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日記―社会的性別―

引き続き卒論を書き続けている。同じテーマを突き詰めて考え続けていると様々な発見や社会への透明化がなされていくとともに、得た知識から自己探求をし、そして自己理解に繋がることもある。


私は自分のジェンダーが分からない。ならどれでもいいかと言われると、そんなことはない。いつか分かればいいなと思い考え続けているQである。いろいろ考えた末、Xジェンダー(無性)がいちばん近いというのが現在の見解だが、そこに至った理屈を聞いていただければ、私Xジェンダーかもと気付く生物学的女性はそれなりにいると思う。生物学的男性の方も、少ないだろうけれどいると思う。


私は性別違和を感じたことはない。この点でトランスジェンダーではないことは分かる。しかし青色が好きだし、カッコいいファッションは好きだし、大きな声で言うのは憚られるが、年齢制限作品も、区分で言うと男性向けのものを多く好む。いわゆる、社会から「女ってこうだよね」と思われる要素と違う要素を持っている。とはいえお喋りだし、文系だし、ホルモンバランスのせいで情緒は不安定になりやすいし、女っぽい部分もかなりある。一人称も「私」だ。


それならひたすらに自分の思考の癖、行動の癖、趣味嗜好を書きだして、数が多い方の性別に決めるか?これも無意味なのである。自分を男だと思ったことはない。というか、生物学的区分ではふたつの性別しかないが、ジェンダーは無数にあるのだ。消去法的に決められるものでもない。


そもそも思考や行動から性別を決定することそのものに違和感がある。何かを理由に性別を決めるという感覚が、理由が、よく分からない。その性別だからなんだというのか?あるのは性別じゃなくて個だ。女性だからってみんな一緒じゃないし、男性だからってみんな同じじゃないのだ。もちろんゲイ、バイ、Xジェンダー、その他諸々も然りである。括られた中での差異の方が、性差よりバラバラで大きいだろう。


トランスジェンダーでないならとりあえずシス女性ということにしておけば?とも思うのだが、「なるほど、ではあなたは女性ですね」と最終確認を取られたら、おそらく私は渋い顔をして首を傾けるだろうと思う。これが性別が分からないということだ。


私が「女性」という枠組みに押し込められたくないのは、社会の女に抱いている印象、女への扱い、社会が望む女性像、自分の嫌う女性像をすべて総合した結果だ。そもそも性別どうこうで見られることに対して蛇蝎の如き嫌悪感があるのだが、先ほど挙げた「社会からの印象」「社会の扱い」という点で言えばまだ男っぽいと言われた方がマシである。私の「男」という言葉に抱く嫌悪感と、「女」という言葉に抱く嫌悪感では、圧倒的に後者の方が酷い。一時はミソジニーの気があるのか?とも思ったが、女性が嫌いなワケではないのだ。「女は~」と語られるときの「女」、存在しない、社会によって作り上げられた、何の証拠も根拠もない、それなのにあたかも本当の女性を形容しているフリをした、架空の「女」が大嫌いなのである。だから「性別は?」と聞かれて「女です」とは答えたくないのだ。


なので、例えば病院とか、そういった場で性別欄に丸を付けることには何の抵抗もない。この時丸を付けている性別は生物学的性別、セックスだからだ。性別違和もないし。私が嫌なのは社会的性別が女と認識されることだ。自分を女だとは思いたくない。かなり強く拒絶感がある。ジェンダーは社会的性別を指すため、私は社会的には女ではないのである。XジェンダーのとあるYouTuberの方が、「性自認は人からどう扱われたいか」と言っていた。(これはどう見られたいかとは違う、という話もしていた。)それまでいろいろ頭を悩ませていたが、これを聞いて「あぁやっぱりXジェンダーだ」と思った。なんの性別としても扱われたくない。私を判断する上で性別を要素のとして数えないでほしい。つまりXジェンダーの無性というワケである。性別という概念をそもそも持ち出さないでほしいので、中性でもない。


しかしXジェンダーの方と交流したことが無いので、本当に合っているのかが分からないのが現状だ。知識から考えるといちばん近いのだろう、という認識をしているだけで、Xジェンダーもピッタリ合っているかと問われればよく分からない。ネットでは「~という性別を知って、まさに私!と思えました」という方をよく見かける。私も本当に適したジェンダーが判明したら「超しっくり来たー!これじゃんこれこれ!」となるのだろうか?それとも私はしっくり来た感を薄くしか感じられないXジェンダー無性なのだろうか?私はジェンダーフリーの世界を望む。性別についてこんなに考えなくてはならないのも、社会的性別という概念があるせいだ。


ここまで考えてひとつ言えることがあるとするなら、私はジェンダー平等な社会だったらシス女性だったのかもしれないということだ。

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