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2024年J1リーグ第4節 湘南ベルマーレvs浦和レッズ@レモンガススタジアム平塚~マッチレビュー~

おはようございます、こんにちは、こんばんは。
オザッキー・チェーンです。
マッチレビュー、全然間に合ってません…ごめんなさい。試合から1ヶ月経ってしまいました。


‣振り返り

両チームともに開幕戦は落としたものの、引きずることなくその後の2試合は負けなし。両者、この試合で浮上のきっかけを掴みたいこの一戦。
ホームの湘南は前節からの先発メンバーに変更はなし。一方、アウェイの浦和はメンバー外が予想されたマリウス・ホイブラーテンや前田直輝は先発に名を連ねているものの、前節負傷により途中交代したアレクサンダー・ショルツに代わって、佐藤が今季初スタメン。昨シーズンからここまでリーグ戦フルタイム出場でDFラインを支えてきたショルツの不在が試合にどれくらいの影響が出るのか。そう言った意味でも非常に注目度の高い試合だ。

スタータティングラインナップ

・前半〜勢いに呑まれることなく、自分たちの力で前へ〜

開始早々から湘南が浦和ゴールを脅かす。左サイドからのスローインをクイックで始め、深い位置へ侵入した平岡がクロスを上げるが、シュートまでには至らず。両者ともに、開始から積極的に(特にボールが後方へ渡った時)前線からのプレッシングを敢行していたのでカウンター勝負の展開になるかと思いきや、徐々に保持の浦和と待ち構える湘南という構図で時間が進み始める。湘南のプレスに対して苦戦しているように見えた浦和だったが、興梠がライン間に降りてきてボールを受けたり、右サイドでタメを作って左サイドに展開してSBの渡邊がクロスを供給するなどして、徐々に試合は浦和ペースで進んで行く。

試合が動いたのは11分。浦和陣地での2CBの組み立てに西川が参加して、湘南の2トップのプレッシャーを3枚で剥がそうと試みる。鈴木章斗がホイブラーテンに対してプレスをかけに行くも、コースの遮断が曖昧で、グスタフソンに背中を取られ、簡単にハーフウェイラインまで運ばれてしまう(この時点で勝負あり)。そこから湘南は後手の対応となり、グスタフソンと前田の見事なコンビネーションから興梠の今シーズン初ゴールで先制を許す。
DAZN時間の9:50~の辺りから振り返って見て欲しい。

1つのズレが大きなミスに

これまでの試合を振り返って見ても、後ろからの組み立てで簡単に崩されてゴールまで運ばれたシーンは少なかったというか、ほとんどなかった印象である。どうしてこんなにも簡単にかわされ、ゴールを奪われたのかと言うと、GKの西川の存在だ。序盤こそ湘南のプレスははまっていたものの、ゴールを奪われる前のシーンから、後ろからの繋ぎには西川が積極的に参加していた。上手く繋がらないことを察知しての判断だろう。1人ボールを扱える選手が増えたことにより、数的不利の湘南の前線からのプレスは当然かからなくなる。もし、こういった状況での前線からのプレスを敢行するのであればもっとラインを上げてコンパクにして、選手同士の距離感を近くし、相手までの最短距離でプレスに行けるような体制をとる必要があった。しかし、この失点の時は、前線からのプレスの限定はおろか、最終ラインも上げられていなかった。とは言ったものの、今の湘南のCB陣にスピードのある選手はいないため、そのような対応は実際問題、難しいとも言える。プレスの設定ラインを下げて、コンパクトにし、ブロックをひき、グスタフソンにはボールを預けさせない陣形で構えることが今できるベストな対応だったのかもしれない(まあでも、西川とグスタフソンが一枚上手でしたと言うしかない気もする…)。

ここまで保持の面で課題を抱えていた浦和であったが先制後も落ち着いたゲーム運びで試合の流れを進めた。湘南としては奪い所を決めてプレスをかけに行きたいところであったが、組み立てに対して効果的な関りをしている西川と最終ラインに吸収されることなく、非常に良い中間ポジションでボールを待っているグスタフソンと良きタイミングで降りてきてボールを引き出す興梠を中心とした浦和に対してどうすることもできない状況が続いていた。

前半の半分を越え、このまま浦和ペースでハーフタイムを迎えるのかと思われた23分、チャンスを作ったのはここまでシュートを0本に抑えられていた湘南であった。敵陣の右サイドでタメを作り、ボールを受けた田中が渡邊の裏を取った鈴木雄斗へ技ありのパス。深い位置まで運び、上げたクロスは混戦状態になるも、最後はルキアンが落ち着いて流し込み、苦しい中で同点に追いつくことに成功。ファーストシュートが見事な同点弾となった。
このゴールは、田中の体の向きと目線で騙すパスと鈴木雄斗の相手の裏を取る動き、そして複数の選手がクロスに対してのアクションを取ってペナルティエリアに侵入できていたことで生まれたと言える。

