にリアルゾンビが出現してしまうというパニックが支配した現場を切り回す大変さを描く「メイキング・オブ・ザ・デッド」パートが待ち構えています。監督は本当に頑張ったよ。

私の感想としては、メイキングパートの存在を知らないで観に行けてよかった。関連情報をシャットアウトしてくれた関係者各位に敬意を表したいです。もちろんこの情報は公式に語られているので知って面白さが目減りする情報ではない。でも、先の展開を知らないまま撮影現場に放り込まれる体験を味わうのであれば、知らないほうが良いかもしれない。VRカメ止め。

また、冒頭の吉野家コピペ的な「ゾンビ映画自意識」「低予算ならカメラの画質もこんなもんだろう」という高慢な偏見は完全にブチ砕かれました。96分間の最後までハンディカムで行くと思ってたからね。第二幕が開始してからの「あらあら!!これは大変なことになってしまったぞ!! なんてことだ!!ここは地球だったのか!!」は大変鮮烈な体験でした。ニンジャスレイヤーフロムアニメイションで急に4:3から16:9に画面が割れたときのような驚きを感じました。

と、ここまでは公式で公開している範囲なので実際ネタバレはない。つまり相互に大丈夫。ここまで読んで引き返さない人には次項でジャンル要素的なオススメをします。あとカップルや親族総出で観に行きたいという人向けに内容について少し説明します。

(ネタバレ:中度)こんな映画が好きな人にオススメ

カップルや家族での鑑賞にたえられるか? 

カップル鑑賞:◎ 内容について語り合う相手がいないと脳が煮えて死ぬ。カップルと言わずカップル未満にもオススメ。
親族総出鑑賞:△ 肝心な部分を尿意で見逃したり子供が尿意に襲われたりするので集中して見れる環境を用意したほうがいい。あとちょっとだけエロいので意味の分からないシーンはおとうさんとおかあさんに聞いてみよう。

こんな要素を好きな人にオススメ!(要素別)

サスペンス★★★★★
次に消えるのは誰だ!!緊迫の展開が続く。

ホラー★★★☆☆
切断面には節度がありゴア描写は並程度。

ゾンビ★★★☆☆
オーソドックスなゾンビなので意思を持ったり空を飛んだりスリケンを投げたりはしない。

サイコパス★★★★☆
過激な撮影をするカントクだけではない!ありとあらゆるタイプの人格破綻者が続々登場するぞ!!

アクション★★★★☆
想像よりもアクションに冴えがある。ニンジャスレイヤーにも通ずる格闘シーンの省略方はむしろ迫真さを感じさせる。

ファミリー★★★★★
なんのために人は生きるのか。家族のために決まってるじゃないか。死んで生きれるか。

青春創作活動★★★★★★★
どんな状況にあっても創作を続ける。カメラは止めない!! 困難に立ち向かい不可能を可能にする!それが俺たち撮影チーム!!

終わりに。

映画を見ている最中はずっとこんな顔をしていました。多幸感で脳が煮えて死ぬ。クールダウンのためにだれかネタバレを気にせず話せる相手を連れていくと良いですよ。ウェンディーズとかで永遠にダベってなよ。 え?「生き返り割」?使うに決まってんじゃん。2回目の方が絶対におもしろいぜ!!

おしまい。







(終幕後、墓場の盛り土を突き破り中華鍋を持った腕が飛び出す)

もう誰もいない?
 じゃあ、もう少しちょっとだけ感想を書いてもいい?

(ネタバレ:中度)やはりゾンビより人類のほうが怖い。

結局のところ、最初のパートで「カメラを止めるな!」の本編は全て明かされているんです。そのうえで、第二幕の場面は撮影開始前に戻る。そこに出現する俳優、女優、スタッフ……あれ?知らない人だらけだ!!

つまり、これから本編までの間にどんどん人が消えていくわけで……ヤバイぞ。あの鬼気迫るカントクの表情を見ただろ? こいつは作品のためなら楽しそうに人を殺す殺人サイコパスだ!!(実際に人が食ったり食われたり事故的に消えたりする)彼をそこまで追い詰めていく周囲の無責任な人々……これから真の地獄が待っているとも知らずに……!!

やっぱ人類こえええ!!

演技力★★★★★
知らない人が知らない人の演技をしているので全員が素のままで登場しているように見える。これは完全に当て書きされた脚本とキャスティングの勝利だろう。

舞台劇っぽさ★★★★★
完璧な脚本によるウェルメイドな作品は訓練された劇団ような練度を感じさせる。大三谷やKKPのようなおさまりのよさ。

なお、事前に知人にENBUの「殺人ワークショップ」を推されていたので躊躇せずに見に行けました。そっちも見てみたいよね。


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