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「温麺」と「こけし」、ものづくり二刀流の白石愛が止まらない。

「きちみ製麺に入ってから、人と関わるのが好きになったんです」

そう語るのは、きちみ製麺に入社して22年目の木村敦さん。これまで宮城県白石市のご当地麺である白石温麺(うーめん)の商品開発から販売まで幅広い業務を担当、ヒット商品となったリラックマや、すみっコぐらしなどとのコラボ温麺を手がけた人物でもあります。

さらに木村さんには、実は白石らしいもうひとつの顔があるのです。それは、白石の伝統工芸であるこけし職人でもあること。温麺とこけし、白石を代表する2つの名物に深く入り込んでいった結果、仕事も、人生も、毎日が楽しいという木村さん。

白石への愛が止まらないものづくり二刀流社員のお話を、どうぞーー。

二度の転職を経てUターン。温麺社員とこけし職人の二刀流に。

こんにちは。きちみ製麺の木村敦と申します。26歳で入社してから22年、これまで営業や販売、商品企画など経理と人事以外の仕事はすべて経験してきました。

大学を卒業してから、いったんは地元を離れて働いていたのですが、地元で働きたくなって白石にUターン。たまたま見つけたのがきちみ製麺の求人でした。何気なく入った会社ですが楽しく仕事をさせていただいて、気がつけば22年も経っていました。

あと、実は私にはもうひとつの顔があるんです。それは白石の伝統工芸でもあるこけしの職人(工人)。2015年からこけし作りの修行を始めて2018年にプロになり、国内だけでなく海外へも販路を広げています。

平日はきちみ製麺で働いて休日はこけしを作っているから基本的には休みはないんですが、夢中なのかあまり気になりませんね(笑)。

たまたまハマった、温麺とこけしの意外な共通点

この記事を読んでくださっている方の頭上には、「なぜこけし?」という疑問が浮かんでいるんじゃないでしょうか?こけしは白石の家庭には必ず何本かあるほど、とても身近な存在。そして伯父がこけし職人だったので「職人=こけし」っていうのが、私の中では昔から結びついていて。大学時代は「就活せずにこけし職人になりたいな〜」なんて思っていましたね。さすがにいきなり職人になる覚悟なんてなかったので普通に就職したんですが(笑)。

それから社会人になってこけしのことはすっかり忘れていたのですが、8年前にたまたま買ったこけしの色使いに心惹かれて「あ、いいなぁ」って改めて思ったんですよね。以降、様々な出会いを重ねて休みの日はすべて修行にあてるようになってしまいました。こけし作りは、原木を長いチェーンソーで切るところから始まります。ゼロからスタートして、自分で作り上げるっていうのが楽しいなと感じます。

きちみ製麺での仕事も同じような楽しさがあります。入社してから気付いたのですが、きちみ製麺はメーカーなので、ゼロからものづくりをしてお客様に届けるまで、すべての過程に携われるんです。製造からはじまり、商品企画、イベント、卸、販売まで、自社ですべて完結しているんですよ。何もないところから商品を生み出せることに、私は喜びを感じますね。

また、先代の社長がチャレンジを受け入れる土台を作ってくれていたので、いろんなことに挑戦させてもらえました。例えば他の企業なら止められそうな「温麺とリラックマのコラボ商品を作りたい」という少々とがったアイデアに対してもうちの会社は寛容で。社員のアイデアでどんどん新しく企画をさせてもらえるんですよね。

地場の名産を作っているということもあって、お取引先にも面白がっていただき、結果的に商品化に成功しました。商品を作ってからいろんな発信をしていたのでお客様の反応もダイレクトにわかります。そういった意味でも、ものづくりに携われるっていうのは本当に面白いですね。

そしてこのコラボを皮切りに、エヴァンゲリオン、ジョジョの奇妙な冒険、呪術廻戦やポケモンなど、人気アニメなどとのさまざまなコラボ商品が続々と誕生しました。ついには、こけしと温麺のコラボ商品も。自分の持つこけし関連のつながりで生まれた人脈も活かして、宮城県の他の地域のこけしも組み合わせてセット販売したりなど、私がやってきたことの集大成のようなプロジェクトになりました。


いいもの・魅力あるものを世に出し続けた先に、伝統が生まれる。

温麺とこけしはどちらも白石の伝統品なので、「伝統を守るためにこけし作りをやっているんですか?」と聞かれます。伝統を守るというより、私にとって大事なのは「自分がその仕事を好きかどうか」ということだけなんです。

自分の特技を活かしてこけしを作り、そのこけしを買ってくれる方がいる。この循環が続いていくことで、結果的にそれが伝統になるんじゃないかな、と思っています。いいものなら買い手がつくじゃないですか。自分の作るこけしに価値を見出してほしいから、一生懸命いいものをつくっていくだけですね。

また、焦げでろくろ模様をつけたこけし(KOGESHI)を作ったんですけど、これって誰もやったことないんですよ。そういう誰もやったことのないものを世に出したいという願望も強いですね。
温麺も同じです。コラボ企画を考える時、すでに多くの企業さんでやっているキャラクターなどはあまり興味が湧きません。リラックマは当時食品会社とはほとんどコラボしていなかったので、面白そうだと思って企画しました。他の人がやらなそうな商品を考えて、みなさんを驚かせるのが好きなんです(笑)

きちみ製麺で働くうちに、人と関わるのが楽しくなった

私は高校、大学時代はそんなに人と接するのが得意ではなかったんですけど、きちみ製麺の仕事を始めてからは人との関わりを楽しめるようになりました。みなさんからは“めんたろう。”という愛称で呼んでいただくこともあります。

なぜだろう?と考えたときに、1週間の催事イベントに年5〜6回くらいのペースで参加してきた経験がとても大きいことに気づきました。温麺をお求めになるお客様と直接お話できることはもちろん、宮城県内の食品会社のみなさんと出店者同士の横のつながりも大きな財産になりました。この経験を積み重ねていく中で、お互いの販売機会やコラボを生み出していけるのがとても嬉しくてやりがいになっています。
そんな風にきちみ製麺での仕事を楽しんでいくことで周りも盛り上がり、結果的に地域が盛り上がればいいかなと思っています。何事もまずは自分が楽しむことが一番大切だなと思っています。

これからも大好きな白石で、人とのつながりを大切にしていきたい。

2年前に先代社長が退き、高橋社長が就任しました。体制や考え方が大きく変わって、最初の1年は慣れるのに少し苦労しました。でも今は変化が激しい時代ですので、トップが変わるのは必然だったのかなと思います。

私はこれまでは営業でしたけど、今後はマーケティングの業務担当となる予定です。新しい挑戦ができるのが楽しみですね。これからも「きちみ製麺って面白いことしてるね」って思ってもらいたいですし、それで結果的に白石そして宮城県が盛り上がったらすごく嬉しいです。

私、この白石の町が大好きなんですよ。白石駅の一番近くに住んでいるくらい(笑)ずーっとこの町にいたいし、地元の人といっぱい繋がりたい。飲み歩くのも好きですし、最近は家に人を招くことも多いです。こけしと温麺が町の人との共通話題なのでいろんな話ができるんです。これからもこの町で、いろんないい話題を提供していきたいですね。

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