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21時から先は闇、だったあの頃。

最近、その物語にとって何時が「おやすみタイム」なのかを知ることが私の趣味だと気づきました。

我ながらマニアックだなぁと思って、なかなか気に入っています。

ピノキオのゼペットじいさんは【21時】に「大変だ、もうこんな時間だ、早く寝ないと」と言っています。

そしてベッドの上でたばこを吸って、星に願い事をして、眠りにつきます。ギャップ!

白雪姫はなんと【23時】まで七人の小人たちとパーティーをした後「まぁ!もうこんな時間!おやすみなさい♡」と小人たちのベッドを借りて眠りにつきます。

白雪姫って、1937年に公開された世界初の長編アニメーション映画ですよ!?

そんな時代の子供向けのアニメ映画で【23時】に「おやすみなさい♡」って!衝撃。

ちなみにピノキオは1940年公開。


子供の頃の私は、中学校に上がるまで、21時就寝が鉄則でした。

眠かろうが眠くなかろうが、21時になったら必ず子供部屋の二段ベッドに入らなければいけません。

でも、ほぼ毎日、21時には全く眠くなくて、部屋の外から漏れ聞こえてくる両親の声に安心したり、逆に喧嘩の声に布団を被ったり、どうやって呼吸してるんだろう?って考えすぎて息ができなくなったり、そうこうしているうちに両親も寝室に入るドアの音がして。

自分だけ深夜の暗闇に1人取り残された気がして、怖くて怖くてたまらなくて、ますます眠れなくなるのでした。

子供の頃は慢性不眠でしたね。

そんな中、年に一度だけ夜更かしをしていい晩がありました。

大晦日です。

その晩だけは、家族みんなでカウントダウンをして、1月1日の0時を迎えることが出来ました。

そして、速攻寝かされます。笑

ある年は弟が待ちきれなくて寝てしまって、「なんてもったいない!」と同情したのを覚えています。

それくらい、21時より先の世界は私にとって未知であり、闇であり、わくわくと恐怖の入り混じった時間なのでした。


中学生になると、「21時台のドラマを観ていないと友達との会話についていけないだろうから」という理由で、22時就寝が許されるようになりました。

受験に向けて、塾や学校での勉強が佳境になってくると、普通に23時過ぎまで勉強していたりもしたかな。

そして大人になった今は、オールなんてものも覚えちゃったり、22時半まで演劇の稽古をしたりだとか、少し前のご時世ならば終電まで飲み会して帰ったりだとか。

私にとっての「おやすみタイム」は平均1, 2時でした。

それが、茨城での早寝早起き健康生活を経て、11時就寝が定着、翌朝は用事がなければ8時過ぎまで寝ていたりもするけれど、今この記事を書いているのは6:30だし、すっかり早起きも定着。

朝から活動することの気持ちよさを知りました。

ただ、演劇活動が活発になると、やっぱりこうはいかないんですけどね。

(夜遅くまで稽古して、帰ってからまた台本と向き合ったりして、寝る準備をして、となると、どうしても深夜になります…)



21時から先が闇だったあの頃、その闇の中で何が起こっているのか、未知だからこそ怖いし、だけど気になるし、そういう世界がもっともっとたくさんあったように思います。

地元の、今思えばたぶん普通の廃屋なんだけど、地面から屋根のてっぺんまで様々な植物に囲まれて、まるで食べられているように見えて、その中には魔女が住んでいると思っていたり。

隣の学区になる街の境目から向こう側に一歩でも足を踏み入れたら、何かよくないことが起こると思っていたり。

わくわくと恐怖は表裏一体。



今の私にとって【21時】はなんの時間だろう?

まだ、21時なのか。
もう、21時なのか。

21時から先が闇ではなくなった時、その闇はどこに消えたのだろう?

夜は何時までで、朝は何時からなんだろう?

今の私も、子供の頃の私と変わらず、人にとったらどうでもいいようなことを、真剣に、おおごとのように、考えたり、趣味にしたりして生きています。

でも、それで眠れなくなることはなくなったから、やっぱり大人になったんだなぁ。

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