「バーニング・サツマ&イモータル・エルブス」
《もっとも背徳的な焼き芋を焼いたものに全財産を与える》
大富豪犬養犬士郎の遺言状は親族を狂奔させた。 地上を七回買い占めてあまりある遺産を巡り一族は二つに割れた。最大勢力は娘婿犬養猫太郎を長とする本家派。もう一方は愛妾の倅ながら唯一の直系男子である与太郎派。
背徳焼芋会は遺言通りに七日後に行われる。それまでに各派閥は背徳条件を整えることになった。
先手、犬養猫太郎(本家派)は親族経営会社の全契約書を燃やし尽くし日本経済と共に芋を焼き大勢は決したかに見えた。
後手、犬養与太郎(5さい)は宣言する。
「おじいちゃんと焼きます」
趨勢が覆された。余人にはあずかり知らぬ愛!死を理解したかどうかもわからぬ五歳児の愛の背徳に全親族が咽び泣いた。
「お待ちなさい!」
美しい声がした。
金髪碧眼尖耳に神秘タトゥー。枝一本を折れば骨一本を代償に要求するとされる森の眷属が薪を抱えて叫ぶ。
「犬士郎くんッ!」
涙!
【続】
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