小説『天の川を探して』【note創作大賞応募作品】
【プロローグ】 私が小学五年生の夏、父と母と私の家族三人でY県の山奥にある村に引越しした。
家はとても古い小さな木造の日本家屋で、玄関の土壁の端っこが剥がれて竹小舞がむき出しになっており、居間まで風が吹き込んできた。時々、そこからムカデやトカゲが家の中に入ってくると、母は悲鳴を上げて「早く街に帰りたい」と文句を言っていたけれど、私はこの家のピカピカの青い瓦屋根と、広い広い庭を見渡せる長い縁側が気に入っていた。
街にいる頃は、マンションに住んでいたから小さなベランダに