SNSで目に付く攻撃的な人間について
いつの時代にも、SNS(X)上には攻撃的な人間が一定数存在する。強い言葉を使って特定の人物あるいは作品・コンテンツに対して批評、酷い場合には暴言を吐き、誹謗中傷する人を必ず見たことがあるだろう。そのような人に対して、皆さんはどのような感情を抱いているだろうか?
私は、一生懸命頑張っていてえらいなぁ、と思う程度である。最初に一瞬だけ嫌悪感は生じるが、その後に負の感情が沸くことはない。私はそのような人の心理を理解することができたので、全く何も感じなくなった。
SNS上で攻撃的な人間に対して嫌悪感を抱くのは、目に見える部分だけを切り取り、それだけに対してのみ評価を下していることが理由である。目に見えない部分(心理)を理解することで、彼らに対する評価は変えることが出来る。この文章を通して、SNS上で攻撃的な人間の心理を理解することで、皆さんも上手に対処する方法を学んで欲しいと思っている。
なぜ攻撃的な言葉を発信するのか
人は目立ちたがる生き物であり、強い言葉を使えば誰でも簡単に目立つことができるからである。「〇ね!」と言う言葉を普通の人は口にしないので、それだけで簡単に注目を集められる。さらに、そこには専門的な知識や技術を必要としない。したがって、攻撃的な言葉は誰でも他人との差別化を図ることができる便利なものなのである。
なぜ目立ちたがるのか
暴言を手段とするのが合理的である理由は説明した。次に、なぜ人が目立ちたがるのかについて説明したい。これは、マズローの5大欲求で考える。マズローの5大欲求とは、人間の欲求を5段階のピラミッド構造で表すものである。下位の欲求から一つずつ満たしていき、上位の欲求へたどり着くというものである。以下の5つで構成される。
①生理的欲求
生きていくために必要な欲求のことで、「食欲」「睡眠欲」「排泄欲」が当てはまる。
②安全欲求
心身ともに健康でかつ経済的にも安定した暮らしのための欲求
③社会的欲求
集団への所属や愛情を求める欲求
④承認欲求
他者から認められたいという欲求
⑤自己実現欲求
自分が満足できる自分になりたいという欲求
4段階目に承認欲求があり、これが目立ちたいと思う動機になのである。③までは満たされている人が多いのだが、承認欲求を満たすのが至難の業なのである。これを満たすため、人は様々な行動をとるが、結局目立つことはできない。目立つためには他人と異なる行動をとる必要があり、行き着く先を間違えると、世に認められていない行為に手を染めてしまうのである。ゆえに、モンスターが生まれてしまうのである。承認欲求が強い人ほど、目立ちたい気持ちが先行してしまうため、間違った行動を選択してしまう傾向があると言われている。
そして、承認欲求を満たすために攻撃的な言葉を選んでしまう人は以下の2つの特徴があることが多い。
攻撃的な人の特徴:①知識がない
知識がない人は、単純な行為で承認欲求を満たしがちである。論理的な文章は書けないし、膨大な情報量から深い見識を披露することもできない。さらに、考える力が弱いと、物事の善し悪しに対する境界線も曖昧であることが多い。そのため、簡単に目立つ方法である攻撃的な言葉にたどり着きやすいのである。一言「〇ね!」言って目立つことで注目され、承認欲求が満たされるので、簡単だ。
話は少しそれるが、知識がなくても承認欲求を満たすために迷惑行為に及ぶのも知識がない故の選択だろう。例えば、ひと昔前に流行ったバイトテロのような行為のことを指す。これが世間に認めないことを我々は知っているが、残念ながらこのような行動で注目を集めてしまう人が定期的に現れる。モラルに反する行為は注目を簡単に集めることができるが、知識が欠如していると世間から極端に糾弾されるという側面を考えないので行為に及んでしまうのである。目先の承認欲求のためにその後の人生を棒に振った多くの人の屍を越えず、屍は積み重なっていくのは残念な話である。
攻撃的な人の特徴:②自己肯定感が低い
知識があり、筋立てて論を展開することができるにもかかわらず、攻撃的な言葉を使って目立とうとする人も存在する。
自己肯定感の低さが承認欲求の強さに関連する。一般的に、自己肯定感が低い人ほど承認欲求が強い傾向がある。たとえば、自己肯定感が低い人の特徴は、以下のものがある。
・人に褒められた経験などの成功体験が少ない
・誰からも相手にされていない
実社会で承認欲求を満足させられないために、SNSで居場所を求めてしまうのである。幸運なことに、SNS上は実社会と切り離して生存することができるため、承認欲求を得られる場として成立する。
我々が攻撃的な人を容認できない最大の理由は、見えるところでその人の評価を下してしまうことであると考える。例えば、実社会で承認欲求を満たせない人間がSNS上で頑張っているという話であれば、彼らを応援する気になれないだろうか。彼らを嫌悪の目で返すことしかできないのは、我々が彼らに対する理解が薄く、寛容さが足りないことが原因ではないかとさえ考える。
終わりに
SNS上で見かける攻撃的な人に多い特徴は、知識が乏しいか、実社会で満たされていないことである。私が見かけた人の中にも上記に該当する人が多かった。(その事実が明るみに出た途端、SNSから姿を消してしまったが…。)SNS上で攻撃的な言葉を投げかける人の見えていない部分を我々が認識することで、寛容さを得ることができる。見えていないことにも目を向けることは重要だ。例えば、お金がないと嘆く人がいたとして、その理由が下記の二つだった時に、それぞれどのような印象を持つかを考えてほしい。
・ありとあらゆるギャンブルに手を染めたため
・奨学金の返済、両親への仕送りが必要なため
前者と後者で180度印象が変わるだろう。後者が理由の場合、同情を覚えることすらあるだろう。
SNS上で攻撃的な人も同じである。表面の言葉に対して嫌悪感を抱くので半句、なぜこのような言葉を使っているのかを考える必要がある。そして、これを理解することで、むしろ、彼らを愛おしい存在にすら感じられるのではないだろうか。
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