『僕と妻は幼なじみ』
帰宅すると妻の両腕がアイスクリームを掬うやつになっていた。
両腕?
「うん!」
せめて片腕にはしなかったの?
「高橋さんが片腕と同じ費用で換装できるって言うからつい」
そうか。それはよかった。
「ちょっと待っててね」
妻は器用にカショカショしながら冷蔵からアイスクリーム(1Lのバニラだ)を取り出すと器用にフタを外してアイスを掬い始める。
「ちょっと!」
どうしたの。
「助けて!お皿が取れない!」
すでに両腕をアイスクリームに突っ込んでしまった妻が助けを求めている。
妻にはそういうところがある。ガラス製の皿を二つ用意して妻の前に並べてあげる。
カショ。
脳波によってアイスクリームを掬うやつのカショカショした部分が作動。バニラアイスはきれいに皿の上に着地した。
「どうよ」
ありがとう。
当面の課題は、アイスクリームを掬うやつの名前を調べるところからだ。呼び名がわからないままでは説得に辿り着ける自信がない。
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