見出し画像

皆でつくったロゴは、皆の予想を飛び越えていった。│タブロイド編集記

上にあるU35-KYOTOのメインビジュアルは、皆さんの目にどう映っているのだろうか。遠目には上手くまとまったデザインに見えるかもしれないけれど、じっと目を凝らすと、よくわからない造形がところ狭しとひしめいている。皆が描いたいくつもの「点」を、デザイナー山本 安佳里さんが一つにしてくれたビジュアル。ここには、U35-KYOTOのメンバー一人ひとりの個性が詰まっている。メッセンジャーのグループにこの画像が送られてきた時は皆もう大興奮で、「血沸き肉躍る」という言葉が飛び交った。

せっかくなので、それぞれの「点」を、本人のコメントと一緒にいくつかご紹介しようと思う。

たとえば、真ん中に見える真っ赤な太陽。これは、京都市職員の石倉 直人さんが描いた点。真っ先に届いたこの「点」を見て、安佳里さんは「ロゴ作っちゃってるじゃん!」と心の中で突っ込んだらしい。

画像5

石倉さん:U35-KYOTOがこれからの京都にとって、明るい未来を照らす太陽のような存在になって欲しいという願いを込めて、京都の「京」の字と太陽をイメージした点(?)を描きました!

ちょっと不気味なエネルギーを発している、黒と赤が爆ぜた点。描いたのは、タブロイド制作チームの原田 岳さん。

画像5

原田さん:点でイメージしたのは、己が積み重ねたあらゆるものを0に戻す「爆発」。新たな価値観や常識は、突出した個々人のエゴイズム同士がぶつかり、融解し、形作られていく。だが、形作られた瞬間に進化のスピードは急降下していく。同時に存在が消失していく様を感じる。だから全てを0に戻す「爆発」が己には必要。

点で「点」を構成しただけでは飽き足らず、おまけに「天」まで……?手間のかかるボケをかましてくれたのは、U35-KYOTOの盛り上げ役、中馬 一登さん。

画像5

中馬さん:僕はとりあえず、笑かしてやろうとだけ考えました(笑)!「点」を描いてくださいと言われたので、まず本当に点で「点」を描きました。そして、同音異字の「天」を、天空を意識して上の方に、また点で描いてみました。右下の丸は、遠くから見たら点に見えるけど、よくみたら小さい丸をまた点で描くという細かいネタです。クスッと笑いながら色んなとこに突っ込みたくなるように、と考えて描きました。結論、いつもどんな時でも笑える社会にしたいという想いを込めています……というのは完全に後付けですけど(笑)。

個性豊かというか、主張が強いというか、こんなわけのわからない「点」(と呼んでいいのかもわからないものたち)を一つにまとめてくれた安佳里さん。そのスキルと包容力に、改めて感心する。この記事を書くにあたって、集まった「点」たちを初めて見せてもらったのだけれど、もう笑うしかなかった。

画像5

「点」をこんなにも自由に解釈できるなんて。人間の創造力に拍手を贈りたい。これら↑が、こう↓なった奇跡にも!

U35_MV_note_logoあり

改めて対峙すると、バラバラになった姿を見るまで存在に気づけなかった「点」たちの姿が、くっきりと浮かび上がってくる。きっと見る人やタイミングによって、何通りもの見え方があるのだろう。色んな人の目からこの画像を見てみたいという、非現実的な妄想がふくらんだ。

これらの「点」は、安佳里さんのこんなメッセージを受けて集まった。

ロゴマーク作成に伴い、みなさんから「one touch」を集めます。みんなの描く「点」である「行動」の重なりによって、「面」である「社会」を描く。U35-KYOTO の取り組み自体を体現するようなロゴマークにしたいと考えています。手書きでも、デジタルでも、鉛筆でも絵の具でも指でも好きな素材でOK!
各々がそれぞれの価値観を大切にして、未来へ向かって挑戦し、個人のみならず仲間と協働することで、新たな価値観、活動やビジネスを生み出しているU35-KYOTOメンバーの「点」を楽しみにしています。

あなたなら、このメッセージを受け取った時にどんな点を描くか、想像してみてほしい。ロゴのコンセプト作りから集まった「点」をまとめるところまで、どんな風にデザインを進めていったのか、安佳里さんに聞いてみた。

安佳里さん:何にもない状態から、目に見える形となって一つの“よりどころ”となったロゴマーク。はじめは、新型コロナウィルスの影響でオンラインだけで繰り広げられたやりとりの中で、デザインする上での正解みたいなものを探していました。

が、みんなと話す中で「ここには正解はない!」と思うようになりました。U35-KYOTOに集まっているメンバーは、自分たちが描く未来や叶えたい世界のために、決められた道を歩むことなく、常に手探りで模索しながら進んでいる人たちばかりです。そのパンクな人たちにとって、綺麗に整った正解はなんだか陳腐なものになりそうな気がしました。

みんなの手が加わったもの、一人ひとりの「one touch」を集結してつくるロゴマークにしよう!と方向性を決め、メンバーに依頼をしました。純粋に「点」を描いてもらえると思っていたのですが、実際には想像の斜め上をいくような「one touch」がどんどん送られてきて……正直、どうまとめたら良いのか、方向性を見失いそうになりました。

メールなどで個別に送られてくるので、メンバー同士は誰がどんなものを描いているのか、全く知りません。周りを意識することなく自由に描かれた「one touch」を見て、私は腹を決めました。この個性を素直にぶつけ合おう!と。ぶつかって、協調して、滲み合うような、私たちの取り組みそのもののようなロゴマークになったと思っています。メンバーにお披露目した時も、柔軟で懐の深いパンキッシュなみんなが気に入ってくれてホッとしました。

U35-KYOTOの活動も、このロゴマークのように各々の個性が混ざり合って、新たな世界がどんどん生まれるだろうと信じています。

ここに至るまでにも、安佳里さんは「常に変容する未完成さ」「光の重なりから生まれる真っ白」「複雑な京都をシンプルに構築する」「多様な個性の重なり合い」など色々なモチーフを考えてくれていた。

いくつもの会話を経てたどり着いた「みんなでつくる」というコンセプトはまさにU35-KYOTOらしくて、でも、そこから生まれたものは私たちの予想を大胆に飛び越えてきた。このビジュアルに負けないように、今後の取り組みで社会にインパクトを与えなければという気概が生まれたように思う。

8月からプロジェクト相談会を実施し、集まった色々な点があちこちで混ざり始めたU35-KYOTO。一つ目のゴールとなる半年後、2021年春頃には、今見えている予想のもっと先を走っていたい。

\ おねがい /
U35世代の方々へのアンケートを企画しています。note、facebookなどでお声がけさせてもらう予定なので、その際はぜひご協力をお願いします!

タブロイド制作チーム:柴田 明、原田 岳、前田 展広、山本 安佳里
文:柴田 明
https://u35.kyoto/

画像6


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?