望月慎氏からの言及に対してコメントする
自分の記事へ反応を検索していたところ、「図解入門ビジネス 最新MMTがよくわかる本」の著者・望月慎氏から私のNote記事について、gym氏という方との一連のやり取りの中で言及して頂いていたのを見つけたのでコメントしたい。
「潜在貯蓄(需要の)過剰」という耳慣れない用語(独自用語?)のために意味が取りづらいものの、要は、「家計が今以上に貯蓄したいと極めて強く望んでいれば金利を上昇させることなく家計に追加的に貯蓄させることができる(そして現に先進諸国で起きている低金利はこれによって説明される)」という意味であると私は理解した。新古典派風に言えば貯蓄供給の利子率弾力性が無限大に大きいということになり、ケインジアン風に言えば流動性トラップに嵌っているということになるだろう。
もしそういう理解でよいのであれば、私は望月氏が述べたところに対して特に反論はない。なぜなら、今や望月氏の意見は、金利上昇が起きない理由は、「財政赤字自体が貯蓄を創造するから」でも「財政赤字による準備預金の増加がインターバンク金利を下げるから」でもなく、「家計が貯蓄をすることを強く望んでいるから」というものになったのだから。もちろん、それでよいのである。その論拠を持ち出した時点で、望月氏はケルトンやレイを向こうに回して、ふつうの経済学の軍門に降ったことになるのである。
実際、仮に「潜在貯蓄(需要の)過剰」が存在していなければ(例えば、家計が追加的な貯蓄を全然望んでいない、イソップ童話のキリギリスのような人々であれば)金利はどうなると望月氏は考えるのだろうか? 「潜在貯蓄(需要の)過剰」が存在しているというのが金利が上昇しないことの根拠だったのだから、それが存在していない場合には、金利は上昇するということになるのだろう。もちろん、それでよいのである。「財政赤字自体が貯蓄を創造するから」「財政赤字による準備預金の増加がインターバンク金利を下げるから」金利は上昇しない、とはもう言えない。
(*1)引用した各ツイートのリンクは以下の通り。
https://twitter.com/zhngcnjny1/status/1564975019649671168?s=20&t=CgI4BDjnt5lkpEipuLvr0w
https://twitter.com/zhngcnjny1/status/1564975823324557313?s=20&t=CgI4BDjnt5lkpEipuLvr0w
https://twitter.com/zhngcnjny1/status/1564978336958271492?s=20&t=CgI4BDjnt5lkpEipuLvr0w
https://twitter.com/zhngcnjny1/status/1564982929410797571?s=20&t=CgI4BDjnt5lkpEipuLvr0w
https://twitter.com/zhngcnjny1/status/1564984345659486208?s=20&t=CgI4BDjnt5lkpEipuLvr0w
https://twitter.com/zhngcnjny1/status/1564989273455022082?s=20&t=CgI4BDjnt5lkpEipuLvr0w
https://twitter.com/motidukinoyoru/status/1565289132053524480?s=20&t=CgI4BDjnt5lkpEipuLvr0w
https://twitter.com/motidukinoyoru/status/1565290010806431744?s=20&t=CgI4BDjnt5lkpEipuLvr0w
https://twitter.com/motidukinoyoru/status/1565290339107123202?s=20&t=CgI4BDjnt5lkpEipuLvr0w
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?