米国経済史は財政黒字の危険性の実例と見做せるか?

前回の引用箇所の直前の6-3節で、望月氏はウォーレン・モズラーの述懐を引用しながら、財政黒字の危険性の実例としてアメリカ経済について以下のように述べている。

 当時のクリントン政権では、財政黒字と好況が並行しており、理想的な経済状態であると見なされていました。
(中略)
 特に最初期のMMT派経済学者の1人であるウォーレン・モズラーは、アル・ゴア副大統領に対して、以下のように警告したと述懐しています。
「200年以上の米国の歴史における直近6回の財政黒字期を見てみると、その後に不況に陥ったのは6回のうちたった6回だけだった」
「来たる崩壊は、財政黒字を許容して私たちの貯蓄を抜き取ったために起こるのだから、結果としての不況は、私たちの失われた貯蓄が十分埋め合わせられ、産出と雇用を修復するのに必要な総需要をもたらすだけの財政赤字が蓄積されるまで収束しない」
 実際、アメリカはその後バブル崩壊による不況を経験することになりました。
望月慎「図解入門ビジネス 最新MMTがよくわかる本」秀和システム pp.90-91

 私には単に、景気には波がある、という以上の意味はないように思われる。

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