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Todo bien? 新しい日常

スペイン語で有名な挨拶の言葉、知ってますか?
英語のHelloやHiにあたる
Hola(オラ)です。

日本にいてスペイン語を勉強し始めた頃は
スペイン語の言葉の響きがなんだか奇妙で可笑しくてよく笑っていたけれど
今ではすっかり馴染みまくりの使いまくり。
違和感ゼロになった。
当たり前か。
むしろこの日記書いてて、日本語で何て言うのか分からなくて調べること多々。
どっちの言語もおぼつかなくなってて、どっちでもちゃんと話せない、
自分の一人前度がちょっと心配。笑

さて、このオラ(悟空っぽい)ですが、
会話のスターター以外にも、まあ使いまくります。
近所の人に会えばオラ。
お店入った時もオラ。
すれ違いざまにやたら目があっちゃった時もとりあえずオラ。
目上の人でも身近な人でも他人でも友達でも誰でもオラ。
それ以上会話するわけじゃないんだけど、なんとなく何か言ったほうがいいかなぁって言う時にも便利なこのオラ。
日本だと会釈とかで済みそうなところでオラって言ってる。
日本語でこんにちはって言うと何か話さなきゃいけないような雰囲気になるから、
そこまでお互いを束縛しない、
でもアイスブレイク感のある便利な言葉だと思います。
常にキャッチボール的なコミュニケーションとして。
でもこのオラで一応コミニュケーションになるんだから、
人間関係を円滑にすると言う意味では
オラの一言に結構大きな役割があるのかなぁと思います。。
逆に日本でいらっしゃいませ〜って言われて何も返さないと申しわけないような気分になってしまう、という。スペイン式の人間臭さが身に染みついてきてる!?

オラの代わりにadiosアディオス、さようなら
って会った早々言っちゃう場合もあります。
これ面白い。
どうせ会話しないんだから「じゃあね〜」って最初から言っちゃう。
スペイン語独特の表現だなと思います。
が、
急いでたりするとこれ言っちゃう!
「ごめん今ちょっと会話できる可能性ゼロ!」
っていう空気を醸し出せる挨拶かも。笑

もうちょっと会話つなぐ関係性だと、
このオラの後にQue tal? Como estas?
というHow are you? が続きますが
相手を間違えると思いっきり世間話が始まっちゃったりするので注意。こう言う場合はさっきのアディオスが便利かも。
パン買うだけでもお会計の間にちょっと会話するのがスペイン人。
そこでおしゃべりが始まって、長蛇の列ができるのがスペイン人。
たいていはbienとか言って、ちょっと天気の話だとか仕事が忙しいよ、とか今から子供迎えに行くの、とか言って終わるのが通りすがりの会話。たいてい何かしらのユーモアが加わって笑って終わることが多い。これ好きなところ。

そんなスペインのご挨拶会話に
ここ数年、ちょっとした変化を感じます。
パンデミックを経て、そんな軽い日常の挨拶の中に
todo bien??
というのが加わりました。All ok?っていう意味なんだけど
結構あっちでも、こっちでもコロナにかかってしまった人がいた頃、
日々みんな何かと問題を抱えて大変で、デリケートな状況に置かれている人も少なくなかった。

おじいちゃん大丈夫?とか
お仕事どう?とか
お店どう?とか
ぶっちゃけ聞かれたくない気分な事も多かったかと思います。
でもオラで済ませるのは少し冷たい。
でも相手がどうしているのかな。
そんな時にこの
Todo bien?
ってなんかすごくよかった。
すごくちょうどいい。

深い事情を掘り出すほどでもなく、
でも相手のことをちゃんと気遣っている、
何かあったら話してねっっていうニュアンスが伝わる言葉かけ、声かけで、
こう聞かれたら、
誰かと話したかった人はちょっと事情を吐き出せるかもしれない。
話したくなかったらbienって言って終わればいい。
実際に掛けられると温かい言葉です。

パンデミック前にはそんなに聞かなかった言葉なんじゃないかな、
と今日ふと思って書いてみました。

言葉って、言語って
人格や人間関係と深い深いつながりがあります。
生活の仕方や人との接し方が日常で使う言葉や表現にそのまま現れます。
スペインの場合、人と人との距離感が近いことが今回の挨拶の中にも感じられます。
日々そうやってちょっと身近でいると
何かあっても頼み事がしやすかったり、話を聞いてもらいやすかったりもします。

私が日本語の習慣で好きなのは
「気をつけてね」
相手への温かい気持ちがこもってて
別れの挨拶の中に、背中を押す温かい手のようなニュアンスが加わって、いいな、と思います。

そういう言葉をちょっと加えていくだけで
人間関係、少し円滑になったりしないかしら?

ちなみにスペイン語だと「気をつけてね」はCuidateクイダテ。
直訳するとまさに「ご自愛ください」なんだよね。
言葉は違っても相手に贈りたい気持ちが一緒だったんだな。
って納得。


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