喪女漫画家が結婚するまで

この度2023年12月25日に結婚することになりました。

まさかのクリスマス入籍ですが、示し合わせていたわけではなく
もともと新居引越と婚姻届の提出は同時にやろうと話していました。

そんな中、引越がたまたま24日に決定したので、
じゃあ翌日に届けを出そうかという流れで25日になったという感じです。

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もともと結婚願望はそんなになかった。

母親は私が生まれてすぐ統合失調症になり、今も薬を飲み続けているし
父親はそんな母親を邪険に扱い「豚野郎」と呼ぶような終わりの家庭。

病人である母親に育てられた記憶はほぼない。
祖父母との2世帯住宅で生まれて、既に鬱状態でベッドから動けない母親、仕事で出張ばかりの父親の代わりに祖父母に育てられた。

小学校に上がるのと同時に親子3人でマンションに引っ越したが
母親は暴れるし家事もせず全裸でひたすら寝ていた。

ある日の深夜幻覚を見て暴れ狂う母親を家族総出で車に乗せ、
夜間救急に連れていったことや
学校から帰宅するとのそりと全裸の母親が廊下を歩いて出迎えてきたことに猛烈なショックを受けたり
アポなしで授業中の小学校に母親が突撃し、強制職員会議が開かれて
母親は教師たちの前で夫である父親の悪口をぶちまけて私が頭を抱える…
などなど

母親は数々の伝説を残したため、
小2の時に私だけ親元を離れ、祖父母の家に戻ることになり
高3まで祖母の作ったご飯を食べて暮らした。

加えて母親は元中国人で日本語も下手だったため、
ママ友からめちゃくちゃ嫌われていた。

そんな親たちの気まずさを感じ取ったクラスメイトたちは徐々に私を避け、
仲間外れにしたりいじめたりした。
（もしかしたら母親がおかしいから、子である私にもあまり近づくなと言われていたのかもしれない）

お弁当の白米をあらかじめ3口分くらい箸で切りわけてただけで
向かいの男子から「中国人だからそういう食べ方すんの？」とか
言われたことあったなー。

当時の母親はいわゆる統合失調症の急性期だったように思う。
今は薬の長期服用で毒気を抜かれたように落ち着いているが、代償として認知機能が半分くらい低下して、精神障害者2級になった。

現在母親は朝6時起床、パートへ行き単純作業、夕方ごろ帰宅し家事をして
早寝するというルーティーンでここ10年生きているようだ。

父親は我関せずといった感じで、
時折空気を読まず現代に馴染めない母親を怒鳴りつける。
「こうして豚野郎を怒鳴りつけると気持ちがいい。ストレス発散のはけ口になる。」と言っていたことは忘れられない。

父親には金銭的支援をたくさんしてもらったし、
小中高大全部私立に行かせてくれた。

論理的に思考し、幅広い知識があり、いろんなことを教わった。
私の物事の捉え方や性格の大部分は父親からの影響が大きい。

しかし、傲慢で尊大だし他責思考で、口癖は「だからお前はダメなんだ」。
明らかに冗談でも「死ね！」と言われてショックを受けた。
辛抱たまらず論破すると、押し黙り機嫌を伺い始めるので質が悪かった。

私を育てた祖父母というのはもちろん父方であり、
特に祖父は度が過ぎる亭主関白・モラハラ束縛・女性蔑視の鬼だったので、
この親にしてこの子ありだなと思う部分もあった。

そうやって冷静に捉えれば、父親の性質もうなずける。
だが私からすれば肝心の自己肯定感が1ミリも育たなかったので、
祖父と父の存在には憎しみも覚えている。

とにかく、そんな生い立ちなので、
結婚にいいイメージなんてものは微塵もなかった。

私は一人っ子でもある。

私のゆく末を案じた両親からは、高校卒業と同時に「彼氏は？」「結婚しろ」と毎日のように言われ続けていたが、ずっと「私で末代です」と返し続けていた。

「確かに家族全員の死を見送り、最終的に私一人になるのはしんどいな」と
思いはするが、「でもそれが人生だしね」と受け入れる準備を
これから先の人生全てを使い、少しずつ整えていく覚悟を決めかけているところだった。

自分は(一応)漫画家なので昼夜逆転・睡眠不足の生活を繰り返しているため
どうせこんな生活じゃiDeCoを受け取る前に死ぬだろ…と本気で思い込んでいたのもある。

そんな中、ほんの出来心で参加した某VRの某イベントで出会ったのが
今の夫である。

そもそもVRに興味を持ったきっかけは、当時好きだったVTuberの影響だ。
その日はVRchatから配信しており、VR上でファンと交流していた。

「VR上で目の前を推しが通り過ぎていく体験ができる！？」
「てかリアタイでワンチャン喋れる！？」

そんな不純な動機でMeta Quest 2(当時はoculus)を買ったのだが、
これが私の人生をまるっと変えることになるとは夢にも思わなかった。

夫と出会い何回かVR上で喋ったが、
人当たりが良く頭の回転が速い人だなという印象を抱いた。
会話がポンポンと弾んだこともあり、リアルで会うことになった。

実際に会っても夫はニコニコと社交的で、身なりもすらっと小綺麗で、
更にくせっ毛と眼鏡が格好良かったので、最初は絶対詐欺か何かだと思った。
（※私は癖毛男と眼鏡男が大好き）