同点に追いついて落ち着きを取り戻したのか、湘南に1つの変化が見られた。DAZN時間の27:20~のシーンだ。ここまでプレスをかけても簡単にかわされてしまっていた湘南であった。そこで前線からのプレスは一旦、諦めて、ブロックを作り、奪い所を限定しての守備体系に変更したのだ。

奪い所の設定と共通認識

それはグスタフソンへの供給を許さない体系とも言える。上記の画像のように、前線の2人がグスタフソンの前に立つことで、繋がりを遮断させる。CBにプレスをかける際には、必ず中を切りながら前線の1人がアクションをかけ、もう片方の選手はグスタフソンを背中で消せる立ち位置を取る。そうすることで浦和としてはサイドの選択肢しかない。湘南は限定することで、予測のしやすい守備ができるようになったのだ。しかし、実際は杉岡がカットに成功したもののパスがズレてしまい浦和に前線まで運ばれてしまったが、ピッチ内の選手たちが考えて、立て直そうとする姿勢がうかがえる場面であった。同点弾のVARチェック中にルキアンと鈴木章斗が話しているシーンがDAZNの中継カメラに抜かれた(23:35~)が、恐らくそこで話していた内容は、前線からのプレスの仕方についてだったのではないかと。また、このシーンを見て、チーム内でも前線の2人の動きを見てプレスの方法を判断しろ的な共有がなされているような気がしますね。

その後は一転して試合は湘南ペースで進み迎えた32分、池田のパスを受けた田中が巧みなルーレットでペナルティエリアに侵入し、放ったシュートに鈴木章斗反応し、コースが変わったボールはゴールへと吸い込まれて行く。短時間で湘南が逆転に成功する。

この逆転弾は田中と鈴木章斗のとっさのアイディアが生んだともいえるが、個人的には守備体系を変更したことがきっかけで掴んだゴールと言いたい。直前の大野に対する興梠のファールに繋がるシーン(DAZN時間30:54~)から見て欲しい。先程、説明した通り、浦和はグスタフソンを自由に使えなくなったので、繋ぎを省略して前線までボールを届ける必要があった。そこで浦和はロングボールに頼らざるを得なくなっていたのだ。湘南としては前向きで奪えるようになった。結果として(無理やりこじつけた感じも否めないが…)、このフリーキックの流れからゴールを決めることが出来た。

その後、両者互いにチャンスは作るもののゴールネットを揺らすことはできず、2-1でハームタイムを迎える。

・後半〜自分たちのゲームへ、自分たちで落ち着かせる力〜

先制するまでは非常にいい流れで試合を進めていた浦和であったが、同点に追いつかれてからは湘南の包囲網を上手く突破できずにいた。浦和としては、この湘南のコンパクトな陣形を如何にして崩すかを考えた時に、保持すること一旦辞めて、湘南の最終ラインを押し下げることだと判断してスピードのある松尾とパスセンスのある岩尾を投入したのだと私は思った。

この交代で勢いをつけたかった浦和であったが、勢いをつけさせまいと湘南が後半開始わずか15秒で追加点を奪う。鈴木章斗のシュート技術の高さに関しては言うまでもないが、これもまた、先程説明した通り、前線の1人(この場合は鈴木章斗)がCBに対してアクションをとり、もう片方の選手(この場合はルキアン)がグスタフソンへのパスコースを背中で消しながら、圧力をかけて奪ったゴールだ。技ありゴールに目が行きがちであるが、しっかりチームとしての狙いが結果に繋がったと言える。(プレス体制に入っている中でのゴール前での横パスかつ間延びしてしまってる中で、組み立てに入ってしまった浦和に改善の余地あり)

55分、浦和は後半から入った岩尾と松尾が起点となり、右サイドからのコーナーキックを獲得。岩尾の蹴ったボールは混戦状態となり、ゴールラインギリギリで湘南の田中が跳ね返すも、そのボールは松尾のもとへ転がり、落ち着いて押し込み1点差に詰め寄る。クリアしきれないという湘南の悪い癖が出てしまったという印象。

予想していた通り、松尾の投入により、浦和は背後を狙った前線へのロングボールが徐々に増えてくる。
一方の湘南も61分と62分に素晴らしい運びと奪いから立て続けにチャンスを作るも追加点とはならず。

