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新プリンセスが出て壊す!「シュガー・ラッシュ:オンライン」

「アタイはヴァネロペ!血と鉄と硝煙の風を浴びるプリンセス!」

よく来たな。
ヴァネロペは好きかい? そうかよかった。
孤独を抱えながらレーサーを夢見て、あらかじめ失われた特権を自らの手で取り戻していく新世紀のプリンセスの一人だ。彼女と相棒のラルフがスクリーンに戻ってきた。

今日は最新作「シュガー・ラッシュ:オンライン」の話をしたいと思う。

【今回のあらすじ】
限界ゲームセンターへWi-Fiがやってきた。代り映えのないゲームに飽き飽きしたヴァネロペとラルフは「シュガーラッシュ」を世界をスクラップ化して破壊し、さらにターボして物理的にも筐体のハンドルを破壊する。彼らはインターネット世界へ旅立ちeBayで筐体用ハンドルを落札して物理世界へ干渉しようとする。

良かったところ

アイサツに始まりアイサツに終わる。古事記にも書いてある。

ザンギエフ出番ありすぎ。

インターネットへの接続演出。ルーターの動作やIPアドレスの「パケット化」が視覚的に完璧で広大な世界へ旅立つ気持ちにさせてくれた。

声優の吹き替えはやはり完璧。

細かすぎるインターネットあるある。

オンラインアバター歩きは爆笑した。

過激で鮮烈な「BORDERLANDS」と「GTA」と色々なR18暴力ゲームを組み合わせたオープンワールドマルチプレイレースゲーム《スローターレース》の世界。

ヴァネロペは属性がカオス-ライトのヒャッハー気質(山賊気性)のため、世紀末世界と非常に相性がよい。(ノー躊躇でGTA行為を働く)

ボス格「シャンク」が登場するときの演出が、BORDERLANDSのBADAAS登場演出を完全コピー。(うれしすぎて死んだ)

シャンクが行動するたびに背景で流れる「シャンクシャンクシャンクシャンク……」という謎の効果音。

数々のネットミームを利用したギャグ。すっごい縦に長いWikipediaをよじ登り、ピンタレストのピンで殴るみたいな、しょーもないアクションを見せてくれる。グーグルマップのピンを刺すバイト📍みたいで好きだ。

プリンセスがらみの自己言及的なあるあるは、そこそこ。それよりも全プリンセスが部屋着に着替えるカルチャーブレイクが非常に良かったですね。クソダサパーカーを着込むプリンセスはよい。

実はレース世界の若者よりヴァネロペのほうが年上であり<祖母級伝説ババアレーサー>である可能性がある。つまり無敵だ。

みんなぱらいそいくだ。

全体的な感想

全体だと60点。個別ポイントで十兆点が数カ所。特別な映画です。圧巻のレースシーンとネットミームを駆使したバトルが見どころでした。

エンドロールは前作ほどではないけど、ところどころに狂気が漂い良くも悪くもインターネット。

本筋以外の部分にチラホラと露悪的なネット文化やミームが登場するのは避けられないので対象年齢は前作より高めか。家族で見ると気まずい子離れ親離れムービーです。家族と言う名の牢獄。

十兆点のひとつは、全年齢対象の映画でボーダーランズのボス登場パロディが出現したこと。火炎放射器するレイドボスも出てくるのであからさまにbadassだ。角度とかも完璧。だれ対象なんだよこの映画。 

中盤のYOUTUBER編は正直けだるい。懸命なラルフは憎めないが……。その流れでヴァネロペがプリンセスと出会い、おのれのプリンセス性について自覚して覚醒していく場面は非常によく、念願の「歌うヴァネロペ」を観れる可能性がある。

作品テーマは完全に親子関係とゾーニングと子離れに集中しています。愛情の裏返しの束縛、家族や親友であっても思想が異なるのは当然、子供に見せたくない画面、最後は「みんなぱらいそ行くだ」となるので、ほぼ妖怪ハンターだから安心して見に行ってほしい。

個人的には60点。ところどころの切れ味が鋭い部分は十兆点。最終局面の処理に関しては納得がいかず、トータル的には年間ランキング20~30位くらいです。(なので2018年度の映画ランキングに変動はありません)

パンフレットの充実度

なお、パンフレットですが、期待をしていた膨大なネットミームへの注釈はなく「どう?面白いし感情的でしょ?聞いてよ!プリンセスのシーンがさぁー!」なので、いまいち買う価値が薄いかもしれない。これは、どっかで答え合わせしとかないとかもですね。


とはいえ、2018年の最新映像でインターネット擬人化を楽しめるチャンスです。ぜひ劇場へ足を運んでください!!

【以降はシナリオに深く触れるためご注意ください】


その他の感想。(理解しにくかった部分)

以降は物語展開に触れる可能性があるので、公開直後のタイミングでは言葉を濁します。ちょっと合わなかった部分です。

感情・情緒に偏りすぎ。(ロジックではなくエモーション重視です)

日本語吹き替えメダル問題。

ちょっとグロさが怖い。(血と暴力の世界と最下層のINSIDEみたいな世界観はやばい)

ラルフの知名度がそこそこあるのに、ヴァネロペの知名度がゼロに近いのが不可解。(「シュガーラッシュ」は6年~10年前の機種なのに彼女を知る者がいない)

製作陣はインターネットは常にコンテンツが更新されていて古いコンテンツは最下層で眠りにつき振り返られもしない、と考えているようだけどオタクは30年前の会話をいまだにしているし、少しのヒントであっという間に特定に至る。インターネットをなめるな。 #解釈違い

インターネットの問題を全部ウィルスのせいにして許されるのは前世紀までです。反省しなさい。

伏字感想全体はこちらです。(ネタバレは極力避けてるけど、結末に触れているので鑑賞後がオススメ)

前作の評価 の感想

本作の評価 鑑賞直後の感想

これ、あとで飲んでください。

なお、本作には盛大なリックロールが含まれる。どのような展開になるのかはお楽しみに。

そのほか、インターネットミーム多数。しかし、理解しきれないことも多く、やはり日本版平成インターネット最終決戦マリオカートみたいな作品も出てきてほしくはありますよね。

#シュガーラッシュオンライン #映画 #映画レビュー #コンテンツ会議 #インターネット


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