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桜の季節に冬の寒さをいとおしく想う《水曜日のエッセイ by 逢志亭姉》

本日は文章で楽しむオンラインサロン『放課後ライティング倶楽部』メンバーさんの記事です。サロンでやっている書くワークイベント「水曜日のエッセイ」です。

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桜が好きな母のために、この季節に生まれた私の娘の名前には、当然のように桜の文字を入れた。幸いに娘も気に入ってくれていて、そして娘も桜が大好きである。
 

日本人のDNAなのか、桜が好きだ。
 

ここ3年ほど花見を自粛する風潮だった。これまで人手は少なかった。今年は海外からの旅行者も増え、多くの人が桜を見に出かけている。私の住む京都は桜の名所がとても多い。どこもかしこもスマホを掲げた人でいっぱいである。
 

私が子供のとき、4月の入学式の頃に桜が咲いていたと思う。今年東京の開花宣言は3月15日だった。23歳になる娘の誕生日は4月3日。生まれた日に桜は咲いていた。
 

おそらく今年の誕生日にはもう桜は散っているだろう。20年余りの間に、桜の開花がどんどん早くなっているのだ。私の子供時代から娘が生まれるまでの年月と、娘が生まれてから今日までに進んだ温暖化のスピードとでは、格段にその度合いが速まっていることがわかる。
 

桜の開花には、休眠打破のために一定の寒さが必要であるらしい。緑豊かな夏のうちに、次の春に咲く花の芽を出しエネルギーを蓄える。そのあと秋から冬にかけて成長を止め休眠に入る。春に目覚めて花を咲かせる。
 

その前に眠りを打ち破るための「冬の寒さ」が必要になる。この寒さが木々の成長を促し、開花につながる、これを休眠打破というのだそうだ。
 

しっかりとした寒さが得られないと、桜は満開になることができない。実際、今年の桜でも一本の木の花が一斉に咲かず、ダラダラと開花をしていき、満開に至らなかった例があるという。
 

昔の人たちが、五穀豊穣を願いおこなっていたお花見。みんなでお花見をし、収穫より先に祝うことで豊穣を祈願するのだ。
 

科学が進歩して、一定の収穫が機械的に確保できるシステムができた。お花見は既に不要になったわけだ。機械技術の発展と満開にならない桜。なんとも皮肉に感じる。
 

美しい満開に桜が開花するのに冬の寒さが必要なように、成功の前に厳しい試練や大きな失敗がある。しばしば例えとして使われる。休眠打破がされなくなると、この例えも効力を失うのかもしれない。
 

3月28日、清々しいお花見日和に、お花見客いっぱいの円山公園の枝垂れ桜を見に行って、ふと感じたことを書いてみた。
 

[ライター:逢志亭姉]
[サロン開始から1089日]
 

※noteメンバーシップは非公開にしました。
 

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