悪い意味で信じがたいことが起きた(浦和1-2神戸)
西川周作(37)による信じがたいプレーにより神戸が土壇場で勝利をもぎとり、二位マリノスとの勝ち点差を詰められることなく、首位キープ。
第三者として見に行ったのにあまりに劇的で、そしてあまりに酷いプレーで少し放心状態になった。
神戸の試合はこれで4節連続の現地観戦。
マリノス(2-0)、鹿島(3-1)はノープレッシャーのごとく楽勝。
しかし前節湘南(1-1)は痛恨のドローだった。
主力・山口蛍が欠場で絶対的な主力ボランチが齊藤未月と共に2人不在、代わりにスタメン起用の扇原は持ち味が出ておらず攻撃の起点になれず、守備でも湘南に中盤で主導権とられる苦しさ。
同点の状況で途中投入されたパトリッキは決定力を欠き、新井瑞希はクロス精度が本当に低く、湘南のアクシデントでGKが負傷交代→DFの大岩が急遽GKを担う大チャンスなのに勝ち越し点はおろか決定機すら作れない。
そして試合中に佐々木大樹負傷退場。それにより酒井高徳がボランチにポジション変えるスクランブル体制。
勝ち点1どまりもそうだが、チームとして主力へ極端に頼り切ることに伴う勤続疲労と、それをバックアップできるサブメンバーの底上げのなさが随所に出た試合だった。
これこそ優勝争いの重圧か…5万人の埼スタでも結構苦しむだろうな…と思って足を運んで観戦したが、その予想は96分までは当たった。
「96分まで当たったんだからそれ試合全部じゃないか」という話なんだが、最後の幕切れがあまりにもな凡ミスだったのでこんな言い方をしたくなる。
・72分まで
過密日程で疲労困憊の浦和に対し、日程面で余裕のある神戸が軽快な動きかつプレスがガンガンかかる形で、神戸優勢で動くもゴールが決まらない。前半スコアレス、後半もどんどん時間が減っていき、マリノスがリードしているのでこのままだと勝ち点差で並んでしまう重圧。
・91分まで
マテウストゥーレルのヘッドが72分に決まり、大きな大きな先制点。カウンター要員でパトリッキ投入するも、浦和も中島翔哉、高橋利樹、リンセン投入して一発に賭ける。凌ぎ切れるかの重圧。
・91~95分
土壇場でホセカンテのさすがと言うべき無慈悲な同点弾。しかも途中投入・飯野のクリアミスからという神戸からすると最悪の流れ。浦和は優勝への僅かな可能性にかけ、スタジアムの圧力と共に攻めたて、逆転を狙う。神戸は雰囲気としても流れとしても相当苦しい展開。重圧。
・96分
ハァ!?!??
自分はアディショナルタイムに入るとストップウォッチ作動して時間測るようにしているが、西川が攻め上がって走りに行った時、まだ4分半。
残り1分半もある中でセットプレーに攻め上がるのさすがに早すぎでは?と驚きだった。
そしてその驚きが悪い意味で信じがたいことに繋がる。
・中島翔哉のFK
→誰も味方に合わない、それどころかGK前川がキャッチできてしまうロングキックという絶望的な選択と精度。あの場面で蹴るべきボールではない。しかも試合あまり出ていないので他の主力選手ならともかく、中島は過密日程の言い訳はできない。サッカーIQが低すぎた。
・前川のパントキック
→キャッチ後、瞬時に大迫へ繋ぐ見事なキック。大迫もトラップしやすく、すぐシュート体制に入れる完璧なパス。
・前川を妨害しなかった浦和の選手達
→西川がゴールマウスを空にしている極めて危険な状況を皆わかっていたはずなのに、誰も前川を妨害せず、そのままパントキックを許す信じられない稚拙なゲーム運び。サッカーIQが低すぎた。
・大迫と対峙した大畑歩夢
→大迫がボール受ける前でも後でも、どんな手を使ってでも潰さなきゃいけない場面。例え一発退場でも致し方ない状況で、何もしない中途半端なポジショニング。しかも試合あまり出ていないので他の主力選手ならともかく、大畑は過密日程の言い訳はできない。サッカーIQが低すぎた。
・大迫勇也
→GOD。いくらゴールマウスが無人とはいえ、極限状態のプレッシャーがかかる中、冷静に枠を捉えるロングシュートで決勝点。GOD。あのトラップの瞬間、絶対に外さない・この男が外すわけがない、そんな信頼感を持って見てた。何度も言うけど神。
スタジアムではあの96分の瞬間、即座に席を立ち帰る人、西川に大音量で罵声を浴びせる人、あまりの悲劇に言葉にならない悲痛な絶叫をする人、そして神戸側の歓喜の声が伝わってきた。
正直、オフサイド判定でノーゴールが妥当なのだがそれに至るまでの信じがたい展開の衝撃が大きすぎて、判定云々の感覚があまりないのが現地で体感した正直な感想。
優勝争いなり残留争いなり、魔物が潜んでいて顔を出すのを過去何度も見てきたが、このパターンを現地で見たのは人生初かもしれない。
GKが攻め上がって最後決勝点につながるのは2018年のJ2プレーオフ、横浜FC 0-1 東京VでのGK上福元(ゴールはドウグラスヴィエイラ)で三ツ沢現地にて奇跡を目撃しているが、あの時は92分に一度攻め上がったけどロティーナ監督に「まだ行くな!」と制止されて、96分に再度攻め上がって「もういい!行け!」と監督の許可がでた流れ。
しかし、今回致命的だったのは、西川はスコルジャ監督の制止を振り切り、独断で攻め上がったということ。
この暴挙とこの試合結果、今節以降スタメン剥奪もあり得るだろうし、カンテやショルツが不満を露わにするコメントをしていたことからも、チーム崩壊の要因となるため今季で契約満了の可能性すらあると言う浦和サポも…。
神戸からすると前川と大迫という二人のビッグプレーがあったが、西川らの浦和の衝撃的な判断ミスも大きく影響した、まさに幸運が転がり込んできたような勝ち点3だった。
(そしてマリノスからすると悪夢のような展開だっただろう…)
残り2節、関東4連戦を3勝1分という好成績で乗り切り、あとはホーム名古屋戦とアウェーガンバ戦のみ。
マリノスとの勝ち点差は2。
土壇場で勝ち点1どまりでマリノスと勝ち点が並ぶ展開だったのが、大きな大きなアドバンテージ。神戸のチーム雰囲気を良くする西川の信じがたいプレーだった。
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