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「本づくり」ここだけの話

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テーマは「編集者の本音」。読者や著者の方にわざわざ伝えるほどではない。けれど、じつは大切にしていることを書きました。参考になるかもしれませんし、ならないかもしれません。
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#編集

【出版社退職エントリー】 SBクリエイティブを卒業しました。そして次の目標へ

2022年2月にSBクリエイティブを退社しました。 2014年6月に入社して、8年弱。編集者としてたくさんの機会を与えてくれた、人生でも忘れがたい時間です。とてもすべては書ききれません。とはいえ、次へのチャレンジの萌芽もそこにはあるはずで、時間をとってまとめてみました。何の参考にもなりませんが、一人の人間の記録として読み飛ばしてみてください。 企画会議で撃沈 ー入社〜種まき 前職のフォレスト出版には2年半、在籍した。そこからの転職。 フォレスト時代は初めての書籍編集だった

タイトルづけは「転がる言葉」を探す

本のタイトルづけはむずかしい。 本が売れるかどうかは、タイトルが9割、だとも言われる。それは表層的には、タイトルが書店で目にするいちばん最初の情報だからそこでつかまないと逃げられる、ということではある。だけど、それだけじゃない。タイトル=背骨が「決まっている」本は、本づくりの段階でも、腰が座りやすい。書き手も編集者もそこに向けて共通の目標ができる。 では、どうやって考えるべきか。いろんな人がいろんなことをいう。どれも正しいような気がする。 おそらく、これまで本づくりをや

なぜ本はそんなに大事か

担当本が校了をむかえ、妻子が実家に帰省している時期、ということもあって、軽井沢町内の宿泊施設に泊まりにきました。 油やさん、というところです。 かつて堀辰雄が執筆活動をした中山道、追分宿のお宿。車で5分の距離ですが、周囲は宿場町の雰囲気をうっすら残していて、気分が変わります。 *** そんな作家の痕跡を感じる場で、少し"本"について考えてみました。なぜ、デジタル隆盛の時代にあって、古典的なメディア、本をつくることに自分はこだわっているのか。「本は無くならない」と多く人

リライトの心得 ー編集者は文章をいかに直すか

「リライト」とは、別の方が書いてくださった原稿をよくするために、加筆・修正をすること。Re writingのことです。 そのスタイルは、編集者によって人それぞれ。ここでは、主にライターさんから上がってきた原稿を、さらに磨き上げるために、書籍の編集者である私が、どんな視点で、いかに修正を加えているかを紹介します。 1・前提:加筆は断りを入れるべしそもそもの話ですが、書き手の原稿に無断で手を加えることはNG な行為です。それはライターさんからの原稿であっても同じ。まずは、「改

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「コミュニティ?何それ?」と思っていた編集者が出版×コミュニティに挑んで、気づいたこと【売上への本当のインパクト】

出版社の人間として、本を書籍する過程で、2つの「コミュニティ」にかかわりました。 それぞれの本、「宇宙に命はあるのか」は5万部に、「医者の本音」は13万部に、とそれぞれ一定の結果につながりました。 では、実際にコミュニティはいまも有効なのか? 編集者はどう立ち回るか。ぶっちゃけ販促効果は?コスパは?みたいなことを書いてみます。 視点は、あくまで本の編集者。コミュニティビジネスの専門家ではないことで、やや外からみた視点になると思います。(※ここで語るのは、自分が主役になる

「すごい人」と仕事をするとき心がけていること

あまり役に立たない話を書きます。 編集のおしごとで著者さんとやり取りをするとき、相手は必ずといっていいほど「すごい人」なわけです。そんな人と、どうすれば関係が切り結べるか。メソッドではありません。僕が目指す「境地」みたいなものです。それも道半ばです。 ** 普段だったら会えないような成功者や経営者の方とお会いできる。質問ができて、話を聞ける。このしごとの「役得」でもあるのですが、とはいえ、「相手にメリットをもたらせる自分でないといけない」といつも焦りを感じていました。な

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