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【Bar S 】episode7 3番目の男



月曜日の17:00くらいに毎週通ってくれるマダムがいた。

友達がやっているスナックが、近くにあったから最初はその店が開くまでの間の時間潰しで寄ってくれた。

タバコの匂いが嫌いな人なので、他のお客さんがタバコを吸っていると店を出て行った。当然、私もその人の前ではタバコは吸わなかった。

身長155センチ 年齢55歳くらい。割りと細身の身体に大きめの胸。

その日は珍しく水曜日に来た。

いつもと同じ辛口の白ワインを呑みながら、さらっと話し始めた。

「この間は他のお客さんがいたから言い出せなかったから、今日も来ちゃった」

京都訛りがあるハキハキとした話し方をする人だった。

「ありがとうございます。どんなお話しでしょうか?」

「実はマスターに提案があるのよ」

「私の3番目の男にならない⁉」


マダムは隣の区で会社を経営していた。旦那とふたりで暮らしていて、セックスレス。旦那には愛人が2人いる。マダムにも30代前半の恋人がいると聞いていた。

「条件は、このお店が休みの火曜日の夕方17:00~25:00までを私と過ごす事。毎週でなくてもいいの。月に2、3回 食事やカラオケに行ったりホテルに行ったり」

「その代価としてマスターに毎月8万円渡すわ。勿論デート代はすべて私が出す」

「どうかしら?」

一瞬、魅力的な提案に思えた。

しかし、店の客には手を出さない と決めていたし、素敵な体型といっても流石にだいぶ歳上だし、ちょっと京訛りの話し方が苦手だし。

「ごめんなさい。休みの日は自分のためだけに使いたいので、お断りさせてください」

マダムはひとつも嫌な顔をせず

「そう、わかったわ。でもたまにはカラオケくらい付き合ってよね!」

と、さらっと言ったのだった。


それから5ヶ月くらいは通ってくれたが、一度もマダムと外で合う事はなかった。



ーepisode 7 おわりー






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