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傑作サバイバル小説「マインクラフト はじまりの島」

これは傑作だ。21世紀のロビンソンクルーソーかもしれない。

今日は児童向けサバイバル小説「マインクラフト はじまりの島」を紹介します。控えめに言って傑作ですよこれは。

「孤島」のサバイバルガイド!

主人公である「ぼく」は突然角ばった世界に投げ込まれて孤島での生活を余儀なくされる。その島は不思議な法則が働く角ばったキューブ状の素材で出来ていて暮らしている動物もカクバリズムなんだ。(なぜこんな世界に?)(そもそもなんでみんな四角いんだ?)(ぼくの体も四角くなってしまった)という困惑の中、空腹に襲われた僕は孤島サバイバルを開始する。この小説は、サバイバル生活の一助になるように「君」に残されたものなんだ。そして、これは孤独に効く。もし君が一人で戦う必要があるなら、この本の心得が武器になるはずだ。

本気でリアルな描写(システム準拠の)

小説のアクションに関する描写はリアルで精細だ。「腕より先の枝に見えない指が届く」「落下したブロックは小さくなってポーチに収まる」「取り出したブロックは吸い付くように隣のブロックに密着する」等、その世界のシステムに従った描写が丹念に盛り込まれている。この小説の本気のところは細かく描写しながら「ゲーム世界あるある」に持ち込まずギャグにしないところだ。「ぼく」はこの世界に適応するために本気で法則を探りトライアンドエラーを繰り返して本質を見抜こうとしている。本気なのだ。

ゲームを題材にしてるんでしょ?(懐疑的な視線)

たしかに、この小説はマインクラフトをプレイしたことがあるならば全ての場面が想像できるであろう描写に溢れている。(しかも爆笑間違いなしだ)

しかし、作中ではゲームとしてではなく「異世界」として扱われており、特別な用語は使用されていない。一般的な言葉で全てを説明しようとしているので未プレイでも問題ないはずだ。キッズにも読みやすい言葉使いなので夏休みの課題図書にもオススメだ。

最高の結末に向かって

この「本」では退屈している暇はない。ありとあらゆるトラブルが「ぼく」の元へ舞い込んでくる。(自業自得も含めてだ)それらを乗り越えた先にある終盤のある展開からの逆襲とけじめのDIYシークエンスに血がたぎる。全てを失ったとしても「知恵」は残る。人間舐めんな!

未来へ

この小説は老若男女を問わない「真の男」のための物語だ。真の男は失敗しても負けても転んでも必ず困難に立ち向かう。前に向かって歩くことを休まないことを約束した人間だ。時に立ち止まってもいい。考えて考えて時期を待って行動することを教えてくれる。もし、マインクラフトきっかけでこの本を手に取ったなら幸運だ。

作者のマックス・ブルックスさんは「WORLD WAR Z」等でも有名な作家でありマインクラフト小説チームの人選の本気さを感じさせる。これから計7冊、作家を変えて出すつもりらしいので期待できるのではないか。村上春樹にも書いてもらおう。

「WORLD WAR Z」については未読なのでアロハ天狗さんに頼ろう。いつか絶対読むぞ「Z」。

最後に。

そんなわけでとても楽しい小説です。自分のプレイ日記なのか?ってくらい臨場感のある失敗の連続で笑えるやら泣けるやら。

そしてこの作品は Kindle Unlimited対応なので、そのままアプリで読める。オススメです。

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