64分、前向きで大野がボールを奪い、前線でボールを要求した池田へパスを送るがコントロールが乱れ、奪われてしまう。関根、岩尾と繋ぎ、DFの背後を取った前田へボールが送られ、前田はそのまま持ち運び、タイミングをずらして右足で振り抜いたシュートはゴールニア上を突き刺し、同点に追いつくことに成功。湘南にとっては、奪い方が良かっただけに、非常に悔やまれる失点だ。ここにきて浦和の選手個人の質の高さを見せられてしまった。

このままでは終われない両チーム、ともに選手を入れ替える。浦和は1ゴール1アシストの前田に代わってチアゴサンタナと伊藤に代わって中島がピッチに。中島がトップ下の位置になるよう中盤の三角形の形を変え、このまま逆転を狙う。一方の湘南は池田に代わって奥野、杉岡に代わって畑が入る。

互いに交代カードを切ったが、チャンスというチャンスは生まれないまま、迎えた74分。浦和のゴールキックからの組み立てに対して、前線からこの試合通して見せてきたプレスを敢行。田中が岩尾からボールを奪い、右サイドで時間を作り、ゴール前への上がりを待つ。鈴木雄斗が良い状態で上げたクロスはニアにいたホイブラーテンの頭は越えたが、後ろにいた佐藤に跳ね返される。しかし、そのボールはペナルティエリアの外で待っていた田中のもとへ。田中は迷わず左足を振り抜き放ったシュートは、一度はポストに阻まれるも、ルキアンが落ち着いて流し込み、湘南が再びリードする展開に。
この場面でも注目してもらいたいのが、連動したプレスからのボール奪取である。

変化にも適切な対応

ダブルボランチに変更するまでは浦和のIHに対しては左右のCBが一列飛び出して対応をしていた。しかし、交代により浦和の配置が少し変わっていたため、昨年までの湘南であったらズレて後手に回っていてもおかしくないように思えたシーンだったが、田中が周りの状況をしっかり確認していたことで、遅れることなく対応が出来た。前線からのプレスが意味のあるものとなったのだ。個人的には今シーズンの湘南の守備に対する意識が変わっていると強く感じたシーンであった。

湘南はプレスが徐々に機能しなくなり、浦和にボールを握られ始め、迎えた81分、岩尾のロングボールを受けた松尾が仕掛けを開始。ゴール前まで運ばれて何とかボールをかき出したが、そのボールはグスタフソンのもとへ。ダイレクトで放ったシュートは平岡に当たってコースが変わり、無情にもゴールへ吸い込まれて行く。

その後も、浦和に再三にわたりチャンスを作られるも、富居を中心に何とかしのぎ、4-4のドローで幕を閉じた。

‣あとがき

試合を終えての正直な感想としては、勝ち切りたかった。山口さんも「勝ち点2を落としてしまった試合」とコメントを残している。序盤こそペースは浦和に握られたものの、焦らず自分たちの力で主導権を取り返し、前半のうちに逆転し、後半早い時間帯で追加点も奪うことができた。ただその後は立て続けに2失点。その2失点というのも戦術的に崩された失点ではなく、選手個人のミスからであっただけに、非常に悔やまれる。4点目を奪って以降は完全に浦和ペースで、奪えたとしても自分たちの時間は全く作れなかった。結果論ではあるが、グスタフソンの得点の前に、交代準備を進めていた阿部が入っていたら試合の流れは少し変わっていたのかもしれない。でも、こればっかりは運の尽きというか。タイミングが悪かったなという印象。また、浦和と比べて選手個人の質に大きく差があることも考慮すれば、この内容が限界だったのかもしれない。選手個人の質に関してはすぐに高まっていくものではないので仕方ないと割り切ることも必要だ。ゲームの流れを読み、落ち着かせることの出来る山田や馬力の違いを前線で見せられる根本の復帰次第では、もっと楽に試合を支配出来るんじゃないかと思う。4失点してしまったことは反省しないといけないが、守備の構築度を見れば分かる通り、そんなにネガティブにならなくても良いのかもしれない。

‣試合情報

・結果

J1 第4節 3/17(日)15:00 レモンガススタジアム平塚 観客数:12,628人
湘南ベルマーレvs浦和レッズ
                        4-4
11分興梠 慎三(浦和)
23分ルキアン(湘南)
32分鈴木 章斗(湘南)
46分鈴木 章斗(湘南)
55分松尾 佑介(浦和)
64分前田 直輝(浦和)
74分ルキアン(湘南)
81分サミュエル グスタフソン(浦和)

主審:スミス ルイス ディーン 副審:田中利幸、長谷川雅 第4審判:熊谷幸剛
VAR:山本雄大 AVAR:聳城巧

・試合のスタッツ

・試合後の両チームのコメント

湘南:https://www.bellmare.co.jp/334596
浦和:https://www.jleague.jp/match/j1/2024/031703/player/#player


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