何回か会っていくうちに、詐欺ではないことに気づいた。（？）

3回目のデートで「付き合ってください」と言われたときは、
本気で「（上位互換が見つかるまでの繋ぎとして）付き合って」ということだと歪んだ解釈をしていた。

というのも、私はあまりいい恋愛をしてきていないので、
恋愛面での自己評価が異常に低い。

私が異性に言い寄られるときは、「ヘム」ではなく「女体」として見られているから、メスを好むオスから"好意というオブラートで包んだ性欲"を向けられているだけで、決して「ヘム」に対して興味を持っているわけではないと本気で思い込んでいた。

告白の返事は一旦保留にした。

しかし、しばらく会い続けていくうち
「この人と付き合わなかったらきっと後悔する。」
「付き合って仮に振られても、この人とならいい経験だったときっと思える。」と覚悟が決まったので頷いた。

告白から3か月も待たせたのに、その間も夫は毎回定期的に会ってくれた。
（今でも告白の返事を3か月待たせたことを愚痴られる）

めでたくお付き合いが始まったその後、
長い時間をかけてゆっくりと愛をはぐく………　む余裕などなかった。

秒でねじ曲がった私の恋愛観を矯正させられ、
出会って約1年1か月、付き合って約9か月でプロポーズされた。
そして来たる12月25日、付き合って約10か月で結婚。

早すぎ。

「要望をはっきり言ってくれる」
「態度がわかりやすくて安心感がある」という理由で
付き合ってから初期の段階で結婚を考えてくれていたらしい。

プロポーズからの一か月で
婚約指輪（ペアで買った）と結婚指輪を作り
改めてプロポーズ食事会を開き
お互いの両親にご挨拶へ行き
新居の物件を決め
今週末引っ越す。

多少矯正されたとはいえ、幼いころから時間をかけて育った
私の歪んだ恋愛観や自己肯定感はまだまだ健在である。

夫は毎日のように「好き」と言ってくれる。
本当にありがとう！！！！（クソデカ大声）

会うたびに私を「かわいいね～」とも言ってくれるが、
これは何回か私が容姿で卑屈になってから
「好き」に次いでよく口に出してくれるようになった。

最近なんて体臭を「いいにおい」とか言ってくれる。
そこまできつい体臭ではない（と思いたい）が、
とはいえケアは続けていこうと思った。
ちなみに私は夫の体臭は頭からつま先まで全てマジで好き。
お互い遺伝子的にも相性いいっぽくてマジでよかったね！

本当にいい人だ。感謝しかない。出会えてよかった。

急に倫理観のない話をしたり、社会に敵意をむき出しにして疲れ果てたり、
犬のようにかわいこぶったり、私の仕事を応援してくれる。

毎度こちらを見て好意を伝えてくれるのでありがたいな～と思う反面、
ふとした時、やはり好みの外見じゃなくてごめんねと思ってしまう。

いや、実際に「好みの外見じゃない」ときっぱり言われたことはないのだが
二次元キャラでは「ぱっちりたれ目」が好きだったり
「スカート」や「ウェーブがかった長髪」「前髪」が好きだったりするので

「細め切れ長つり目」「パンツスタイルばかり」「ボブヘア」「前髪なし」真逆である自分は本当にごめんね…と思っている。

もちろんたまに夫の好みに寄せてスカート履いてみたりするけど
夫のために”全ての要素”を好みに寄せるのって依存じみてて危ういし
自己犠牲に近くなる感覚があるので不健全だし
結果的に精神衛生に良くない気がするためしません。

私は「可愛く生まれなかった私」が嫌いだが、
「漫画を描いてお金をもらって生活できている私」は好きなので。
（もちろん作家としてはまだまだ未熟だが………）

完全に自己否定できないし、しないのだ。

狭間にいるというのは安定感がないのでそれなりに苦しいけど、
ドン底まで病み切れば勝手に這い上がって徐々に元に戻れる質なので…。
（そのドン底まで病み切るまでが最悪）（病み方を考えろ）

まあ私が夫の好みの外見じゃないかもしれないことは悲しいけど
今、夫は私を「好きだ」と言ってくれていて、結婚してくれる。

たまに子供の話もしたりする。

裏では実際のところ何考えてるのか？とか、この先夫の気持ちが変わるかも…とか、ただ遺伝子を後世に遺してみたい/"普通の人間”でありたいから一緒にいるだけで実は私に対して愛はないのかもしれない…とかとか
見えないもの・わからないものに脳のリソース取られてキモ顔になるよりも

言ってくれた・示してくれた事実だけを受け止めて
前向きに生活していこうと思います。

…たまにメンタルが良くないときはそう思えないときもあるけど、努めてはいきたいよな。結局は他人だしな。

いうても自分でも嫌なパーツは整形したいんで、とりま歯列矯正して30歳あたりでクマ取って糸リフトしてえけどな～～～


ちなみに夫を一言で表すと
「今にも崩れそうな塔の一番上でにこにこしているワンちゃん」です。

そんな夫に関する数々のヤバエピソードはいずれどこかで漫画にする予定。
（漫画家の伴侶を持つと勝手にネタにされる）